羽化
魔蟲の洞窟4層目、主人様の家に1人だけ取り残されている人物がいた。
虫籠の中でじっとしている大きな蛹。そう、灰土は戦いに参加できない自分を恥じていた。
俺が今まで力を求めていたのは皆を守る為。そして、主人様をお守りする盾となる為だったのに、どうして、俺は戦えないんだ!!! 俺は、俺は、いつになったら、それなら、幼虫だった時な方が断然良かった!!! くそぉ! どうすれば、俺は、俺は皆を守りたい!!! この力を出し切り敵、悪から皆を俺は守りたいんだ!!! 神がいるというのなら、俺はこの状態から解放してくれるのであれば俺は何だっていたします。だから、だから、俺が戦える姿にしてください!!!
『女神シンカよりギフトが贈られました』
急に聞いたことのない女性の声が頭に響き渡り灰土は驚いた。
「わっ!? 女神シンカ? ん? 誰なんだ?」
『称号 魔蟲の洞窟4層目長』
灰土の体は光り輝き、ついに灰土は巨大な蝶へと羽化した。羽化したばかりなので、羽が萎れ、灰土は羽を伸ばし、力強く羽ばたいた。すると、羽ばたく力で虫籠が壊れた。
「俺の家を壊してしまった!!! どうすれば、いいんだ。いやいや、そんな事を考える時間はない。今すぐに主人様を助けに行かなくては!!! 待っていてください。俺が全ての敵を一掃してやります!!!」
巨大な蝶は青に黒い斑点模様の羽を力強く羽ばたかせ、風圧によって主人様の家の瓦が吹き飛んでしまっていた。
「うわ、いや、反省するよりも、行くぞ!!!」
蝶に羽化した灰土は主人様がいる森へ向かった。
洞窟内で避難していた虫達は灰土の羽ばたく力で発生した突風に吹き飛ばされ、蜘蛛達が糸を使い飛ばされそうになっている仲間を助けていた。
「すまん、本当にすまん」
灰土は周りに謝りながら洞窟内を飛び。
「やっと、外に出れた。太陽の日差しがこんなにも暖かく感じるものなのか。戦いに備えて、鎧を作ろう」
灰土はスキル『土風岩嵐』を使い、羽ばたきながら自身の体に岩を纏わせて、岩の鎧を作り出した。
「主人様! 俺が魔王軍と戦います」
そして、灰土は魔王軍との戦いに参加した。
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