おまけ イデアの屋敷のメイド
私の名前はエーデル、ウサギ族の人獣で今年で19歳となりました。イデア様の屋敷には4年程勤めさせていただいています。
イデア様が出張からお帰りになりました。イデア様は不思議な荷車をクティス様に引かせ屋敷の倉庫へ荷車を厳重に保管しました。
イデア様は出張から帰った後、ずっと落ち着きがない様子で沢山の商人を屋敷に呼び、誰かへ贈るプレゼントを選んでいました。
商人達は宝石が散りばめられた豪華なドレス、希少なイエローダイヤモンドがついたネックレス、他にも女性用の宝飾品をイデア様にお見せになっていましたが、イデア様の感性には響いていない様子でした。
私はイデア様の執務室のドアに自慢の耳をつけて中の様子を聴いていました。
「凪さんには宝飾品は必要ないような気がしますね。それなら、普段使いのする物、でも、凪さんならなんでも欲しいものは作れてしまうわけで、あーーー!!! 何を選んだら凪さんは喜んでくれるのでしょうか!!! クティス! 貴方なら何を凪さんにプレゼントしますか?」
「ガウラウル!(僕のすべて!)」
「それは、私の全てを凪さんに捧げたいですよ。でも、今の現状ですとそれは逆効果、女性の好きな物を選ぶには、やはり、女性に聞くのが1番。エーデル! 聞き耳を立てていないでプレゼント選び手伝ってください」
「は! はい!」
私は慌ててドアを開きイデア様の執務室に入りました。
「その、女性へのプレゼントでしたら、やはり、宝石なんて素敵なのではないでしょうか」
「彼女は宝石なら必要ないと思うので、他の女性が喜ぶものはありませんか」
「それなら、イデア様は今までの奥様達に何をお贈りしていたのですか?」
「宝飾品、ドレス、ワイン、他には花も贈りましたね。1番喜んでもらえたのが結婚指輪でしたが、まだ親しくなってない以上、彼女には結婚指輪を渡す事はできませんし」
「イデア様は彼女が好きな物とかは知らないのですか?」
「唐揚げ」
「唐揚げ?」
「えぇ、彼女はダイエット中なのに唐揚げは食べるという情報は得ることができました」
「ダイエット、それでしたら甘いスイーツなんてどうでしょうか! 女性ならスイーツに弱い生き物です! あっ!そうだ! 新しいケーキ屋さんが出来たみたいなのでそこのケーキをプレゼントしてみたら如何でしょうか」
「ケーキですか、ケーキを贈ったら凪さんに喜んでもらえますかね?」
「女性はスイーツに弱いんです!」
「でも、ケーキですと時間が経つと食べれなくなってしまうので、凪さんの元へ行く口実を作らないといけませんね。エーデル、助言ありがとうございます」
「いいえ、イデア様のお役になれれば幸いです」
「ケーキ、エーデル今すぐに新しく出来たケーキ屋に行きケーキを全種類買ってきてください。それと、他の従業員達分のケーキも買ってきて彼らに配っておいてください」
「かしこまりました! それでは、行ってまいります!」
私はイデア様から金貨2枚を貰い新しく出来たケーキ屋に向かい。沢山のケーキを購入しました。
その後イデア様はケーキを全て食べ、彼女に贈るケーキを決めることができたみたいでした。
私も美味しいケーキを食べれて幸せです。