終焉の獣の実力
人型になったクティスは風を切りながら4足歩行で走っていた。
「凪のファーストキス〜。僕がぁ初めて〜。ふっ、ふっ、ふっ、イデアが知ったら羨ましがるんだろうなぁ」
ゴウライは灰土、絶華、盾護と戦っていた。
「これでどうだ!!!」
「絶華ちゃんに風まわして!!!」
「分かった!」
灰土は絶華に風を送り、風の力と脚部の爆炎によってより早いスピードで絶華はゴウライに踵落としをした。
ゴウライは絶華の攻撃を拳で受け、彼女の脚を掴み投げ飛ばした。
「キャッ!!! 普通なら焼け死ぬのにどうしてピンピンしてるのよ!!!」
「姫に何をするんだ!!!」
盾護は盾をゴウライに向けて突進した。
「ぷぎゅぷぎゅぅぅううう!!!」
ゴウライは盾を掴むが盾から草が生え、ゴウライの手を拘束した。
「生吸花!!!」
「ぷっぎゅぅん!!!」
盾に生えていた草が代わり、盾に丸い白い花の蕾が生え、ゴウライの生命力を吸い始めた。
「ぐぬぅぁっ!? 式神の力かぁ。だが、我は負けんぞ!!!」
「ぷっぎゅ」
盾にはゴウライの生命力を吸った白い花の蕾が開花していたが、盾は白い花に覆い尽くされた。
「ぷっぎゅぎゅぎゅぅぅぅう」
草爛の許容量よりも莫大な量の生命力を吸収したことにより、盾の重さが増し、ゴウライの生命力吸収することができなくなった。
「これしか奪えないのか、国守神もたかが知れておるなぁ!!!!」
ゴウライは盾を握る盾護ごと持ち上げ、地面に叩きつけた。
「ぷぅぅぎゅぅぅぅ」
「ぐはっ」
倒れた盾護にゴウライは一撃を喰らわそうとしたが、草爛は蔦を生やし盾護を守った。
「ぷっぎゅん!!!」
「フン! こんな草などに我が止められるものか!」
盾護はすぐさな体勢を立ち直し、ゴウライから距離を取った。
すると、1匹の緑色の人獣が走ってきた。
「ゴウライ!!! 凪にお願いされちゃったから倒すね!!!!」
「イデア!!! もう生き返ったのか!!! 今の我にお前が勝てるわけなかろうが!!!」
ゴウライは自身に真っ直ぐ向かってくるクティスに雷を落とした。
「うわっ!? ビリビリする。でも、これはこれで楽しい!」
「なんだこやつ、いつものイデアではない」
「僕はクティス! ゴウライは僕にどんな風に殺されたい?」
「クティスだと」
「うん! それじゃあ、まず最初に、腕を一本とぉ!」
クティスはゴウライの右腕を噛みちぎった。
「なに、一体、なぜ、我の腕がぁぁあああ!!!」
「遅いなぁ。それに、これはイデアの期待を裏切った分だよ」
ゴウライは噛みちぎられた右腕を止血する為に左手で押さえていた。
「それに、次は凪を疲れさせた分!!!」
クティスは姿勢を低くしゴウライの左脚の足の付け根を目掛け突進し、ゴウライの左脚を噛みちぎった。
「ぐはぁああああ!!!!! ふぅー。ふぅっ。ふぅっ」
ゴウライはクティスの攻撃を防ぐことができず、右腕と左脚の痛みでゴウライは体を動かす事ができなくなった。
「あれ、もうこれで、おしまい?」
クティスはゴウライを蹴り上げ、地面に転がした。
「弱いなぁ。巨人ならもっと遊べたのに。鬼じゃ話にならないか。あーあ、久しぶりに思いっきり戦えると思ったんだけどな」
「たわけ、我は強い」
右腕と左脚を食いちぎられたのに、ゴウライは右脚の筋力だけで立ち上がった。
「強がるのは良くないよ。君はもう、戦えない、そもそも、僕と戦える程君は強くなかったんだ。もう、そこで眠ってなよ。僕は君を殺したいけど、イデアはそれを許してくれない。君はイデアの優しさで生かされている」
「そんな優しさなど要らぬ!!! 我は、我は、伝説の獣に我の力を認めて欲しかった!!!」
「じゃあ、君の言う伝説の獣の僕が認めてあげるよ。君は弱い。力はまぁまぁ他の生物の中だったら上位に位置するが、そこじゃない。君は心が弱過ぎるんだ」
「我の心が弱いだと、我がよわいわけながろうが!!!」
「はいはい、自分の弱さが分かってないなら僕はこれ以上何も言わないよ。もう、君は黙ってて」
クティスはゴウライの腹を蹴り、ゴウライはその場に倒れた。
ゴウライから距離を取っていた絶華と盾護そして、灰土はクティスの圧倒的な力を目にして、驚愕していた。
「うそっ、ゴウライ様をあんなに簡単に倒せちゃうの」
「あいつは君達の仲間か?」
「イデアさんなのでしょうか? でも、尻尾が生えていますよね? 人獣?」
クティスは絶華達に気付き彼女達に近寄った。
「絶華だぁ! あれれ、炎燃どうして絶華の足にいるの!? 零鐘なんて変な球になってる!?」
「どうして、絶華ちゃんのこと分かるの!? やっぱり、貴方はイデア様なの?」
「僕はクティスだよ! こんな風にお話したのは初めてかな?」
「ふぅひへぇっ!? クティス様!?」
「クティス様!?」
「クティス? 小さくなったのか?」
3人は人獣の正体がクティスと知りさっきよりも驚いていた。
そして、颯爽とゴウライを倒そうとしていた藍介がやっと灰土と合流した。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ、あのぉ、灰土さん、どうしてゴウライが倒れているのですかねぇ?」
「藍介様、人獣となったクティスがゴウライを倒したのです」
「えーーーと、今回私の出番は無かったと言うことでしょうか」
「そうなりますね」
「そんなぁあ!!! 主人様にかっこよく戦いに行ってきますって言ったのに、これじゃあ、フヨフヨさんで散歩しただけになっちゃうじゃないですか!!!!」
「それを、俺に言われましても」
藍介は余りまくった魔力をどうしようか悩んだのであった。
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