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魔王軍最高幹部会議 前編

 魔族の国『エンデューブ』には様々な亜人達が暮らしいている。人型だが、獣の姿を濃く受け継いでいる獣人、人間の姿であるが、身体の一部に獣の特徴を持つ人獣、精霊と人との間に生まれたとされるエルフとダークエルフ、鉱物を愛し手先の器用なドワーフ、他にも魚人、人魚、鬼人、鳥人、小人などあらゆる種族が存在している。


 そして、魔王城では魔王軍最高幹部『八翼』全員が招集され会議が行われていた。


 黒い長細い机に椅子が8個並べられ、王座には魔族の王、魔人サリーバス、右側の椅子に座っているのは一翼の獣人オビリオン、三翼の鬼人ゴウライ、五翼の人獣カーラーは現在育児休暇の為、代理でカーラーの妹であるミーラーが出席していた。その隣を七翼の小人ラックルが座っていた。そして、魔王の左側にはニ翼の終焉獣イデア、四翼の精霊リリアーナ、六翼の人魚フローゼラー、八翼のブラックドラゴンのドーレーラムが座っていた。


 魔王であるサリーバスは素朴な人間の青年の見た目であり、服は魔王らしく禍々しいオーラを放っているが、本人からは強者としての風格が全く出ていなかった。


 一翼のオビリオンは狼の獣人であり、魔王の補佐として働いている。彼は5人の子供のパパであり、魔王の尻拭いで魔王軍で一番忙しい人物として有名であった。


 ニ翼のイデアは魔族の国の伝説的な人物であり、彼の伝説は老若男女皆知っている程の有名人。彼は愛妻家とも知られている為、結婚すると一生幸せになると言うことで魔族の国にいる貴族の令嬢達から見合い話や恋文が毎日のように送られる美男である。


 三翼の鬼人ゴウライは大柄な体型の不男で、頭から生えた2本の立派な白い角が印象的な人物。陸海空の3つの大将の彼は陸の大将であり、3大将を代表して三翼として加入した。


 四翼の精霊リリアーナは前四翼のリリムレッドとの魅了対決に勝利をして四翼として加入した。


 五翼の代理の人獣ミーラーは三毛猫の人獣であり、耳と尻尾が猫の女性で、何度か姉の代わりに会議に出席しているが、周りの人達に圧倒されてしまい、自分が話す内容を忘れてしまいそうになって1人で焦ってしまっている。


 六翼の人魚フローゼラーは魔女であり、人間の少女の見た目をしているが、彼女は魔王軍内の最高齢で、魔王軍内の呼び名はフローおばちゃんと親しみを込められ呼ばれているが本人はフローゼラーちゃんと呼ばれたがっている。彼女は人魚の特徴である下半身が魚の特徴がなく、首元にエラがあるだけで他は普通の人間の少女。


 七翼の小人ラックルは23歳になるが見た目の年齢は少年であり、金色に輝く髪に七つの黒い星のカチューシャを付けていて、彼を知らない人からすると少年ではなく少女の印象を持たれてしまう時もあるみたいである。


 八翼のブラックドラゴンのドーレーラムは人の姿をしているが、身体を黒い布で覆い隠し唯一見えているのは彼の瞳だけであった。彼は両手で少女の人形を持つと自身の顔の前に人形を掲げていた。


 魔王は全員席に座っているのを確認すると、彼は話し始めた。


「皆、仕事で忙しい中、集まってくれてありがとう。月一度に行うこの会議なんだが、全員揃ったのは1年ぶりだよな、フローゼラーとドーレーラムはどうして今まで参加してくれなかったのかなぁ。俺は怒らないから話してみてよ」


