森へ探検しにいくわよ!
紫水はこの頃様子がおかしかった。普段より元気がなくて、黄結姫の側から離れようとしなかった。だから、私は紫水に元気のない理由を聞いたが、紫水は何も話してくれなかった。そしたら、ネルガルとサーフィンをやりに湖に向かって帰ってくると普段の紫水に戻っていた。
次の日私はネルガルにお礼を言う事にした。
ネルガルは紫水をサーフィンを誘いに庭へ訪れていた。だけど、紫水は爆睡中でネルガルが体を揺さぶっても起きる気配が無かった。
「ネルガル、紫水の事ありがとうね」
「急にどうしたんですか! 凪さん」
「貴方のおかげで紫水が元気になってくれたからよ」
「紫水が元気がない事を知っていたんですね」
「そりゃあ、1年以上一緒に暮らしていればそのぐらい分かるわよ! でも、私には話せないみたいでね。だけど、貴方には話せたみたいね」
「ええ、まぁ、紫水の話を聞きましたが、凪さん、すみません内容までは話せません」
「別にいいのよ! 紫水が元気になってくれただけでも私は嬉しいんだから、人に話したくない秘密は誰にもあるわけだし、ネルガルにはお礼に何か作ってあげようと考えているんだけど、欲しいものとかある?」
「それなら、新しいサーフボードが欲しいです!」
「了解! 何かつけたい機能とかない?」
「つけたい機能? それはどう言う事ですか?」
「私のスキル想像生成は、私が想像した能力を魔法付与という形で実現して物を作り出すことができるスキルなのよ! どう! 凄いでしょ!」
「まじかよ!!! それって、作る時にデメリットとかないのか?」
「魔力を消費するけど、私の魔力量は無限だから何個でも作れちゃうのよ!」
「なんだろう、俺達は敵に回しちゃいけない相手を敵に回してたのか。俺、よく生きてるな」
「で、何かある?」
「うーん、普通のサーフボードでも嬉しいんだけどな、波は紫水にお願いできるし、悩むな」
「じゃあ、サーフボードから落ちないようにする魔法とかどう?」
「それじゃあサーフィンの楽しさが半減しますよ! 魔法付与は無しで普通のサーフボードお願いします!」
「分かったわ! デザインとか紙に書いて渡してくれたら作ってあげるね」
私はネルガルに紙と色鉛筆を渡した。
「俺が考えてもいいんですか!? 凪さん、ありがとうございます!!!」
「そうそう、今日は森へ探検に行こうと思うんだけど、ネルガルも一緒に来る?」
「森、魔蟲の森って事ですよね? 凪さんのダンジョンなのに探検ってどういう事ですか?」
「いや、色々あって探検できてなかったのよね。洞窟は落ち着いてきたし、もうそろそろ森の長達を確認したいのよね」
「俺が森に入った時は蟲に全く出会わなかったんですよね。まぁ、ラックル様のお陰でもありますが」
「ラックル様って誰?」
「魔王軍幹部八翼の一人、『七翼』のラックル様です。幸運を上げることができる事で有名な方ですね」
「ラックルって、確か、イデアがリリアーナに惚れている子って言ってたわよね」
「ラックル様の幸運を上げる力で俺達は無事に魔蟲の洞窟まで敵に出会わずに行けたんです」
「へぇー、幸運を上げるって凄いわね」
「ふぁあ〜あ〜。ん〜? どうして〜、ネルガルが主人様と話してるの〜?」
爆睡していた紫水が目を覚ました。
「紫水、おはよう」
私は元気になった紫水を抱きしめた。
「主人様〜♡ 朝からどうしたの〜♡ 俺も主人様にぎゅ〜しちゃうよ〜♡」
紫水は私の体に抱きついてきた。私は紫水が元気になってくれて嬉しかったから思いっきり抱き返してあげた。
「はぁ〜♡ 朝から幸せ〜♡」
「ねぇ、紫水今日は森へ行こうと思うんだけど一緒に着いてきてくれないかしら?」
「いいよ〜♡ 俺と主人様の二人っきり〜?」
「ネルガルも一緒に付いてきてもらうわ」
「え〜、なんでネルガルも一緒なんだよ〜」
「俺が一緒ですまないな! 凪さんに誘われたら俺は断ることができないからな」
「藍介と花茶、ライネルと緑癒にも誘ったわよ」
「紅姫さんと母さんは〜?」
「2人も誘ったんだけど、ママ会があるみたいでそっちに参加するんだって」
「ママ会〜? なにそれ〜?」
「子育てに関して母虫達が集まって色々話し合うみたいよ」
「へぇ〜、そんなのあったんだ〜、俺〜、知らなかったな〜」
すると、藍介と花茶、その後に羽をパタパタを動かしている緑癒を担いでいるライネルが庭はやってきた。なんで、ライネルは緑癒の事担いでいるのよ?
