西の長
私は今、下半身露出魔カブトムシと救世主のクワガタムシとのバトルを見ていた。彼らの戦いを見ていたら、私の背後から紫水が現れた。
「主人様〜、やっぱり俺の言った通りだったでしょ〜」
「紫水! どうして助けに来てくれなかったのよ!」
「だって〜、主人様前よりも走るの早くなったみたいで〜、いつの間にかいなくなってたんだもん〜。探すの苦労したんだからね〜」
「どうして、下半身露出魔は私を追いかけてきてたのかな?」
「さぁ〜、変態の考えなんて俺にも分からないよ〜」
クワガタムシはカブトムシを2本の角で挟みながら体を回転し始め、カブトムシを投げ飛ばした。
クワガタムシは私の元にゆっくりと近付いてきた。
「主人様、あの馬鹿が申し訳ございません。あやつは交尾相手が見つからず、縄張りから出てまで相手を探し始めているのです。儂は西エリアの長、皆にはクワジィと呼ばれています。儂らの主人になっていただき、誠に有難う御座います。あやつは馬鹿ですが、悪い奴では無いので、今回の件許してやってくださりませんか」
クワジィは丁寧にお辞儀までしてくれた。彼はゲームでは必ず登場する。とても強いお爺さんポジションということね! うんうん! クワジィいいわね! 長なら名前付けてあげたいわね。クワジィもいいと思うけど渋い感じの名前付けてあげたいわね! でも、どうして西エリア長なのに東エリアに来ているのかしら?
「まぁ、本人が反省するなら許してあげるけど、クワジィは西エリアの長なのに、どうして東エリアに来たの?」
「それは、北の女王がまた東の女王にちょっかいをかけていると報告があったので仲裁しようと思い来たのですが、まさか、あの馬鹿が主人様を追いかけているなんて思いしませんでした」
「またって事は何度か北の女王は東女王と争っているの?」
「えぇ、その都度儂が仲裁をして今までは大事には至らなかったのですが、争いの所為で他の者達が怖がってしまい。儂の西エリアに逃げてくるものも多く、それによって儂の住むエリアの本来いた者達が逃げてきたもの達と縄張り争いが発生してしまって。ここへ来たのは北の女王を叱りにここへ出向いたのです」
「そんな事が森で起こっているのね。分かったわ! 北の女王に責任をとってもらいましょうか! 自分のエリアならまだしも他のエリアの住民に被害を与えるのはいけない事だと思うからね! クワジィ北の女王に話をつけに行くわよ!!!」
「おー、主人様はなんとも頼もしいお方。主人様、儂の力不足で」
「謝らなくていいわよ! 貴方は自分ができる範囲で頑張ってきたんだから、これからは私や洞窟にいる長達に頼りなさい! 貴方は私にとって新しいお友達になるんだからね! 困っている友達は助けてあげないとね! そうよね紫水」
「うん〜、クワジィ大変だったね〜。俺も手伝ってあげるよ〜」
「ありがとう、君は黄結姫さんの息子さん、紫水君で合っているかい?」
「そうだよ〜。母さんの事知ってるんだ〜」
「あぁ、この頃森へ遊びに来ていてな、たまに身体が結ばれてしまっているので助けてあげたこともあるぞ」
「母さん。森の人達に迷惑かけてたのか〜。もう〜、母さんは俺がいないとダメダメなんだから〜。クワジィ母さんを助けてくれてありがとうね〜」
「黄結姫さんには色々なお話を聞かせてもらえたので、全く迷惑ではないからな。逆に主人様や洞窟の長達の話が楽しくて助けに行くのが待ち遠しいと思ってしまっていたからのぉ」
「じゃあ〜、母さんには森だったら体結んでもいいよって事にしようか〜」
「いや、それじゃあ、お前さんの母さんが可哀想だ」
「なぁ、オラの事忘れてねぇか」
クワジィに飛ばされた南の長であるカブトムシがゆっくりと歩いてきた。
「お前さんが我等の主人に無礼を働いたのがいけないのだぞ! 少しは反省したか」
「クワジィ、あれは痛かった」
「馬鹿にはこれぐらいが丁度いいぐらいだ!」
「馬鹿馬鹿って、オラそんなに馬鹿じゃねぇぞ」
「ねぇ、どうして急に私を追いかけてきたのよ」
「主人様!? 本当に申し訳ねぇ。オラは嫁を探している真っ最中でして、主人様の愛らしさにオラの身体が反応してどうしようもなくなって追いかけてしまったのです」
「ほら〜やっぱり主人様に発情したんじゃん〜」
紫水は触覚を私の腕にペシペシと当ててきた。
「ごめんってだって、私人間なのよ。そういう対象になるなんて思いもしなかったからさ」
「本当に申し訳ねぇだ。オラ、主人様にあんな事を言ってしまうなんて、クワジィ、オラの事もう一度投げてくれねぇか」
「儂はいつでも投げる準備できておるぞ! いつでもきんしゃい!」
「クワジィ、彼を投げなくてもいいわよ。今回の件は許してあげるわ。お嫁さん探し頑張ってね。あっ、そうだ! 許してあげる代わりにお願いしようかしら」
「主人様のお願いならオラなんでもします!」
「北の女王と東の女王の争いの仲裁を手伝って欲しいんだけどいいかしら?」
「はい! オラ頑張ります!」
「その前に貴方達に名前付けてあげるわ! そうね。使ってない色なんかあったかな? 色じゃなくても別にいいと思うんだけど」
「どんな〜名前になるんだろうね〜」
「儂らに名前を付けてくださるとは有難う御座います」
「オラ! かっこいい名前がいい!!!」
渋い色、渋い色、灰色! 灰土がいるわね。あっ!銀! 銀次でいいんじゃない? クワジィの名前に良くない? うん! クワジィは銀次で決定!!!
「クワジィの名前は銀次よ!」
「銀次、儂の名前は銀次!!!」
「銀次〜、う〜ん、ギンジィよろしくね〜」
紫水は早くも愛称を考えたみたいね。銀ジィいいわね!
「あぁ、紫水よろしく」
「オラは! オラの名前は!!!」
「ちょっと考えるからね」
銀なら金! 金太郎! 昔話に出てくる名前ね。うーん、他、金、金色、金色、金色丸! なんか、船に付いてそうな名前だけど、なんかしっくりくるわ!!! よし! カブトムシの名前は金色丸よ!!!
「貴方の名前は金色丸!」
「こんじきまる。オラは金色丸! なぁ、金色ってどういう意味なんだ?」
「金色ってことよ!」
「それなら、オラ、きんいろまるってことなのか!?」
「よろしくね金色丸!」
「なぁ、紫水と言ったよな、金色丸ってかっこいい名前だと思うか?」
「いいんじゃない〜。よろしくね〜、金色丸〜」
「よろしくな紫水!!!」
「よし! 名前も決まった事だし、蜂達の争いを止めに行くわよ!!!」
「お〜!!!」
「ん?」
「ほら〜。銀次と金色丸も〜、お〜っていうんだよ〜」
「おーー!!!」
金色丸と銀次は一斉に叫んだ。
新しい仲間も増えたし、花畑に向かいますか!
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