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魔王軍最高幹部会議 後編

「何故、ネルガルとライネルは死んだのだ」


 ゴウライさんは私を睨みながら言いました。


「簡単ですよ、洞窟の主人を怒らせたからです」


「どうして、怒ったのだ」


「主人の言い分は彼等の仲間である蟲達が2人によって殺されてしまった為だと言っていましたね」


「ダンジョン内にいる雑魚が殺されただけでか、なら、我が直接ダンジョン主を殺しに行こう」


「はぁ!? 何故そのような考えになるのですか!」


 ゴウライさんが動くのは面倒、そもそも、貴方は部下を大切にするような人ではないでしょ!!! これもリリアーナの仕業なのですかね?


「魔王様、我は大切な部下の弔い合戦がしたい」


「よし! ゴウライ! 死んだ2人の弔い合戦に行くがいい!!!」


「はい!ストップ!!! 待ってください! 洞窟の主人とは話し合いで解決した方が魔王軍にとってプラスになります。彼女の力の恩恵を受けることができれば、新たな魔道具によって国民達の生活水準を上げることが可能です」


「ドーレーラム、イデアがこう言っているがあの荷車なんかに生活水準を上げることが出来る程の価値はあると思うか」


 ドーレーラムさんは珍しく地声で言葉を発した。


「それは、詳しく見てみないとわからない。でも、あの魔法陣の構造は複雑すぎる。もし、構造を知ることができたら新たな魔道具を作ることも可能かもしれない。例えば、空を飛ぶ絨毯や普段国民が使っている荷車が力をあまり必要とせず大量の荷物を運搬することが将来的には出来るかもしれない、そうなれば、商人達は大変喜ぶと思う」


「わしもあの魔法陣の構造、それにあの荷車は木材で作られたのではなく、あれは多分、魔石じゃな」


「流石、フローおばあちゃん」


「だから、もっと詳しく知る為には、イデ坊や分かっておるのじゃろ。わしに荷車を渡せ、そうすれば馬鹿げた弔い合戦なんかしなくて済むぞ」


「フローゼラー、馬鹿げたとは酷い言いようだな。我の仲間が蟲に殺されたのだぞ、ならば蟲を駆逐するまでよ」


「お主は頭が筋肉でしか出来ていないからのぉ、少しは考えてみよ、洞窟の主人もまた仲間をお主の仲間によって大切な友達を殺されたのじゃ、他にも兵士達がいたと言うのに2人だけの命だけで許してくれた主人を余計怒らせる気なのか? お主が軍を魔蟲の洞窟に向かわせてみぃ、洞窟の主人はイデアに裏切られたと思いより激怒し、わしらとは敵対関係となってしまうのじゃよ。敵は人間だけで十分なのじゃ!!! お主は今すぐに頭を冷やしてくるのじゃ!!!」


「私は! ゴウライ様に賛成するわ!!! 洞窟の主人は二人を殺した罪人よ! 私達の力で罪人を処罰しないといけないと思うわ!」


「あのーーー、僕もゴウライさんの」


「ラク坊、お主には聞いておらぬわ!!!」


「ぼ、僕だって七翼を承っているんです。僕にだって発言権がぁ」


 私はついラックル君を睨んでしまいました。


「ひぃぃい。 僕はゴウライさんの意見に賛成です!!!」


 ラックル君は目を瞑りながら叫んだ。


「それなら、皆で多数決を取ろう!!! 魔蟲の洞窟へ弔い合戦を賛成の人手を上げろ」


 魔王様、ゴウライ、リリアーナ、ラックルは手を挙げた。


 傍観していたオビリオンさんが口を開いた。


「賛成が4人だけなので弔い合戦は無しですね。今の我々には人間との戦争準備で忙しいと言うのにこんな他の所で無駄に人材を消耗する時ではないと言う事を手を挙げた方達は分かって欲しいですね」


