銀次と金色丸は個性的な虫に出会う
「オラの縄張りに何するんだぁ!!!」
大きなカブト虫が成れ果てを立派な一本の角で器用にぶん投げていた。
「金色丸。またお主のエリアに成れ果てが残っているぞ」
「分かってるだぁ! でも、投げ飛ばすのにも限界があるんだ」
「儂も、関節が痛くなってきてのぉ。もう、儂も若くないのじゃな」
「ハァーニィー!!! やっちゃっておくれぇぇー!!!」
2人は知らない男の声の思念を受け取った。
「誰じゃこの声?」
「はぁにぃ? って何だ?」
すると、女性の声の思念が送られてきた。
「ゴハン。ゴハン」
「ハァーニィー。これは食べちゃダメだぞ。アルゥジィ様が言っていただろ」
「ゴハン? ゴハン、ゴハン、ゴハン?」
「お腹減っててもダメだよハァーニィー」
「ゴハンンンンンンン」
「ハァーニィー。分かってくれたんだね! ハァーニィーは偉いねぇ!」
「ゴッハン!」
銀次と金色丸の前には2人と同じぐらいの大きなカマキリが、成れ果てを器用に鎌を使って捕まえ、成れ果てを食べようとしていた。それを、大きなカマキリの半分の大きさのカマキリが止めていた。
「ハァーニィー。だぁかぁらぁー! 食べちゃダメなんだって!!!」
「ゴハンン」
「可愛く言っても駄目だよ。ハイ! 息の根止めてあげて」
「ごはん」
大きなカマキリは成れ果ての首を噛みちぎり、成れ果ての首がコロコロと地面に転がった。
「ゴハン!」
「ハァーニィー! ダメだってば!!!」
銀次は2人に近付き、尋ねてみた。
「お主、カマキリなのに普通に話せるのか?」
「おやぁ。渋いグランパがいるねぇ。それと、たくましぃ坊ちゃん付きだね」
「ゴハン?」
「ハァーニィー、彼等とは戦っちゃダメ」
「ゴハンン」
「おっと、ごめんよグランパァ。俺のハァーニィーは少しだけお腹が減ってて何でも食べようとしちゃうんだ」
「カマキリ族はそう言う人が多いからな。でも、お主は違うようだな」
「俺はハァーニィー達とハァーレェムを築き上げていたのに、変な化け物のせいで、ハァーニィー達が殺されてしまってねぇ。本当に悲しいよ」
「それは、気の毒に」
「すまないグランパァ少し聞きたいことがあるんだがいいかい?」
「聞きたいことか。それは何だ?」
「あの化け物は何なのか知っているかい?」
「緑癒様が仰っていたのはドラゴンの呪いを受けた人間の成れの果てだと」
「ヒューマン。ドラゴンの呪い。こんな姿にされたヒューマンには同情しちゃうね。だけど、俺のハァーニィー達を殺した罰を償って貰わないとね。この人間はどこから来たんだい?」
「すまぬが、それは儂らにも分からないのじゃよ」
「そうかぁ。分からないか。情報を教えてくれてありがとうグランパ! 俺とハァーニィーは発生源を探しに行くさ! さぁ、ハァーニィー! ヒューマンを倒しに行こう!!!」
「ごはん!!!」
カマキリの2人は銀次と金色丸前から去っていった。
「オラ、何も話せなかった」
「カマキリでも自我を保てる者がいたのだな。今度、主人様に合わせてみたいのぉ」
「仲間が増えてくれるのは、オラ嬉しいだ!!!」
その後、金色丸と銀次の元へ、ネルガルと紫水が到着し、成れ果て達を倒し始めた。
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