蟻の女王
私は菊姫に蟻の居場所を案内してもらった。
森の中央にある湖の辺りに2メートル程の大きな穴が空いていた。
「これが、アリの巣ってことよね」
「はい、蟻達は中央の湖を拠点を置き活動しています」
「あたい蟻嫌いなんだよね。話通じるのが女王だけだし、他は命令がなかったら何もできない奴らなんだよ」
「巣の前にいる方に話しかけてみますね」
菊姫はアリの巣穴の前に立っていた蟻に話しかけていた。そして、話し終えた菊姫が戻って来た。
「主人様! 蟻の女王と面会できるみたいです!」
「ほんと! なら会いに行きましょうか!」
「主人様、蟻の女王が代替わりしていなかった場合は逃げる事も視野に置いといたほうがいいです」
「どうして?」
「私達は一度蟻達と衝突しているので、女王に快く思われていないと思うのです」
「私がいるから大丈夫よ! ほら、行くわよ!」
私は菊姫と百合姫と一緒に蟻の巣へ入った。その際、入口にいた蟻が道案内をしてくれる事になった。
「主人様。はぁー、緑癒主人様を抱き抱えて逃げれる準備をしといてください」
「藍介さん分かってますよ。僕はいつでも逃げる準備できてます!」
私の後ろを追うようにして、藍介と緑癒も蟻の巣へと入った。
巣の中へ入ると様々な大きさの蟻がいたが、全て黒い蟻だった。
1年前の私なら怖くて巣に入らなかったと思うけど、今の私は昔の私より成長したのよ。全く怖くないわ!蟻の大きさが殆ど花茶と同じぐらい大きいのは、うん、大丈夫。怖くない。怖くないわよ! だって、私はこの洞窟と森の主人なんだから攻撃されるわけないわよね?
辺りを見渡すと、蟻、蟻、蟻。この子達の巣なんだから蟻しかいないのは分かるわよ。でも、数が多いような気がするんだけど、あまり怖いことは考えないようにしよう。
その後、蟻の女王がいる場所まで歩いているんだけど、長い!!! 私どのぐらい歩いてるのよ! 1キロは余裕で歩いてるんじゃない! 足疲れたー!!!
私は道案内してくれている蟻に話しかけてみた。
「ねぇ、いつになったら女王に会えるの?」
「ジョウオウ、マダ、サキ」
蟻が返答すると百合姫が驚いていた。
「へぇー、女王の命令以外で話しているの初めてみた」
「私も初めてです」
「ひぇぇー、一杯蟻がいますぅ。藍介さん僕後ろに隠れてていいですか」
「私の後ろにきても隠れることなんて、できませんよ! ちょっと押さないでくださいよ!」
「主人様、僕怖いですぅ」
「はいはい、こっちに来なさい」
「はい!」
怖がる緑癒を宥めるために私は緑癒の頭に手を乗せて歩く事にした。
「主人様の手は温かくて安心できますぅ」
それから30分ほど歩き、やっと、私達は女王の元に辿り着いた。
蟻の女王は岩を加工して玉座に座っていた。
蟻の女王は羽が生えていて、周りいる護衛の蟻も羽蟻だった。
凛とした女性の声が聞こえた。
「お主が我等の主人様か?」
「初めまして、名前を凪っていいます。よろしくね!」
親しみやすいように軽い挨拶にしてみたけど、不味かったかな?
「お主、我が考えていた主人様像とはかけ離れているな、本当にこの人間が我等の主人様なのか? 6層目の賢者よ。本当に、この人間が我等の主人か?」
「蟻の女王よお久しぶりです。そうです。このお方こそ我等の主人! 私達の見た目を恐れず、優しく接し、私達を導いてくれる方なのです」
「はぁー、我が期待していたのは強気者だったのじゃが、前のリリアーナと変わらんではないか」
「あんな奴と一緒にしないでください! 主人様は私達を触れることができるのですよ!」
「ほぉー、なら、お主は我に触れるのか?」
「触っていいの?」
「あぁ、我に触ってくれ」
「それなら、触るわね」
私は蟻の女王の元に行き、頭を撫でてあげた。女王は私の体に触角を当ててきた。
「ひんやりして気持ちいいわね」
私は女王を抱きしめみた。
「なんと!? お主!? 我に近付いて大丈夫か?」
「貴方の体ひんやりして気持ちいいわね」
「ハッ! お主命知らずじゃな!!! 面白い! 我等の主人様は面白いな!!!」
女王蟻は私を気に入ってくれたみたいで良かったわ。これなら、偽ダンジョン制作に協力してくれそうね!
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