「俺の票を10人分として」


「魔王様不正はダメです」


「俺はリリアーナを苦しめた洞窟の主人を倒したいだけなんだ」


「ダメです」


「わしはもう帰るぞ、こんな話聞いていたらわしがバカになってしまうのじゃ、ほら、ドレ坊帰るぞ」


「イデア後で荷車貰うからな」


 フローゼラーさんとドーレーラムさんは席を立ち会議室から退出した。


「それじゃあ、私も帰りますにゃ!」


 一度も発言をしなかったミーラーさんは逃げるようにして退出した。


「それでは、私も家に帰りますか」


 私が席から立ち会議室のドアに手をかけた時に私はオビリオンさんに呼び止められました。


「イデア、お前後で詳しく話を聞きたいから俺の執務室に来てくれ」


「家に帰ってゆっくりしたいのですが。分かりました貴方には全てを話すべきでしょう」


「おい! どうして出て行くんだよ!」


「この時間が無駄だからですよ。そもそも、魔王様書類の判子押し終わりましたか。まだですよね、なら、貴方がする事はくだらない会議をするよりも」


「会議は大切」


「書類に判子を捺す方が最優先ですよ!!!」


 オビリオンは魔王に近づき、魔王首元の服を掴むと魔王を引き摺りながら、魔王と共に会議室から退出したのであった。


 その後、私はオビリオンの執務室で魔蟲の洞窟での事を全て話し、ネルガルとライネルには特別な任務の為死んだ事にしたことも話しました。


「そう言うことだったんだな、今の魔王様にはこの話は話せられないな」


「魔王様がリリアーナに夢中な今、本当の真実を話せないと思ったので、嘘を含ませて話す事しかできなかったのですよ」


「この件はイデアに任せる事にする。まさか、ドラゴンの呪いが出てくるとは思いもしなかったぞ。ドーレーラムにはこれから話すのか?」


「えぇ彼にも全て話そうと考えていましたからね。二人の両親にはもう話はつけてあります」


「根回しのいい奴め、魔王様なら俺に任せろ変なことしようとしたら俺が全て止めてみせる」


「前までは好きな王だったんですがね。あの女が来てから、魔王様はお代わりになったような気がします」


「あぁ、それは俺も思っている。まさか、ゴウライは浮気をしてその相手がリリアーナなんてな。それに、リリアーナは君の事も狙っているみたいだな」


「私はあんな女嫌ですね。触れられたくもない」


「にしても、見たこともない魔道具を作り出す無限の魔力を持つダンジョン主とドラゴンの呪いを解呪できる蟲、魔法の知識が豊富な蟲、木属性と希少な属性を取得している蟲、水を操ることが蟲、影を操る蟲、仲間に出来たら頼もしいな」


「そうでしょ、彼等の力は魔王軍幹部に匹敵するほどの力を持っているのですよ!」


「イデア、新たな妻が欲しいと言っていたよな?それなら、丁度いいんじゃないか? 確か、ダンジョン主は女だよな、それなら、彼女を新しい君の妻にすればいいんじゃないか? 君の魅力なら落とせない女なんてこの世にいないだろ」


「それが、出来れば苦労はしないのですよ」


「イデアもしかして、ダンジョン主に惚れたのか」


「彼女に私は一目惚れをしてしまったのですよ。今までの妻達よりも彼女を愛してしまったのです。凪さんはとってもお優しい方でこの世で一番美しい魂の持ち主。ましてや、私を一度殺したその強さ! あー!!!凪さんに会いたい。早く彼女を抱きしめ熱烈なキスをしたい!!!」


「おめでとう!やっと妻にしたい人が見つかったんだな」


「ええ!!! あっ、でもこの事は皆さんには内緒でお願いします。リリアーナが魔蟲の洞窟に攻撃する理由が全く分かりませんが、何かを私達に隠し事をしているはずです」


「分かっている。俺は魔王様を守る盾であるからな、人間関係からも魔王様を守るのが俺の使命。俺に任せておけ!」


「それでは、家に帰りますね。色々と準備をしないといけないので」


「準備? 仕事のか?」


「いいえ、凪さんの好感度を上げる為にプレゼントを選ばなければいけないのですよ!」


「まぁ、仲良くなってくれさえしたら魔王軍としてもプラスになるし、良いプレゼントがあればいいな」


「えぇ、それでは失礼しますね」


 私はオビリオンさんの執務室から離れ、速攻私の屋敷に帰りました。あと3日で凪さんへのプレゼントを決め、初めての凪さんとの連絡でプレゼントを見てもらうのです! 凪さんのプレゼント何にしましょうか、ドレス? 首飾り? 耳飾り? 結婚指輪!!!! いや、まだ結婚指輪は早い、凪さんに引かれてしまいます。ネルガル君とライネル君の報告を待った方がよろしいのでしょうか?

ネルガルとライネルの最初の報告


 唐揚げを食べ終わったネルガルとライネルは魔蟲の洞窟の情報は何がいいか、蟲達に気付かれないように話し合っていた。2人は悩んだ末、1つの情報をイデアに伝える事にした。


 ネルガルはイデアが渡してくれた魔鳩の餌を空に1つ投げると魔鳩が光速で羽ばたき、ネルガルの前に現れた。ネルガルは魔鳩の足に紙を括り付けると魔鳩は主人の元へ帰ったのであった。


 イデアの屋敷に魔鳩が到着すると、イデアは嬉しそうに魔鳩の足についてきた紙を取り外した。そして、紙に書かれている情報を口に出して読んだ。


『主人さんはダイエット中だけど唐揚げは食べる』


「はい? ダイエット? 唐揚げ? 食べるという事は唐揚げは食べ物なのですね。えっ? 凪さんの好きな物の情報はこれだけなのですか? 他には何も、もしかして、暗号として書いてあるとか、これだけじゃプレゼント選べませんよ!!!!!」


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