ゴウライの足掻き
イデアに与えた全ての痛みを受けたゴウライは倒れ込んでいた。イデアは彼を気絶したと思っていたが、それは違っていた。彼は倒れたが、気絶しそうになりながらも、痛みに耐えていた。
イデアが気を抜いて、座り込み、誰かを名前を叫んでいると、ゴウライは懐から赤い液体の入った瓶を取り出し、赤い液体を飲み干した。
「グハァッ、グ、ガハァッ。フー、フー、フゥー」
「ゴウライさん!!! 何を飲んだのですか!!!」
イデアはゴウライに駆け寄り、緑癒から貰っていた解呪薬をゴウライに飲ませようとしたが、遅かった。
ゴウライは薬を飲ませようとするイデアを投げ飛ばし、立ち上がり、湧き上がってる魔力を解放した。
「この力さえあれば!!! お前なんぞに我は負けん!!!!」
「ゴウライさん!!! それは、呪いです。今すぐに解呪しないと!!!」
「煩い!!!」
ゴウライはイデアの胸元を殴ると、イデアの上半身が破裂した。
「なんと!!! 一撃でこやつを殺せるとは!!! 愉快! 愉快!!! ああ!!!! 足りぬ!足りぬ! 我はもっと血が見たい!!!」
ゴウライは下半身だけのイデアを蹴り上げ、他の獲物を探した。そして、彼は撤退をしている兵士達を襲い始めた。
イデアがゴウライに殺された瞬間を見てしまった凪は吐き気を我慢して、緑癒を呼んだ。
『緑癒! 緑癒!今すぐにイデアさんを助けてあげて!!!』
「なんと、酷い。あれが心ある生物の所業ですか!」
「ゴウライさん!? はぁ!? どうなってやがる、仲間を殺し始めた!? すまん、俺はゴウライさんを止めに行く」
ネルガルが壁を降りようとした時、紫水がネルガルを止めた。
「ネルガルダメだよ〜。ネルガルじゃ相手にならない〜」
「離せよ! 仲間が殺されていくところを黙って眺めたらってことかよ!!!」
「ネルガルが行ったって何もできないでしょ!!!」
「そんな事ない!!! 俺は行く!!!」
「紫水! ネルガルを止めなさい!」
「うん〜。ネルガルごめんよ〜」
紫水は飛び出そうとしたネルガルを水球に閉じ込めた。
「ふざけんなよ!!! 今すぐに俺を解放しろ!!!」
ネルガルは水球を何度も叩いたが、水球は割れる事なくネルガルを拘束していた。
『主人様、イデアさんがどうしたのですか!』
『ゴウライに体を粉々にされたのよ』
『ひぇぇぇっ!? 同じ魔王軍の仲間なのになんと酷いことを、分かりました。すぐに向かいます』
『緑癒様、俺に捕まってください。武人とも思えぬ所業に俺が鉄槌を下してやります!!!』
『灰土!!! 私は壁から降りれないから援護してあげれないけど、大丈夫なの?』
『お任せください。あのような者には負けません』
灰土は緑癒を足で掴むと全速力でイデアの元へ向かった。
緑癒はイデアの体に鱗粉をかけてイデアを治し始めた。
「緑癒様1人にしても大丈夫ですか」
「はい! 灰土さんは魔王軍の兵士達を助けてあげてください!」
灰土はコクリと頷くと、ゴウライの元へ飛んでいった。
「普通なら死んだ者には、鱗粉でも治すことはできませんが、鱗粉が効いている。不死は伊達ではないと言うことですね」
イデアだった肉片はゆっくりと集まり、体を形成し始めていた。
『主人様! イデアさんは死んでいません! 時間は少し掛かりますが、僕に任せてください!!!』
『良かった。緑癒、お願いね』
『はい!』
緑癒は鱗粉を辺りに振り撒き、イデアの肉片達は少しずつ集まるスピードが早くなっていった。
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