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メイドとの会話 前編

 イデアは夜に緊急仕事ができてしまい魔王城へと向かおうとしていた。


「エーデル! メルト!」


「イデア様! どうしたのですか?」


 エーデルがイデアの声を聞きつけてイデアの元へ駆けつけた。


「私はこれから仕事に行ってきます。それで、遠出の準備で少々寝室が散らかってしまったので片付けてください」


「かしこまりました! でも、こんな時間に呼び出されるなんて大変ですね」


「オビリオンさんから今すぐきて欲しいと呼ばれてしまったので仕方ないですよ。メルトはまだ来ないのですかね」


「メーちゃんには私から話しておきますよ!」


「それでは、掃除よろしくお願いしますね」


「はーい! イデア様いってらっしゃーい!」


 イデアは屋敷を出て魔王城に向かった。


 イデアの屋敷で住み込みで働いているメイドのエーデルは、ご主人様の寝室を一緒に働くメイドのメルトと2人で掃除を始めた。


 寝室はイデアが言っていた通り色々な物が散乱していた。


「こりゃあ、掃除大変だね」


「ふぁーあーあ。 ご飯食べたから眠くなってきちゃったよぉ」


 羊の人獣メルトは欠伸をしながら箒をはいていた。


 エーデルはベットの隣に飾ってある5つの頭蓋骨を指差した。


「メーちゃん! メーちゃん! 奥様達の頭蓋骨メーちゃん拭いてよ」


「えー、奥様の頭蓋骨はそのままにしておこうよ」


「だって、埃かぶっちゃってるんだよ! 綺麗にしてあげなきゃ!」


「毎日イデア様が拭いていると思うんだけど。って、本当だ埃ついてる」


 メルトは真ん中にある頭蓋骨の上に埃が被っているのを見てしまった。


「メーちゃん見つけたからには拭いてね!」


「はぁー、奥様の頭蓋骨触るの怖いなぁ」


「メーちゃんファイトー! 私は散らかってる書類片付けちゃうね」


「しかたない、やるかぁ」


 メルトは真ん中の頭蓋骨を優しく布で拭いた。


「よし、これで大丈夫」


「私の方は掃除終わったけどメーちゃんの方は終わった?」


「うん、綺麗に埃取れたよ」


「ねぇねぇ、食堂に寄って果実水もらおうよ」


「それもいいね。今日はリンゴ水だっけ?」


「うん! よし! 食堂に行こー!」


 エーデルとメルトが寝室から出ようとした瞬間、寝室にある机の引き出しから音が鳴り始めた。


「ひぇっ!? なに!?」


「うわぁあわぁ!!!」


 2人は音に驚いた。そして、恐る恐る音が出ている机の引き出しをゆっくりと引いてみると、中には月の模様が彫られている懐中時計が入っていた。


「これって、確かイデア様が会いたいと言っていた。えーと、凪さんだっけ、その人から貰った物だよね?」


「うん。あれ? エーデル触るの?」


 エーデルは懐中時計を取り出し机の上に置いてみた。


「それにしても、どうしてこれから音が出ているのかしら? それに、この懐中時計震えてるわ!」


 震えている懐中時計を見てエーデルは好奇心に勝てなかった。エーデルは月の模様を触ると、突如、懐中時計が光出した。


「エーデル! 何やってるの!」


 懐中時計の光が上に集まり、その光から黒髪の女性が現れた。


「イデアさんごめんなさい! お願いしたいことあるんだけどいい? って? あれ? 貴方達、誰なの?」


「懐中時計からゴーストが出たー!!! メーちゃん! 今すぐにチェルねぇ連れてきて!!!」


「分かった! エーデルはゴーストを逃さないようにしといて」


 メルトはメイド長のエルフのチェルーシルを呼びに向かった。


「ゴースト! 私はイデア様の屋敷メイド。エーデル! 私の魔法を受けなさーい!!! 火玉ファイアーボール!!!」


 エーデルは女のゴーストに向けて火玉ファイアーボールを放ったが、火玉ファイアーボールは光を通り抜け奥のガラスに当たり、ガラスが溶けてしまった。


「あのー、私ゴーストじゃないから魔法撃っても意味がないわよ」


「うそっ!? 火玉ファイアーボールが効かないの!? でもでも、ゴースト系には魔法攻撃が有効のはずなのにどうして!!!」


「どうしてって何も、私はゴーストじゃないわよ」


「だったら、あなたは一体誰なのよ!」


「私は魔蟲の洞窟の主人の凪よ。イデアさんから私の事話聞いてない?」


「凪さん!!! あなたがあの凪さん!? どれどれ、うーん、可愛らしい顔だけど平均的な顔よね? イデア様は一目惚れって言ってたけど、イデア様の顔の好みは可愛らしい系なのかしら?」


「貴方、本人が目の前にいるのによく平均的って言えるわね。まぁ、実際に私の顔は平均的な顔だから、否定できないけど、傷付くわ」


「あっ! ごめんなさい!イデア様が一目惚れする程の美女だと思ってたんで、凪様の顔を見て驚いたというか」


「腹が立つから、貴方はこれ以上私の顔について何も言わないで」


「ごめんなさい」


「それで、どうしてイデアさんが居ないの?」


「それは、お仕事で先程外出したので」


「仕事か、それなら、仕方ないかぁ。うーん、そうなると明日の朝連絡しようかな」


 エーデルは内心焦っていた。


 どうしよう! 私イデア様の好きな人を怒らせちゃった!!! だって、私が想像した美人とは違かったんだもん! まさか、可愛い系の人だとは思わないでしょ! そうだ! 私が凪様と仲良くなって、凪様をイデア様とくっつければ、イデア様から褒美貰えるかも! 出来ればお金が欲しいなぁ。 あの状態のイデア様だと凪さんに引かれておしまいよ。うん! 私がイデア様の恋のキューピットになってみせるわ!!!!


「凪様、さっきは本当に申し訳ございませんでした。もしよろしければ、イデア様に伝える内容を教えてもらえませんか」


「急に態度変えてどうしたのよ。欲しい物があって調達してもらえないか頼もうとしていたのよ」


「欲しい物は何ですか?」


「砂糖なんだけど、大量に欲しいのよね」


「砂糖ですか? どのぐらいの量が欲しいのですか?」


「この前あげた荷車3台分ぐらい欲しいわね」


「えー!? そんな大量に何に使うんですか! そんなに砂糖食べたら虫歯になっちゃいますよ」


「私が全部食べるわけないじゃない! 労働の報酬として砂糖が必要なの」


「あー! びっくりした。私てっきり凪様がお一人で食べるのかと考えちゃいました」


「貴方、思った事を話す時は一度考えてから話しなさい」


「チェルねぇに言われたこと言われちゃった!?」


 その時、チェルねぇとメルトが寝室に入ってきた。


「ゴーストはどこなの!」


「エーデル大丈夫だった?」


「チェルねぇ! メルト! ゴーストじゃなくて凪様だよ!」


「凪様? って!? あの凪さん!?」


 メルトは目を丸くして驚いていた。


「そうよ。その凪さんよ」


「お初にお目にかかります。私はイデア様の屋敷で働かせてもらっている。メイド長のチェルーシルといいます。以後お見知りおきよ」


「こちらこそ、私は魔蟲の洞窟の主人をやっている。凪と申します。チェルーシルさんよろしくね」


「私はメルトですぅ」


「メルトさんもよろしくね」


「はいー」


 自己紹介が終わり、さっきまでエーデルと話した事を説明したのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いるんですよね、失言の多いメイドさんって♪なんでかな~(笑) [一言] 姦しい一幕が始まるみたいですね。
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