懐かしい名前
僕はイデアさんに呼ばれお話をしました。イデアさんはドラゴンの呪いを解く鱗粉が欲しいとおっしゃっていました。あんな恐ろしい呪いが身近にあると考えると解呪できる僕の鱗粉が欲しいのは分かりますが。もし、ネルガルさんとライネルさんの呪いより強いと僕の鱗粉でも解呪することはできないと思います。それなら、紫水の水の浄化能力を合わせれば強力な解呪薬を調合できるかもしれませんね。紫水にお願いしてみましょうか?
「緑癒〜、なんで俺が作る水が欲しいの〜」
「紫水が作り出す水は浄化能力を持っているので僕の鱗粉と掛け合わせれば強力な解呪薬を作れるかもしれないのですよ」
「浄化能力〜? 俺が作る水ってそんな効果あったの〜?」
「えぇ、知りませんでしたか?」
「初耳だよ〜」
「作っている本人が分からないとは、少しは自分自身の力を考えた方がいいと思いますよ」
「え〜、知らなくても〜、困らないから大丈夫だよ〜」
「僕、主人様に瓶を作ってもらえるか聞いてきますね」
僕は主人様に瓶を作って欲しいとお願いすると快く2つの瓶を作ってくださりました。その後、紫水にお願いして紫水が作り出す水を瓶に入れ、僕が使える最強の浄化能力を持つ黄金の鱗粉を水の中に入れました。すると、水が黄金に光り輝き最強の解呪薬を作ることに成功しました。
「緑癒さん、紫水さん、ありがとうございます」
イデアさんは僕達にお辞儀をしてくれた。
「いえいえ、初めて作ったので成功してよかったです」
「俺のおかげだよね〜」
「それにしても、緑癒さんの治癒能力はイーヤヘルドさんと同等の力だと私は考えていますが、緑癒さんイーヤヘルドと言う人間の名前に心当たりがありますか?」
「イーヤヘルド? 聞いた事ないですね。そもそも、僕達は人間とは関わりが殆どないので分からないですよ」
「ねぇ〜、獣君〜、イーヤヘルドって誰なの〜?」
「イーヤヘルド、主神と呼ばれているゼスという神を讃える宗教ゼスレス教がありまして、歴代最強の癒して力を持つと言われた男がゼスレス教、教皇、イーヤヘルドなのです」
「最強の癒しの力ねぇ〜、その人間よりも緑癒の方が凄いし〜、人間ならもう死んでるから〜、この世界で一番の治癒能力者は緑癒になるね〜」
「紫水、急に僕のことベタ褒めしなくてもいいですよ。ですが、気分が良いのでもっと僕のこと褒めてください!」
「え〜、面倒だからいいや〜」
「まぁ、そうですよね。今じゃゼスレス教はもうありませんから仕方ないですね」
その後、イデアさんと兵士の方達は帰り、侵入者対策会議が始まりましたが、僕はイーヤヘルドと言う名前が気になって仕方ありませんでした。そして、いつの間にか侵入者対策会議が終わり皆さんは洞窟に帰る準備をしていました。ネルガルさんとライネルさんは、主人様の家の近くに家を建ててもらえるみたいで嬉しそうにしていました。
「外で野宿かと思ってたけど、まさか家を建ててもらえるなんてな」
「でもよぉ、ネルガルこの洞窟の中で食料って虫しかいなぁよな」
「それは、勘弁してほしいな」
「ちゃんと普通のご飯が出るから安心して頂戴。うちの藍介の料理はとっても美味しいのよ!」
「まじかよ、まぁ、握り飯作ってたよな」
「主人様がそうおっしゃるのでしたら、仕方ありません、ネルガルさんとライネルさんの分の料理も作りましょうか!」
「建物全部壊したし、みんな帰るわよ!」
「主人様〜、俺に乗って〜」
「あーずるい! 主人様! 花茶に乗ってよ!」
「紫水はネルガルを乗せて、花茶はライネルを乗せてあげて頂戴」
「え〜、なんで魚君を乗せなきゃいけないの〜」
「分かった! 魔人さん花茶に乗って乗って!」
「おう! 花茶よろしく頼むぜ!」
花茶ちゃんはライネルの声真似をしました。
「おう! 花茶頼まれるぜ!」
花茶ちゃん声真似上手いですね。
「俺の真似しなくていいからな」
「はーい!」
「しかたないな〜、ほら〜、魚君乗って〜」
「紫水、ありがとうな」
「どういたしまして〜」
「私は紅姫、背中乗せてもらっていいかしら?」
「はい、お乗りください」
主人様は紅姫さんの背中に登り白桜ちゃんと青雷君と楽しくお話をしていました。
「よし! 帰るわよ! 出発進行!!!」
僕は僕の家がある2層目で主人様達と別れました。
イーヤヘルド、何故かこの名前に懐かしいと思ってしまうのはどう言うことなのでしょうか、それに、イデアさんの話だと彼は教皇、前に見た夢に出てきた人物に教皇がいました。それと、関係があるのでしょうか。
僕は帽子を帽子置きにかけて、眠ることにしました。
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