獣は策士の罠に嵌る
私は普段通りに身支度を済まして、凪さんが来るのを待っていました。そして、凪さんと合流し。凪さんとの初デート! まさか、凪さんから誘ってもらえるなんて思いもしませんでした。これも、8日間子供達の面倒をみたかいがありましたね。
この8日間は私の5人の妻達との馴れ初めの話をしたり、魔王軍の仕事など、あとは色々な国の事情なども話しましたね。
そして、頭に青いリボンが印象的な白い帽子を被り、白いワンピース姿の凪さんと湖のほとりを2人きりで歩いていました。もう、これだけで、私は幸せです!
「凪さん、ずっと紙を見てどうしたのですか」
「あっ、これは、私が考えたデートプランを忘れない為に書いておいたのよ」
「それなら、私も拝見してもよろしいですか」
「いや、これは、そう! 次やる事が分かったら楽しくないでしょ。だから、この紙は見ちゃダメ」
「それもそうですね。クティスも落ち着いて仮面に戻ってくれましたし」
「いや、あれは強制的に仮面に戻したの間違えじゃないかしらね」
そう、クティスが私と凪さんの2人きりのデートに乱入しようとしていたので、クティスを強制的に仮面に戻して、クティスの妨害を未然に防ぐ事に成功しました。
イデアの右眼を覆っている仮面がブルブルと震えていた。イデアは仮面が動くと手で抑えつけていた。
「ねぇ、イデアさん。クティスも一緒で良かったのにどうして仮面に戻しちゃったの?」
「クティスはずっと凪さんの元へいたのでしょ。なのに、やっと凪さんとの2人きりの機会だと言うのにクティスに邪魔されたくありません。今日は一日中凪さんを独占してもいい日なのですからね」
「まぁ、それもそうね! ここら辺でいいかしらね。ちょっと早いけど、イデアさんお昼にしましょう」
「はい!」
「藍介がお弁当作ってくれたのよ。その前にレジャーシート敷かなきゃね」
凪さんは花柄の布を作り出してその布を地面に敷きました。
「この布フカフカしてますね」
「地面固かったから薄いのだとお尻痛くなっちゃうでしょ。だから、厚めのレジャーシートを作ったのよ。さぁ、食べましょうか!」
「凪さんとの2人きりの食事。はぁーあー! 嬉しすぎておかしくなりそうです!」
「おかしくならないでね。えーと、大きい方がイデアさんので小さいのは私のね」
私は凪さんから料理が入った箱を受け取りました。その箱に入っている料理の見栄えは完璧。美味しそうな香りによってお腹がなってしまいそうになってしまいました。
「藍介さんは多才ですね」
「藍介は何でもできちゃうのよね。まぁ、たまにおかしな事し始めるけど、そこも愛嬌よね。いただきまーす!」
凪さんは2本の木の棒を使い料理を掴みながら食事をしていました。私も凪さんの真似をして木の棒で食べる事にしました。
「それでは、いただきます。凪さん、この木の棒で食べるの難しいですね」
「イデアさん箸は初めて?」
「これが箸なのですね。鬼の国では箸が使われていますが、私は普段スプーンとフォークを使っています」
箱の中の料理は鶏肉を衣をつけて揚げた物、おにぎり、白い野菜の煮詰めた物、ピクルスに似た物など、彩も鮮やかで藍介さんの料理の腕は私が雇っている者と同等、いや、それ以上なのではないかと私は思いました。
「うーん! 藍介の唐揚げさいこう!!!」
「唐揚げ、歓迎会の時に出ていた料理ですね」
私は唐揚げを食べ、口の中で噛むと衣をがサクッとし、その衣の中から鶏肉の肉汁が溢れ出してきて。これ、本当に美味しい!!!
「すみません凪さん、唐揚げのレシピ分かりますか?」
「唐揚げのレシピ? それなら、藍介に直接聞いてみた方が早いわよ」
「そうします! 唐揚げ本当に美味しいです! 美しい湖、美味しい料理、そして、最愛の人。凪さん最高のデートをありがとうございます」
「ちょっと、デートは始まったばっかりなんだから、もっとデート楽しみましょう!」
「はい! それじゃあ、次はおにぎりでも食べますか」
私は丸いおにぎりを食べました。最初はお米に塩が効いていて美味しく感じたのですが、具を食べた時に体に異変を感じました。
「そう言う事‥‥。でしたか」
私はおにぎりに入った毒に意識が朦朧としてきました。
「えっ!? イデアさん! 大丈夫ってイデアさん!?」
藍介さんは凪さんを異性として好いていると言うのは分かっていましたが、まさか、おにぎりに毒を仕込むなんて、ずっと藍介さん、紫水君、緑癒さんの気配を感じでいましたが、こう言う事だったのですね。
そして、私は倒れ込み。毒によって私は一度死にました。
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