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北の女王の内心

 あたいは森の長達から、北の女王と呼ばれているみたい。女王よりも配下達には姉御と呼ばれているからこっちの呼び方の方が好きなんだけどね。


 普段は配下達が働きに出てあたいはいつも巣で留守番している。あたいの仕事は子供を産む事と新たな女王を育てなきゃならない。もう、あたいは十分働いてきた。あたいの子供達は巣立ち沢山の女王達をあたいは育てた。もう、子育てはうんざりだ。好きでもないオスと交尾をし卵を産む毎日。物足りない、刺激が欲しい。そして、あたいは護衛をつけずに1人で東へ向かった。


 女王としては1人で出歩くなんて、危険な行為だ。でも、1人だけで自由に飛べるのはとても心が晴れていく感じがした。そして、あたいは広大な花畑に着いた。


 こんなに花が咲き乱れている場所があるなんて知らなかった。あたいはその花畑がとても美しいと思った。すると、あたい達とは違う蜂が花の蜜を採取していた。古くからミツバチとあたい達は犬猿の仲。でも、その時のあたいは心が疲れ切っていたのだと思う。あたいはその花の蜜を集めているミツバチの跡を追った。


 東の女王は大きな巣を持っていると噂で聞いたことがあったが、まさしくあたい達の巣よりも大きく立派な巣が巨大な木に造られていた。


 ミツバチの巣からある一匹の他の者達より大きな体のミツバチが巣の外に出ていた。そう、彼女が東の女王。あたいと同じ、魔蟲の森の長。


 あたいは彼女から目が離せなかった。彼女はあたいが今まで見たこともないぐらい愛らしいとあたいは思ってしまった。そう、彼女を見た瞬間、あたいはどうしても彼女と話してみたいと思った。でも、どうやって話しかけるのがあたいには考えられずにその日はあたいの巣へと帰った。


 その日の夜。あたいは、なかなか寝付けずにいた。一目見た彼女が頭から離れなくて、どうして話しかけなかったんだろうと後悔をしていた。だから、明日、彼女にもう一度会おう。会って、話がしたい。


 あたいはこっそりと巣から逃げ出し、東エリアの花畑に向かった。でも、その時のあたいを追ってきている者達がいる事を知らずに花畑に向かってしまった。


「姉御!!! 何1人で東のエリアなんかに行くのですが!!! 危ないですよ!!!」


 あたいの跡を追っていた配下は、あたいを引き留め、彼は1人ではなく他の兵士達を呼んでしまっていた。


「もしや、因縁の東の女王に焼きを入れに行くのですか!!! 流石! 俺たちの姉御だぜ!!!」


「姉御かっけぇー!!!!!」


 あたいは女王、配下の前では女王として振る舞わないといけない。そう、あたいは東の女王に会いに行くと必ず喧嘩をふっかけなきゃいけなくなってしまった。こいつらが着いてこなかったらあたい、普通に彼女と話せてたかもしれないのに!!!!


 そして、現在。とうとう東のエリアに乗り込むことになってしまった。あたいは止めようとしたさ、でもね。こいつら、あたいが東エリアに行くのは東エリアを新しい住処にするんだと勝手に、皆で盛り上がり始めてもう、あたいは後に引けなくなってしまったんだよ!!!! あたいはただ話してみたかっただけなのに、彼女に話した第一声はなんだと思う!!!


「今すぐにあたい達にその巣をよこしな!!!」よ。


 はぁー!!!!!! なんで、こんなこと言っちゃったんだろう!!!! 兵士達はミツバチに攻撃し始めちゃうし、ミツバチはミツバチで巣を守る為に戦い初めて、もう10回ぐらい繰り返しているのだけど。何で、こんなことになっちゃっているのよ!!!!


 あたいはだだ、彼女と話してみたかっただけなの、戦いとか食糧を奪うとかそんなの考えいなかったのよ!!! なのに、なのに、兵士達の期待に応えないといけないと考えると思ってもない事をつい、口走ってしまうのよ!!!! うわぁぁあああん!!! あたいは彼女と仲良くなりたいのよぉ!!!!


「あたいらに敵うわけないんだから、さっさと降伏しろよ!!!」


 違うの、あたいはこんな事言いたくないの!!!


「降参なんてしません! 私達はまだ、貴方達に負けていません!!! どうして貴方達はいつも私達の食糧を奪おうとするのですか!!!」


 彼女の声って優しくて彼女の声を聴くと落ち着くのよね。


「そんなの、簡単に食糧が手に入るからにきまっているだろ! さぁ! これ以上仲間が殺されたくなければ大人しく蜜をよこしな!!!」


 うっ、蜜なんか要らないのに、誰かお願いだから、あたいを止めてください!!!!


 一触即発な雰囲気になっている中、知らない声が聞こえてきた。


「貴方達!!! 争いはやめなさい!!! 花茶! スズメバチ達を蔓で拘束してくれませんか?」


「分かった!!! スズメバチを捕まえればいいんだね! お兄ちゃん! スズメバチってどっち?」


「体が大きい方がスズメバチです」


「分かった!!! スズメバチさん達ごめんね!!! 暴れなかったら痛くしないから大人しくしててね!!!」


 洞窟に居るはずのゴキブリがあたいの兵士達を蔓で拘束し始めた。


「あんた達いったい何者なのよ!!!」


 ありがとう!!! 知らない人達! あたい達を止めてくれて本当にありがとう!!!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ツンデレさん登場♪ [一言] 姉後はつらいね~。イメージを守らないといけないとはいえ(;´Д`) 河原は無いけど、白黒着けたらいいのでは?
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