女神シンカは激怒する
女神シンカは社長室で主神ゼスと2人きりで何かを話していた。
「私の世界には魚人は存在していなかったのに、どうして、貴方は勝手に人間が誕生した同時期に魚人も誕生していることにしているのですか!!! そのせいで、私の部署は3ヶ月以上残業続き、私なんて、家に帰れたのは3ヶ月のうちたったの2回! 2回しか家に帰れなかったんですよ!!! 新たな進化生態の作成、生態系の変化や、新たな種族の出現の観測。あのですね、勝手に種族を増やさないでいただきたい。増やしたいのでしたら、会議を開き、吟味した上で新たな種族を増やすのでしたら、私も何も言いません。ですが! 今回の件に関しては流石の私でも怒りますよ」
女神シンカは椅子に座っている主神ゼスは彼女の怒り具合が考えていたよりも怒っていたので、驚いていた。
「まぁまぁ、アー君が描いてくれた絵がとっても良くてついね」
「ついじゃないですよ!」
「ごめんって。そんなに怒るとシワが増えちゃうぞ」
「ふざげないでください!!! もう、今回の件はどうにか片付きましたが、今度こんな真似したら私はここ辞めますから」
「ちょっと、待ってよ。シンカちゃんは仕事に熱心で、他の神達よりも勤勉。そんな君がいなくなったら僕は困っちゃうよ」
「私がいなくても代わりの者は沢山います。今まで働いてきて初めて辞表届け書きましたからね」
「え!? そんな悲しいこと言わないでよ。僕とシンカちゃんの仲でしょ」
「はぁ、もし、私の世界に勝手に新たな種族を増やした場合、ゼス様の奥様、ヘーラスト様にゼス様が人間との間に子供を作った件伝えますからね」
「うわぁぁぁあ!!!!!! な、な、何で僕の子供のこと知ってるのさ!!! それだけは、勘弁してください。これ以上、浮気バレたら本気でヘーちゃんに殺されちゃう」
「浮気するのが悪いんですよ」
「ねぇ、それ誰に聞いたの」
「アート様です」
「アー君!!! どうしていっちゃうんだよ!!!」
「自業自得です。何人目の浮気相手なんですか?」
「それは、ひ・み・つ。そもそも、僕は主神だよ。何人も女の子と遊んだっていいじゃないか」
「まぁ、そうですね。それでは、私は言いたいことを言えたので今日は家に帰らせてもらいます」
「うん、僕のせいでごめんね。ゆっくり休んでね」
「失礼します」
女神シンカは社長室から出た。
「はぁー、シンカちゃんめっちゃくちゃ怒ってたなぁ。でも、シンカちゃんごめんよ。また、新しい種族増やしちゃうね。アー君来てるんでしょ」
すると、扉の前に神アートが出現した。
「ありゃ、シンカちゃん怖いぐらい怒ってたね。まぁ、残業続きで全く家に帰れなかったなんて、可哀想。シャワールームに天使達が沢山いた理由がよく分かったよ。で、また、やっちゃうの? 虫人だっけ?」
「そうそう、虫人。魚人は急遽作らざる得ない状態になっちゃったからね。いやー、まさか、虫が星に住む生物全てを絶滅させるとは思いもしなかったじゃん」
「彼の出自なら出来て当然じゃない? でも、今からやるのはお勧めできないな」
「どうして?」
「これをやったら、僕がシンカちゃんに嫌われちゃうからね。折角、僕を敬ってくれている神を失いたくないよね」
「えー、いいじゃんー。やってよー」
「今回はダメ。きちんと会議で決めてあげよ」
「はぁー。仕方ないな。まぁ、僕のお気に入りが全く記憶を取り戻せてないからその手伝いでもして楽しもうかな」
「うわっ、悪趣味な事をするね。彼は過去を思い出したくないと思うけど」
「記憶を取り戻してもらわないと僕が必死に探した意味がないだろう。僕は、彼に約束は守る神だったいうのを知ってもらいたいんだよね」
主神ゼスはとても古い日記を手に取った。
「その日記を使うんだね」
「僕の図書館にそっと忍び込ませておくよ。彼なら見つけてくれるはずさ」
「彼は過去を乗り越えられるのかな」
「さぁ、それは観てみないと分からないかな」
「ゼス君、君は全て観てるんでしょ」
「当然じゃないか! 僕は全知全能だからね!」
「それじゃあ、僕は仕事があるから戻るね」
「アー君じゃあねー! へーちゃんには言わないでよ!」
「分かってるって」
神アートは社長室を後にした。
「それじゃあ、僕も動くとしますか!」
彼は楽しそうに、椅子から飛び降り、自身の力で扉を作り出し、沢山の本がある部屋に入ると古い日記を本棚に入れた。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。