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獣は目を覚ます

 ゴウライを倒す為に絶華、盾護、灰土は共闘していた。そして、緑癒は1人、バラバラになったイデアを治していた。


「ふぅー。あと少しで身体は治し終わりますね!」


 イデアは大量の鱗粉に埋もれていた。


「こんだけ、鱗粉を振り撒いたの初めてですよ。さぁ! イデアさん、早く目覚めてください!」


 緑癒は鱗粉を吹き飛ばしイデアを起こそうとした。


「あれ? 元に戻せたと思ったのに、僕なんか間違えちゃったかな?」


 イデアの姿は獣の耳と尻尾が生え、人獣の姿に似ていた。


 緑癒は治し方を間違えたのではないかと何度も医神の眼で確認したが、医神の眼は彼を治し終えたと判断していた。


『緑癒! イデアさんは治ったの?』


『主人様! あのですね。その、イデアさんに獣の耳と尻尾が生えてしまったんです!!!』


『耳と尻尾? それって、どういう事なの?』


『直接見てもらった方が分かりやすいと思うので、イデアさんをそちらにお運びします』


『緑癒1人でイデアさんを運べるの? 誰か送ろうか?』


『大丈夫ですよ! よいしょっと。それでは、そちらに向かいますね!』


『分かったわ。気をつけてね』


『はい!』


 緑癒はイデアを抱えて空を飛び主人様の元へ向かった。


「ふぅ、はぁ、はぁ、重いぃ。ふぅ、ふぅ、あと少し、あと少しで休めますぅ」


「緑癒! あと少しよ! 頑張りなさい!!!」


「はい!!!」


 緑癒はイデアを無事に主人様の所まで運んだ。


「ねぇ、緑癒、彼はイデアさんで間違いないのよね?」


「イデアさんで間違いないです」


「でも、うーん、まぁ、いっか。ほら、イデアさん起きてー」


 凪はイデアの頬をペシペシと軽く叩いた。


「起きないわね」


「身体は治ってはいると思うのですか、うーん」


「イデアさんの事は私に任せて、緑癒は負傷者を治しに行って」


「僕、イデアさんを運ぶのに疲れたのですが」


「百合姫! 菊姫! 緑癒が負傷者を治すの手伝ってくれるから負傷者達の元へ連れて行ってあげて」


「そんなぁ。少しだけ休んでもいいじゃないですか」


「仕方ないな〜。俺が緑癒を運んであげるよ〜。ネルガルも一緒ね〜」


「俺はゴウライ様を止めに!!!」


「ダメだって〜。それじゃあ〜藍介主人様をよろしくね〜」


 紫水は疲れている緑癒を引きずり、水球に拘束したネルガルと一緒に負傷者の元へ向かった。


「藍介、どうしたらイデアさん目覚めるかしら?」


「そう言われましても、私には分からないです」


「それも、そうよね。この壁さえ無かったら私も一緒に戦えたのに」


「主人様、私がゴウライを倒します! それでは、私は行きます!!!」


「藍介、絶対に死なないでよ。貴方がいなくなったら私、美味しいご飯食べれなくなるの嫌だからね!!!」


「はい! 私が勝てる算段もなく戦うわけないじゃないですか。それでは」


 藍介はフヨフヨさんに乗り、ゴウライの元へ飛んでいった。


「はぁー。森へ来てくれたら戦えるのに、私はいつになったら自由になれるの」


 凪はイデアの顔を優しく撫でた。


「イデアさん、早く起きてよ。この状況なんとかしてよ」


 凪の手にイデアの息を感じた。


「生きてる」


 凪はイデアの唇を指でなぞった。その時、イデアは目覚め。そして、凪を見つめ、イデアは凪の唇を奪った。


「なっ!? やめっ!? ちょっ。んっんっんんん!?」


 イデアは凪を抱きしめ、熱いキスをした。


「はぁっー。凪、僕の凪」


「なにするのよ!!!! この変態がぁ!!!」


 凪はイデアを押して距離を取ろうとしたが、イデアは嬉しそうに凪を抱きしめた。


「なぎ、僕の凪!!! ふぅんふぅんふぅん。僕の凪!!!」


 イデアは凪の顔を舐め、彼女に沢山甘えていた。


「やめなさいっでば!!! んっ? もしかして、クティスなの?」


「凪! 僕はクティスだよ! イデアは今ぼくの中で眠ってるよ。もう、最初から僕に任せてくれたらあんな奴、簡単に倒せたのにイデアは優し過ぎるんだよ」


「えーと、イデアさんは生きているってことよね?」


「そうだよ! でも、イデアは疲れちゃってるから眠ってるんだ。ねぇ、凪! 僕がゴウライ倒したら、僕と結婚してよ!!!」


「結婚しないわよ!!! ゴウライを止めるのは貴方達がやらないといけないことでしょ!」


「えー、僕と結婚してくれるんなら、僕の力でゴウライを倒してあげるのになぁ。僕強いんだよ。イデアも本当は強いけど、優しいからいつも自身に沢山制限かけてさ、そんな事しなかったらあんなに痛い目に合わなかったのになぁ」


「結婚は無理だけど、私のファーストキスを奪ったんだからその分働きなさい!!!」


「えっ!? さっきのが凪のファーストキスだったの!!! 凪の初めてもらっちゃったー!!」


「そうよ。だから、ゴウライを倒しにいきなさい!!!」


 クティスは尻尾をブンブンと振り、幸せそうに微笑んでいた。


「分かった。分かったって、僕のかっこいい姿、凪に見せてあげるね!」


 クティスは凪を放し、壁から飛び降り、ゴウライ目掛けて走り始めた。


「クティスは犬だから、ノーカンよね。ノーカン。くぅぅ。ファーストキスがクティスって、どういうことなのよぉぉぉおおおおお!!!!! 私のファーストキスゥゥゥゥう!!!!」


 凪は1人、壁の上で叫んだ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] みんながそれぞれの場所に行きました。 誰にも見られてないから黙っていれば大丈夫でしょう(ワンちゃんを口止めしないと) [気になる点] また一人と一匹になれるの?
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