防衛戦
『主人様!!! 蜂達が魔石を埋め込み終わったそうです』
「分かったわ! 蜂達に魔石の側から離れなさいって伝えて」
「はい!」
『魔石を埋め込み終わった皆さん! 主人様が今すぐに魔石の側から離れてと言っています!』
魔蟲の森とガルバス平原の境に居た蜂達は一斉に森へ帰っていった。
「主人様、皆さんは森に入りました」
「よし! 派手にやってやりますか!!!」
私は蜂達が埋め込んだ魔石を起動させた。
魔蟲の森とガルバス平原の境に突如地面から魔石が上にどんどん生え、隣の魔石と重なると一枚の壁になり上へ上へと魔石の壁は伸びていった。
ガルバス平原から魔蟲の森へ向かっている魔王軍部隊の中に鬼人で構成されている部隊が参加していた。
「盾護〜。まだ着かないのぉ。絶華ちゃん暇すぎて眠くなってきちゃった〜」
炎燃の背に乗った絶華は暇なので金砕棒を振り回していた。
「姫様、何もないのに振り回さないでください」
「ブギィィィイイイイ!?」
炎燃の頭の上にいた零鐘は平原の異変に気付いた。
「ぶきゅ!? ぶきゅっぶきゅっ!」
盾護の頭になっていた草爛も何かに気付いた。
「ん? どしたの、はぁ? 何あれ? 壁?」
絶華が目にしたのは、青色の壁が上に伸び、20メートルにもなる巨大な壁が魔王軍の前に立ち塞がった。
「はぁぁ!? これじゃあ、前に進めないじゃない」
「なんと、迂回するにも平原が壁に囲まれています」
魔王軍後方にいた八翼の1人の七翼のラックルは突如現れた壁を見て驚いていた。
「ひぇえええええ。何なんですかあの壁!」
彼は辺り見渡し、魔力で作られた壁に囲まれている事を悟った。
「リリアーナさんにゴウライさんについていってあげてってお願いされたから来たのに、あんな莫大な量の魔力の塊を操る存在がいるなんて知らなかったですよ。怖い、めっちゃ怖い。僕、帰っちゃおうかな。でも、何かあると危ないから、旗でも振っておこう」
ラックルは大きな旗を振り、自身と部下達の幸運を上げた。
「これで、何かあっても大丈夫。もう少し僕だけ上げとこう」
ラックルはこっそり自分だけ幸運を上げた。
魔王軍先頭ではゴウライが進軍を止めて相手の出方を伺っていた。
「これが、イデアを倒した魔蟲の洞窟主人の力か、これはどの魔力を操る事などフローゼラーでも、出来ない所業よな。だが、面白い。我の力を存分に振えそうだ」
すると、壁の方から女性の声が聞こえた。
「えーと、魔王軍の兵士達! 今すぐに止まりなさい! これ以上先に進もうとするなら、死を覚悟しなさい」
「それはできな話だな、壁なぞ破壊すればいいだけの話、皆の者よ進むぞ」
ゴウライ達は前に進み始めた。
「ねぇ、ねぇ、ゴウライ様。炎燃が暴れたいみたいだし、壁を破壊するの絶華ちゃんに任せてよ」
「絶華姫、暇すぎてやる気がなかったのに急にどうしたんだ」
「思いっきり暴れそうじゃん。ゴウライ様は敵の大将相手したいでしょ、絶華ちゃんも戦かってみたかったけどぉ。こんなの見せられたら絶華ちゃんだけじゃ力不足だし、暴れられるのはここぐらいかなってね」
「ほう、やっと相手の実力を測れるようになったか」
「そりゃ、あんなの見せられたらねぇ、盾護」
「はい、私はあの壁を作った方とは戦いたく無いですね」
「正直でよろしい。というわけで、絶華ちゃん達は壁を壊すことに専念するから、後のことはゴウライ様に任せるねぇー。それじゃあ、先いってくる」
絶華は炎燃から降りると、炎燃は壁に向かって走り始めた。
「よっと、炎燃! 派手にやっちゃって!!!!」
「ブホォ!!! ブホォッ!!! ブボホォォォォォオ!!!」
炎燃が壁に向かって走り始めると、壁の方から女性の声がまた聞こえてきた。
「ちょっと! 私の言ったこと理解してないってことなの!? 私達と本気でやり合いたい」
炎燃が壁に頭をぶつけた瞬間、炎燃の体から蒸気が溢れ出し、炎燃は大爆発した。
「何あの豚!? 爆発したんだけど!?」
壁は炎燃の攻撃によって一時的に壁に穴が空いたが、すぐに修復し壁は元の姿へ戻った。
「ブボォッ!?」
壁を破壊できたと思っていた炎燃が驚いていた。
「ほぉふぇー! 炎燃の攻撃に耐えきれないと思ってたのに、まさかすぐに修復しちゃうなんて、そんなの有りなの!!!」
「あの修復スピードでは常に攻撃していたとしても元に戻ってしまいますよ」
「炎燃に常に爆発してもらう? それだと、兵士達が巻き添えくらっちゃうしぃ」
また、壁から女性の声が聞こえてきた。
「貴方達は私達に敵対しているという事でいいわね。そっちがその気なら受けて立とうじゃない! 後悔しても遅いんだからね!!! 発射!!!」
彼女の掛け声と共に壁の上からピンク色の球が大量に振ってきた。
「何あれ、みんな避けちゃって!!!」
「ブホォッ、ブホォッ!!!」
地面に転がっているピンク色の球を誤って踏んでしまった炎燃がピンク色の球に足を取られ動けられずにいた。炎燃は口から火を吹いたが、ピンク色の球は燃えなかった。
「炎燃!!! 今すぐに助けに行くわね」
「草爛! 皆を護りますよ!」
「ぶきゅ!」
草爛は盾へ変身して盾護は炎燃を助けにいった絶華の後を追った。
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