獣は激怒する
私は現在くだらない会議に参加していました。すると、凪さんから貰った腕時計が震えました。凪さんといえど会議中では応答することが出来ません。くだらない会議ですが、それはそれ、仕事中なので会議が終わったら連絡しましょう。あっ、これは建前で、本当はドーレーラムさんがいるので腕時計で遠くにいる人と会話できるなんて知られたら、荷車だけでなく腕時計まで持っていかれそうで怖いのですよ。私は彼の力で死なないではなく、即死しながら復活をしているので、体がきついんですよね。死んだ、復活、死んだ、復活を繰り返す。不死だとしても死ぬ感覚は慣れないものなのですよ。
「で、ゴウライとラックルはエルフとの合同軍事演習に向かっているから後で会議の内容を伝えて欲しいんだけど。うん、伝言役をリリにお願いしようかな」
「はーい。伝言役、リリアーナ頑張るわね」
「うんうん。今日のリリも可愛いね。ねぇ、今晩リリ空いてる?」
「魔王様、会議中ですよ」
「少しぐらいいいじゃないか」
「ダメです。会議が終わってからでお願いします。それでは、今回の議題は魚人の国の建国5千年記念のパーティーの贈り物を決めたいと言うことです。やっと、真面目な議題になってホッとしましたよ」
「おい、一言多いぞ」
「おや、失礼。どっかの王は色恋にかまけて仕事をしないので、つい」
「僕だって仕事してるよ。毎日書類に埋まる日々、どうにかしてくれないかなー」
会議室の扉が騒がしくなりました。
「ん、魔法の気配がするのぉ? どれ、わしがみてくるかのぉ」
「私がみますよ」
私は席から立ち、扉の前まで歩いたら扉が開き、チェルーシルがいた。
「チェルーシル? そんなに慌ててどうしたのですか?」
「イデア様、八翼の皆様そして、魔王様。会議中に申し訳ございません。イデア様に至急お伝えしたいことがありまして、イデア様にお話ししたいのですが、少々お時間をお借りしてもよろしいでしょうか」
「ああ、イデア退出していいぞ」
「魔王様、ありがとうございます。それでは、チェルーシルこちらに」
「はい」
私とチェルーシルは会議室の隣の部屋に入った。
「イデア様! 藍介さんから連絡がきています」
チェルーシルは懐中時計を私に見せた。懐中時計から藍介さんがフヨフヨさんを使い、化け物と戦っていました。その化け物は、全身が黒く、人間が四つん這いとなり。そして、首が捻じ曲がり口が上、目が下にありました。
「藍介さん!? その化け物は一体」
「あっ!!! やっとイデアさんに繋がりましたね。イデアさん今すぐに魔王軍を引き返してもらえないでしょうか」
「はい? どう言うことでしょうか?」
遠くの方から凪さんの声が聞こえてきました。
「何なのよこいつら!!! 私を怒らせたからには死ぬ程怖い目に合わせてやるんだから! てか、きもい、キモすぎる!!! 魔王軍だけでも手一杯なのにこの化け物戦うなんてきついわよ!!!」
「凪さん!!! 藍介さん、手短でいいので、そちらの状況を教えてください」
「雷牢屋!!! これで、少しは時間稼ぎが出来ましたね。イデアさん、2時間ほど前に魔王軍が魔蟲の森へ進軍してきまして、主人様のお力で巨大な壁を作り、現在、私達は魔王軍と防衛戦をしています。そして、つい先ほどに謎の化け物が私達を襲い、二つの勢力と戦っている状況なのです」
「すみませんが、本当に魔王軍なのですか? 現在、エルフとの軍事演習に向かった者達以外は外にで払っているものはいないはず。まさか!!! ゴウライさんがそちらに向かったのでは」
「えぇ。ネルガルとライネルがゴウライ様がきたと言っていたので、その方で間違いないと思います」
「ゴウライ。ふぅー。今すぐにそちらに向かいますので、もうしばらく耐え凌いでください」
「分かりました。主人様にそうお伝えしときます」
「私の不手際でこんな事になってしまい申し訳ございません」
「それでは、化け物が動き出しそうなので一旦連絡は切らせてもらいますね」
藍介さんとの連絡が切れ、私の頭の中はゴウライに対する怒りが溢れ出し近くにいたチェルーシルが私が放つ殺気に震えていた。
「チェルーシル。ありがとうございます。すみませんが、もう一つ仕事をお願いしたい」
「はい、何でしょうか」
「この事を魔王様と八翼の皆さんに伝えてください。私は凪さんを助け出しに行ってきます」
「かしこまりました」
「クティス!!!」
私は右目の仮面を投げクティスを呼び出した。
「ガルルルルルルルルルルル」
クティスもまた私と同じで激怒していた。
「凪さんを助けに行きますよ」
「ガウガウガ!!!!!!!!」
私はクティスの背に乗り、魔王城から飛び出し凪さんの元へ向かった。
これで、凪さんに嫌われてしまったら、ゴウライ。貴方を殺します。
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