女王の名前
私は熊之助の仇である熊を追いかけたが、熊は森から出た為、森の外に出れない私は熊之助の仇を討つことができなかった。
「あー!!! くそぉ!!!! 戻って来なさいよ!」
熊はどんどん遠くへ行き、熊が見えなくなってしまった。
「はぁー、何なのよ。花畑に向かいましょうか」
私は熊之助の仇を諦めて花畑に向かった。
花畑に着くと蜂達は私を歓迎してくれた。
私に気付くと藍介が駆け寄って来た。
「主人様! 主人様の殺気に蹴落とされハイベアーが逃げてしまいましたね!」
「物凄い迫力がありましたね!」
緑癒は緑な鱗粉を振り撒きながら歩いて来た。
「熊之助が熊じゃなかった。ハイベアーに攻撃されて両手足が外されていたのよ!!!」
「だから、あんなに怒っていたのですね」
「まぁ、主人様のお陰で助かったのですからよかったじゃないですか」
東の女王と北の女王が私の元へやって来た。
「主人様、助けていただきありがとうございます。私に出せるものはこれぐらいしかないのでお納めください」
東の女王は葉に包まれたハチミツを私に渡した。
「ありがとう。まさか、貴方達に名前をつけようと考えて来たのにこんな事になっているなんて驚いたわ。私が来るまで耐えきったわね。偉いわよ貴方達」
私は東の女王と北の女王の頭を撫でてあげた。
「主人様ありがとうございます」
「なんだよ、急に触ってくるなよ」
私は周りを見渡しスズメバチとミツバチの仲が前よりもいい雰囲気になっている事を感じた。熊之助には申し訳ないけどハイベアーのお陰で蜂達が仲良くなれたのは良い事ね。私の作戦が上手くいったってことよ!やっぱり、漫画とかあるじゃない、犬猿の仲だったキャラクターが共通の敵が現れた時に共闘して戦い、それを通じて仲良くなる流れ、うん! ハイベアーはいい働きをしてくれたわね!
「主人様、私達の名前はどうなるのでしょうか」
「名前、そうそう、藍介ちょっとこっちきてー」
「はい、どうかなさいましたか?」
昨日の夜私は女王達の名前を考えていたんだけど、残りの色を確認した時、いい名前が浮かび上がらなかった。だから、この2人には色が付いた名前ではなく花の名から名前を考える事に決めたのよ。橙色とか名前考えるの難しくない? 桃姫だと、なんかねぇ。色々な意味でアウトな気がするし、なんかしっくりこないのよね。そこで、花の名から名前を考える事にしたのよ。白は白桜で使ったけど、黒は2人には似合わないし、白もねぇ。
「藍介、花の図鑑出して頂戴」
「花の図鑑ですか? かしこまりました」
藍介は大きな花の図鑑を取り出し、地面に図鑑を置いた。
「この図鑑の中で貴方達2人が好きな花を選んで!」
「かしこまりました」
「はぁ? どうして花なんて選ばなきゃいけないんだよ」
北の女王は嫌がっているフリをしていた。
「そんなこと言わずに一緒に選びましょう」
「まぁ、主人様のお陰で助かったから今回はあんたの言うことを聞いてあげるわ」
東の女王と北の女王は1ページずつページを開き自分が好きな花を探し始めた。
「この、黄色い花、菊って言うのね」
「この花いいな!毒あるって!」
「なになに? 百合、綺麗な花なのに毒があるのね。毒ならトリカブトっていう花もあるみたいよ」
「あたいは百合にする!」
「それなら、私はこの菊の花に決めたわ」
「北の女王が百合の花で東の女王が菊ね。それなら、北の女王の名前は百合姫、東の女王は菊姫よ!」
「百合姫、いいじゃない! あたいの名前は百合姫!」
「私の名前は菊姫、名前を考えていただきありがとうございます。名前に恥じないように精進いたします」
「喜んでもらえて良かったわ。百合姫と菊姫これからよろしくね!」
「はい!」
「主人様の2人きりで話がしたいんだけどちょっと顔がしてくれない」
「百合姫! 主人様にその言い方はいけないわよ」
「いいわよ。それじゃあ、あの木の所に行きましょう」
私と百合姫は木の近くまで歩くと、百合姫が話し始めた。
「主人様!!!ハイベアー強すぎです! それに、助けに来てくれるの遅いですよ!」
「私よりも先に藍介と緑癒が向かったんだけど、2人は助けてくれれなかったの?」
「あたいがハイベアーの風魔法を受けた時に助けてくれたのですが、それまであの2人、あたい達が必死で戦っているのに、2人は言い合いをしていたんですよ!」
「言い合い?」
「あたいは戦っていて少ししか聞き取れなかったんだけど、確か、スーパーアルティメットゴキブリとかハイパーカイコーとか言ってましたよ」
「スーパーアルティメットゴキブリ? 藍介は何が言いたかったのかしらね?」
「さぁ? あたいを一応は助けてくれたのは感謝していますが、見ているならもっと早くに助けてくれても良かったのではないでしょうか」
「それは、後であの2人に聞く事にするわ。でも、私の作戦のおかげで仲良くなれたみたいね」
「はい! 東、あっ、菊姫に2人で会ってお話ししたいって言われました!」
「良かったじゃない」
「はい! 主人様が用意してくれたハイベアーのお陰です!」
「あの、それなんだけど私が用意したわけじゃないのよ」
「え? っていうことは、偶然ハイベアーが襲いかかって来たってことですか?」
「そういう事、それに、私が作った人形の熊之助が誰かに壊されていたのよ」
「だから、主人様はハイベアーを追いかけていたのですね」
「敵討ちしたかったけど逃げられちゃったわ。まぁ、仲良くなれれば結果オーライよ!」
「えーー」
「もうそろそろ、戻りましょうか」
「えーー」
私は百合姫と一緒にミツバチたちの巣へ向かった。
そして、私は蟻の居場所を菊姫に教えてもらった。
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