腹ペココンビが狩りに行く
花茶はライネルと遊びに誘おうとライネルとネルガルの住む家に向かった。
花茶はチャイムを押すと大声でライネルを呼んだ。
「ライネルお兄ちゃん!!! 花茶とあーそーぼー!」
インターホンからライネルの声が出た。
「おう! 支度するから待っててくれ」
「了解!」
10分後、ライネルは家を出て花茶と合流した。
「今日は何して遊ぶかね」
「花茶美味しい物食べたい!!!」
「花茶の兄貴は主人さん所の家にいるか?」
「お兄ちゃんは主人様と緑癒お兄ちゃんと紫水と一緒に森へ出かけたよ」
「豊穣の森か?」
「魔蟲の森だよ」
「腹がへってんのか、それなら狩をするか」
「いいね! 鳥さんいっぱい捕まえて唐揚げ作って貰おうよ!」
「鳥肉は飽きたな。でも、豊穣の森には鳥しかいねぇしな、よし! 俺らも魔蟲の森に向かうか」
「どうして魔蟲の森に行くの?」
「新しい獲物を狩る為だよ。あっちの森なら鹿や兎がいるかもしれねぇしな」
「兎さんって食べれるの?」
「肉は少ねぇが食べれるぞ」
「分かった! 魔蟲の森に行こうか! ライネルお兄ちゃん花茶に乗って!」
「おう! よろしく頼むぜ!」
ライネルは花茶の背に乗った。
「ライネルお兄ちゃんしっかり掴まっててね!!!」
「よっしゃ! とばせ花茶!!!」
「いっくねー!!!!」
花茶はライネルを背に乗せて走り始めた。
2人は洞窟の入り口に着き森へ入っていった。
「こんだけでけぇ森だでかい獲物がいるかもしれねぇな」
「お肉一杯食べれるね!」
「でけぇの探すか!」
「おう!」
花茶とライネルは大きな獲物を探し始めた。
そして、東エリアの花畑に向かう途中に大きな獲物を見つけた。
ライネルは小声で自身の前を歩こうとした花茶を止めた。
「しっ! 花茶そこで止まれ」
「ん? どうしたの?」
「あれを見ろ、なかなか強くてでけぇ獲物だぜ」
花茶はライネルが指差す先を見た。そこには大きく立派な茶色の熊がいた。
「あれは、熊さん?」
「熊も食べれるんだぜ」
「よし! 戦おう!」
「花茶、油断は禁物だ。あれは俺が知っている熊とは少しちげぇからな、狩では獲物を観察する事が大事なんだぞ」
「おー! 観察ね! 熊さんを見てればいいんだね!」
「それにしても、あの熊動かないな」
「そうだね。今なら倒せるんじゃない?」
「さっき言っただろ油断は禁物だって。でもよ、花茶の言う通り狩るなら今のうちか」
「よし! 花茶が最初に魔法で倒すよ!」
花茶は物陰から走り出した。
「木杭!」
花茶は熊の喉目掛けで木杭を繰り出した。だが、熊は魔法を喰らったにも関わらず花茶に攻撃を仕掛けて来なかった。
「あれれ? この熊さんもしかして、立ったまま死んでいるの?」
「そんなことってあるのかよ」
ライネルは熊を触ってみたが熊は動かなかった。
「この熊さん生きてるのかな?」
「いや、もしかして人形なんじゃねえか?」
花茶は熊に触れてみたが、触った感触は生きた生物のようであった。
「人形? 綿が入っている感じしないよ」
「それなら、何でこんな物がここにあるんだ?」
2人が不思議がっていると熊が急に動き始めた。
「おい! こいつ動いたぞ! 人形じゃねぇのか!」
熊は前脚を使って花茶に攻撃してきた。
「うわわぁ! 危ないな!!! これでもくらえー!」
花茶は熊の懐に潜り込むと熊の頭に向かって頭突きをした。
「いったーい!!!! この熊さん硬いよ!」
「花茶! お前は魔法で援護しろ」
「了解!」
花茶はすぐさま熊から離れ、スキルを使い蔦を操り熊を拘束した。
「オラ! って硬ねぇなこいつ」
ライネルは熊を殴ったが、熊はとても硬かった。熊は蔦をものともせずブチブチと蔦を引きちぎり前に進み始めた。
「こいつはまずい、俺たちで止めるぞ!」
「おう! 花茶はさいきょー!」
花茶とライネルは連携して熊と戦い始めた。
「花茶! こいつ関節はそんなに硬くねぇ! 関節を狙え!」
「関節ってなに?」
「足と胴の間を狙え!」
「分かった! 木杭!」
花茶の放った魔法は熊の左足と胴の間に命中した。すると、木杭が熊の左足の関節に刺さった。そこをライネルが、つかさず木杭を殴り、熊の左足に木杭が突き刺さったのであった。
それを前脚、後ろ脚に繰り返し同じ攻撃を仕掛け、2人は激闘の末、熊を倒したのであった。
ライネルは倒れた熊を確認した。
熊の正体は魔石だった。
「おいこれ、マジかよ。こいつ魔石だぞ!」
「もしかして、主人様が作ったのかな?」
「魔石を作る事が出来ることは知ってるが、生きているように動かせるものなのか?」
「主人様は何でも作れちゃうからね!」
「やっぱ、あいつはすげぇな」
「主人様は凄いんだぞ!!!」
「でもよ、俺達主人さんが作った熊を壊しちまったよな」
「そうだね! って!? これまずいんじゃない!」
「周りには主人さんいねぇし、これは、俺たちだけの秘密ということで今すぐにここから逃げるか!」
「このままにして大丈夫かな?」
「花茶、主人さんに怒られたくなかったらすることは一つだ。俺と花茶だけの秘密にしてここから逃げるんだよ! 俺は先に逃げるぜ!」
「あっ! ライネルお兄ちゃん花茶を置いて行かないでよ! えーと、主人様ごめんなさい。それじゃあ!」
花茶とライネルは魔石で作られた熊をそのままにして洞窟へ逃げ帰ったのであった。
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