そんな姿のライネルを見てネルガルは爆笑していた。
「くそぉ、なんで俺がこんな目に!!!」
「神経衰弱で負けたからいけないんですよ」
「ライネル弱かったね!!! 花茶なんて10枚カード取れたんだよ!!!」
「まさかの4枚、こんなに弱いとは思いませんでしたよ」
「俺は、頭を使うゲームは嫌いなんだよ」
「カードの柄を覚えてればいいだけなんですけどね。主人様!!! 僕は藍介さんに勝ち一番多くのカードをゲットしましたよ!」
「それで、罰ゲームで緑癒担いでいると」
「えぇ! 最下位の人が一位の方を一日中持ち上げるという罰ゲームになったんですよ!」
「くそぉがぁ!!!」
「これでも、少し浮いてあげているんですから頑張ってくださいね!」
「ねぇ、藍介、神経衰弱に負けたら貴方はどうやって持ち上げるつもりだったの?」
「それはですね」
藍介は私のあげたポーチに手を入れて何か探し始めた。
「これです! 主人様から貰ったマジックハンド! これさえあれば花茶だろうと紅姫さん黄結姫さんまでも私で持ち上げることが可能!」
「その存在すっかり忘れてたわ。よし! みんな集まったし森へ探検に行きましょうか!!!」
「なぁ、俺は緑癒を担ぎながら行かないといけねぇのか」
「その通りですよ! ほら、頑張ってください! 体力が尽きかけたら僕が回復してあげますから」
緑癒は疲れているライネルに緑色の鱗粉を振りかけた。
「負けたライネルが悪いな!!! 紫水! 背中のせてくれないか?」
「ネルガルごめんよ〜、俺の背中は〜、主人様の特等席だから〜、ネルガルは走って付いてきてね〜」
「ネルガルごめんね、それじゃあ出発!!!」
私を背中に乗せた紫水は洞窟の入り口へ走り始めた。
「おー! ライネルお兄ちゃん頑張ってね!!!」
「ライネルさん緑癒お先です」
藍介を背中に乗せた花茶は紫水の跡を追った。
「走るしかないのかよ!!!」
ネルガルは1人寂しく走り始め。
「ほら、ライネルさん走ってください! 皆さんに置いていかれちゃいますよ!!!」
「緑癒が飛んだ方が早いだろ!!!」
「罰ゲームなんですから! ほら、とやかく言ってないで走ってください!」
「くそぉがぁ!!!!!!!」
ライネルは緑癒を担ぎながら走り始めたのであった。
最後尾の緑癒とライネル
ライネルは緑癒を担ぎながら走っていたが、何度も力尽きそうになり緑癒に回復されながら走っていた。
「もう、主人様達が見えなくなってしまいましたね。仕方ない、僕がライネルさんの力を上げてあげますね」
緑癒は赤色の鱗粉と青色の鱗粉をライネルに振りかけた。
「なんだこれ! めちゃくちゃ力が湧いてくるじゃねぇか!!! なんで最初からこれ使わなかったんだよ!!!」
「いや、だって、僕が力を貸したらズルになってしまうじゃないですか」
「これなら、ネルガルの野郎なら抜かせるな! 緑癒! しっかり掴まってろよ!!! 本気出すぜ!!!」
「最初から本気で走っててくださいよ!」
緑癒のバフによってライネルはネルガルを追い越す事に成功したのであった。
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