イデアとゴウライ
ガルバス平原では、黒い雲から雷が降り注ぎ、灰色の竜巻が吹き荒れていた。雷は大きな蝶を狙い、竜巻は鬼人を追いかけていた。すると、1人の男が戦っている2人の前に現れた。
イデアは2人の間に入り、戦いを止めた。
「灰土さん! ここは私に任せてください」
「イデアさん!? だが」
「こちらの問題ですので、私で対処させてください」
「分かった。主人様もそう臨んでいるのだろう。俺は引くことにする」
「灰土さん、ありがとうございます」
蝶は森の方へと飛んでいった。
「イデア!!! なぜお主がここにいるのだ!」
「軍を私物化し、兵士達の命を奪った罪」
イデアの右目の仮面が、彼の顔の鼻から上を覆い、短髪だった髪が地面に付くほど長く伸び、彼の手に持っている黒い大鎌は深緑に変色していた。
「そして、私の最愛の女性。凪さんの配下を殺し彼女を悲しませた罪!!! それと!!! 藍介さんが凪さんの谷間に入る原因を作った罪!!! その身を持って償え!!!」
「谷間?」
イデアは大鎌を構えて一瞬にしてゴウライに詰め寄った。
ゴウライはイデアの攻撃を槍で受け流すと、イデアの心臓に目掛け一撃をいれた。
「ハァッ!!!」
ゴウライの拳はイデアの長い髪に絡まり、拳が抜け出せなくなってしまった。
「なんだこれは!?」
「ゴウライ、痛いですよ。あぁ」
イデアは不気味にニヤリと笑った。
「この姿の私の戦うのは初めてですよね。貴方がこんな事をしなければ、死ぬことなんてなかったのに。あぁ、残念だ。本当に残念だ」
「我がお前なんかに負けるわけがなかろう!!! 天雷!!!」
ゴウライは自身に雷を落とし、イデアの髪から拳を救出して彼から距離を取った。
「痛い、痛い。あぁ、痛い」
ゴウライは初めて見るイデアの様子に畏怖しながらも、槍を構えた。
「お主も本気なら、我も本気を出すとしよう」
ゴウライは自身に雷を10回落とし、彼の身体に雷を纏わせ、槍の先端は赤く光り輝いていた。
「さぁ、こい!」
イデアはゆっくりと歩き、大鎌に手をかけた。
「虚狼翔る。巨人の亡骸。血に染まりし、不死の獣は罪人の首を喰い千切る。虚痛」
イデアは大鎌の刃にドス黒い赤いオーラを纏わせた。
そして、ゴウライとイデアは刃を交えた。