 魔王は優しく微笑みながらフローゼラーとドーレーラムを見つめていた。


 可愛らし声が部屋に響き渡った。


「わしは魔法の研究で忙しいから参加出来なかったのじゃ!!! そもそも、月に一度なんぞ面倒くさいのじゃ!!! 年に一回集まればいいとわしは思うぞ!」


 ドレーラムは少女の人形の手をあげて裏声で話し始めた。


「そうだ! そうだ! 私達は仕事で忙しいんだから! いちいち集まるなんて面倒よ!!! フローおばあちゃんの言う通り!!!」


「ほれ、ドーレーラムもわしと同じことを考えておる。サリ坊や、今回の会議を機に集まりは年に一度にしてらどうじゃ」


 すると、オビリオンが手を挙げた。


「発言してもよろしいでしょうか」


「あぁ、オビリオン話してくれ」


「それでは、私もフローゼラー様とドーレーラム様の意見に賛成です」


「おい! オビリオンどうしてお前が賛成側なんだよ!!!」


「簡単な話ですよ、一々集まるのが面倒、それに、今回の議題は正直言って必要のない事、こんなことで時間を潰すより、仕事をしていた方がマシですからね」


「私はみんなで集まってお話のできるこの会議好きなのにぃ。ねぇ、イデア様」


 リリアーナは隣に座っていたイデアの手を握ろうとしたが、イデアは触れる前に回避した。


「議題が『エンデューブ1の美女は誰か』なんて時間の無駄なので、私が出張した先の報告会にでもしましょうか」


「おい! これは俺が考えた議題なんだから勝手に変えるなよ!」


「高難易度と呼ばれるダンジョン魔蟲の洞窟に私は向かいましたが、私よりも先に魔蟲の洞窟に侵入していた方達がいました。ゴウライさん貴方はご存知ですよね?」


 野太い男の声が部屋に響き渡った。


「我はネルガルとライネルを向かわせた。あの2人の実力であれば十分だろ」


「2人は死にましたよ」


 ゴウライはイデアの発言を聞いて眉を顰めた。


「ネルガルとライネルが蟲如きに負けただと」


 リリアーナは涙目になりながら言った。


「うそっ、隊長クラスの彼等が蟲なんかに負けたの。私のせいで彼等が‥‥。私のせいで」


 リリアーナは泣き始めた。


 魔王は涙を流すリリアーナに優しく声をかけた。


「リリ、どうして君が何故泣くんだい?」


「私が前にいたダンジョンが魔蟲の洞窟だったの。だけど、悪い異世界人に洞窟から追い出されてしまったの。だから、私、イデア様が魔蟲の洞窟に向かうと聞いて、私イデア様の手助けが出来たらなと思って、ゴウライ様配下の2人に魔蟲の洞窟に行って欲しいってお願いしてたの。なのに、私がこんなお願いしたせいで、2人は、2人は、わぁあああー!!! 2人が死んでしまうなんて、私のバカ! バカ!バカァ!!!」


 魔王様は席を立つとリリアーナの元へ向かい彼女を抱きしめた。


「リリ、落ち着くんだ、君が悪いんじゃない、彼等を殺した君を追い出した異世界人が悪いんだ。だから、リリ、泣かないでくれ」


「でも、私がお願いなんてしなければ」


「イデア、彼等の死体はどこにあるんだい」


「魔蟲の洞窟にありますよ。そもそも、彼等が私の仕事の邪魔をしたせいで、魔蟲の洞窟の主人は人間との戦争について協力しないと言われてしまいましたよ。私が洞窟に着いた時には、洞窟の主人は彼等の行動に激怒し、話し合いができる状態ではありませんでした。洞窟の主人の力はこの私を殺すことのできる程、強力な力を持ち、私は洞窟の主人と戦いましたが、殺されました。あの時は私が不死である事に感謝しましたよ」


「イデアが殺される、そんなバカな話」


「私は洞窟の主人に一度殺されたのは事実です。その後、主人と話し合いをする事に成功し、それぞれ死んだ者達を弔い、主人から空を飛ぶことかできる荷車を

頂きました」


 ドーレーラムは少女の人形を動かした。


「その荷車私に頂戴!!! 解析して新しい魔道具を作りたいの!!!」


「ドーレーラムさんそれは無理です。主人から私に贈られた者なので他者に渡す事は洞窟の主人に無礼を働く事になってしまいます。今度、主人と話し合う際貴方に渡してもいいか聞きますので、それまでは私の元で保管させていただきます」


「わしもその荷車見てみたいのじゃ!」


「フローゼラーさんもさっきの話聞いていましたよね? もしかして、耳が遠くなってしまったのではないでしょうか?」


「わしを老人扱いするな!!! わしはピチピチの10歳なのじゃ!!!」


 今回のこの会議で魔蟲の洞窟の主人と会話することが出来るのは私だけしかいないと言う印象を作り出したいのですが、ドーレーラムさんとフローゼラーさんが面倒ですね。そもそも、リリアーナはよくもまぁ、こんな大嘘を吐けますね。凪さんに追い出されたのではなく押し付けたの間違えなのではないでしょうか。あの女はいう事は全て嘘だと言うことがよーく分かりました。後で、リリアーナの言ったことを全て凪さんに伝えましょう!!!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 個性的を越えてません♪ [一言] 現実世界でもよくある『不毛な事』。何故こんな事をするのですかね~(特に今)
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