花茶とライネルのデュエット
「クソカスがぁぁぁぁ!!!」
ライネルは自身のスキル怒声で成れ果てを吹き飛ばし、花茶が木杭を使いとどめを刺していた。
「くそがぁぁあ!!!」
「なぁ、花茶、俺の真似するなよ。藍介さんに怒られちまうだろ」
「えぇー! ライネルお兄ちゃんの真似したら、花茶も声だけで化け物ぶっ飛ばせるかなって」
「俺はスキルがあるが、花茶には、ねぇだろ。スキルなしじゃ、俺みたいに飛ばす事は出来ねぇよな」
「でも、でも、花茶ね。アお姉ちゃんに歌姫の才能があるから弟子にしてあげるって言われてね。少しだけお歌の練習してるんだよ!」
「歌と飛ばすのは違わねぇか?」
「じゃあ! アお姉ちゃんに教わったお歌披露してあげるね!!! すぅぅぅぅーーーーー。はぁーーーーーー」
花茶はゆっくりと深呼吸をし、アから教わった歌を思念を辺りに送った。
「花茶の場合思念だから意味ねぇだろ。まぁ、歌はうめぇと思うけどな」
「ライネルお兄ちゃんありがとう! うーん、アお姉ちゃんに教わった通りにやったのに、木がぶぁぁぁってならないな?」
「なんだよ、その、ぶぁぁあって奴は?」
「それがね、アお姉ちゃんがお歌を唄うとね。木さん達が嬉しくなって、ぶわぁぁぁあってなるの!」
「あのよ。アお姉ちゃんって前に話していた豊穣の森の管理者だよな? 何度か森へ行ったけど、俺は一度も会った事ねぇぞ」
「アお姉ちゃんは恥ずかしがり屋さんだからね!」
「そりゃあ、やっぱり、藍介さんが言っていた事で間違いねぇな。でも、そうなると、この歌を作ったのは花茶だって、ことに」
ライネルはブツブツと独り言を言っていた。
「ライネルお兄ちゃんどおしたの?」
花茶はライネルの顔を覗いた。
「なんでもねぇよ。ほら、化け物がきたぜぇ!」
花茶に向かって走ってくる2体の成れ果てがいた。
「ねぇ、ねぇ、ライネルお兄ちゃんも花茶と一緒に唄おうよ!!!」
「歌かぁ、俺は音痴だぞ」
「そんなの関係ないよ。お歌は楽しんで唄えればいいんだよ!!! それじゃあ、こうしよう! 百花奏乱!!!」
花茶がスキルを発動し、花茶とライネルの周りに花が咲き乱れた。
「しゃぁーねぇ!!! 歌ってやるよ!!!」
「やった! それじゃあ! 音楽スタート!!!」
花茶の掛け声と共に花達は音楽を奏で始めた。そして、ライネルと花茶は歌を唄いながら、成れ果てと戦った。
《石花の夢〜。世界の大樹〜。通り巡る万年の旅〜。弟妹と出会いに安らぎを〜。悲しみ来たる暗黒の凶星〜。眩き大樹が鉄槌を下す〜。星々は新たな樹への祝福を〜。弟は月へ〜。妹は天へ〜。新たな豊穣を実らせる〜》
「なぁ、この歌の歌詞良くわからねぇ」
「そうかな? 歌の意味なんて花茶分かんない! それよりも、唄おうよ!!! 花茶! ライネルお兄ちゃんと一緒に歌うの楽しい!!!」
「まぁ、楽しかったけどよ」
「よし!もう一回唄おう!!!」
「仕方ねぇ、付き合ってやるぜ!!!」
その後、2人は同じ歌を57回唄った。
花茶は大満足だったが、ライネルは声が少し掠れ、疲れていた。
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