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 ガルバス平原では、イデアとゴウライは死闘を繰り広げていた。


 戦況はゴウライが優勢。イデアの周りに、自身の血で出来た、血溜まりができていた。


「不死というのは一生死ぬ事ができず、大切な人を見送るだけの人生。さぞ、虚しいよな」


 ゴウライは槍を振りかぶりながら、イデアに話しかけた。


 イデアは大鎌で槍を弾いた。


「おや、ゴウライさんが私を憐んでくれているのでしょうか。珍しいこともあるものですね」


「我は、お前を超える為に魔王軍に入った。なのにだ、お前は我の夢を踏みいじった。あの時、我との一騎討ちに、お前はなぜ手加減をした! どうして、今の姿を出さなかった!!! 我は、お前が本気で戦う相手ではなかったということがぁぁあ!!!!」


 ゴウライは天雷をイデアに落とした。


「そうですね。あの時はゴウライさんに期待していたので、私との戦闘において、貴方に怪我をして欲しくなかったのです」


「お前という奴はいつもそうだ。戦いにおいて、相手に優し過ぎる。それは、相手にとって侮辱と同義。我は、あの時の屈辱は決して忘れていない」


 ゴウライは呼吸を整え、槍を一回転させて構えた。


「万雷轟く、雷空らいくう鬼怒きどたる我の力を一槍に託す」


 ゴウライの槍が黄色の光を放った。


雷槍らいそう雷騰閃光らいとうせんこう


 ゴウライはその巨体には似合わない速さで一瞬にしてイデアに詰め寄り、雷を纏った槍でイデアの心臓を突き刺した。雷槍はイデアの心臓を突き破り、全身に雷が巡った。


「ぐはぁ。くっ。痛い、痛い、はぁーーー。痛い」


 イデアは吐血し、不死だとしても心臓を治すには時間が掛かる。イデアは痛みを堪え、心臓を突き刺した槍を左手で掴み、右手だけで大鎌をゴウライに振り翳した。


「フン、遅いわ!!!」


 ゴウライは槍から手を離し、大鎌を素手で受け止めた。


「触りましたね。虚痛ヴェインペイン


 ゴウライが大鎌を受け止めた時、イデアのスキルが発動した。


「なんだ、と」


 ゴウライは今までイデアが受けたダメージを全て味わった。


 その痛みは想像を絶する痛みで、ゴウライはその場で気絶した。


「これが、心臓を突き刺された痛みです。とぉーっても痛いですよね」


 イデアは後ろに崩れるようにして地面に座った。


「はぁーーーー。このスキルは本当に使いたくなかった。ですが、無傷でゴウライさんを止めるにはこれしかないですし、彼の身に何かあったら、カーラーさんとミーライちゃんが悲しみます。でも、痛すぎますよ!!!! なぁぎぃさぁぁぁん!!!! 私を癒してくだぁさぁぁぁいいぃぃぃ!!!!」


 壁の上でゴウライとイデアの戦いを双眼鏡で観戦していた凪と藍介はイデアの勝利を喜んでいた。


「イデアさん勝ったわよ!!!」


「うーん、あの大鎌に何か仕掛けがあるのですかね? ゴウライが大鎌を触れたら何故か倒れてしまいましたね」


「別にいいじゃない、勝ったんだから!!! これで、やっと休憩できるわね!!! ねぇ、藍介、この壁はこのままにしといた方がいいかしら? それとも、壊しちゃう?」


「主人様がお辛いのでしたら壊してもよろしいかと。このような壁があると、人間が壁に使われている魔石を取りに来る可能性があります」


「それは、嫌よね。あっ、でも、今すぐには壊したくないわね。成れ果てが逃げ出しちゃうかもしれないし、うん。今日はこのままにしましょうか」


 すると、壁を登ってくる波が現れた。


「ヒャッホーイ!!! 紫水壁まで登れるぜ!!!」


「ネルガルはしゃぎ過ぎだって〜」


 ネルガルと紫水の声が聞こえた凪は壁の下を覗き込んだ。


「えー!!! 壁を登りながらのサーフィン!? どういう事!?」


「ん? あれは主人様がネルガルに渡した手袋の力ではないのですか?」


「私は水を出せる魔石を手袋に付けただけよ。なんで、あっ!!! 水を操れる能力付与したかも!」


「ネルガルのサーフィン愛は計り知れないという事ですね」


「さすが、サーフィン脳」


「凪さん!!! これすげぇぇよ!!! 本当にありがとう!!!」


「ふぅ〜。ん? あれあれあれあれ〜。どうして〜、藍介がぁ〜、主人様の胸の中にいるのかな〜。かな〜。あれれ〜。俺達は〜、必死に成れ果てを〜、倒してたのに〜、藍介は主人様のお胸中って〜、おかしくない〜!!!」


 紫水は藍介を水責めの刑に処した。


「あばぁぁはぁぁ。し、し、しぬぅぅ」


「紫水! やめなさい!」


 紫水は凪に怒られて藍介を解放した。


「だって〜。藍介だけずるいよぉ〜。俺〜、成れ果て24体倒したんだよ〜。なのに〜、藍介は主人様の側にいるの〜腹立つ〜」


「助かったぁ。ふぅー、主人様、紫水を怒らないでください。紫水のおかげで我慢できましたし」


「そう、藍介がそういうなら、もう怒らないけど」


「紫水、後で例のアレでお詫びしますから、怒らないでください」


 すると、紫水の触覚がピーンと伸びた。


「ほんと!!! アレしてくれるの〜!!! そうだな〜、仕方ないな〜。今日の所はこれで勘弁してあげるよ〜」


「なによ、アレって」


「アレはアレですね」


「分からないわよ!!!」

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 サーフィン好きネルガルと、もちゃもちゃサーフボードを食べている紫水

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 捨て身の勝利でした。後のことまで考えているとは……疲れましね。ご褒美を奮発してあげないと♪(例えば水着でワンちゃんを一緒に洗ってあげるとか) [一言] アレはアレですね。(感覚共有だっけ?…
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