イデアとの別れ
イデアは緑癒と紫水と何か話していた。すると、緑癒は水を入れる瓶が欲しいと私にお願いしてきた。どうして、瓶が欲しいのかな? そう思ったが、私は2つ小さな瓶を作って緑癒に渡した。
魔王軍の人達はこれから魔族の国へと帰るみたいだけど、貴方達、もしかして歩いてきたのかしら? 流石に魔法がある世界なんだから転移魔法とかあるわよね?
「それでは、皆さん行きますよ」
クティスはイデアの右目の仮面になり、イデアは空を飛んでいたが、兵士は空を飛んでいなかった。
「イデアさん! ちょっとまって!」
「凪さん! どうしたのですか、やはり私とハグしたいのですか!」
「そうじゃなくて、兵士の人達は歩いて帰るわけ? 転移魔法とかないの?」
「転移魔法ですか、それを使えるのはごく一部の魔法使いしか使えませんので、彼らは歩いて帰りますよ」
「えっ!? 貴方達ここまで歩いてきたって事なの!」
「ネルガル、転移魔法つかうと一体いくらかかるんだっけっな?」
「えーと、確か、金貨千枚は買えるんじゃないかな? 転移魔法なんて高級魔法すぎて魔法局に申請送れないもんな」
「ねぇ、藍介、金貨っていくらぐらいなの?」
「そうでした、主人様は知りませんでしたね。それでは、説明させてもらいますね。金貨1枚は銀貨100枚分の価値があり、銀貨1枚は銅貨100枚分となります。国によりますが、基本的に銅貨が最小単位となっています」
銅貨100枚で銀貨一枚で銀貨100枚で金貨になると、手っ取り早く銅貨を10円とすると、銀貨は千円で、金貨は10万円ってことでいいのかな? まぁ、分かりやすくしただけだから、私の世界とは価値が違うかもしれないけど、そう考えると、金貨が千枚なら、えっまって、桁数やばくない? えーと、ゼロが8つ、一億ってこと? えっ? そんなに転移魔法って高いの!? それは転移魔法使えないわ! 高すぎるって!!!
「ごめんなさい、転移魔法使うのにそんなにかかるなんて知らなかったわ」
「いえ、それで、凪さんはどうして私を呼び止めたのでしょうか?」
「こっから歩いて帰るの大変だなって思ってさ、それなら、こういうの作ってあげようかなってね」
私は兵士達が全員乗れる荷車を作った。
「これなら、帰るまで歩いて疲れる事はないと思うのよね」
「これは、凪さんは本当になんでも作れてしまうのですね! でも、これは誰が荷車を引くのでしょうか?」
「それは、足が速そうなクティスが引けばいいんじゃないかしら」
すると、イデアの右目の仮面になっていたクティスが獣の姿なって現れた。
「ガウルゥ? ガゥ、ガウル!(僕が引くの?まぁ、いいよ!)」
「クティスいいのですか!? ですが、道が整備されていない森を荷車に兵士を乗せて行くのは逆に時間がかかってしまうような」
「それなら、空を飛べばいいんじゃない? 空飛べようにしておくわよ」
「凪さんはそんなこともできるのですか!?」
「多分できるんじゃないかしらね」
私は一度作った荷車を回収してもう一度新たな荷車を想像した。
「これで、空飛べるわよ!」
「ガウルゥ?(飛べるのかな?)」
クティスに荷車を引く紐を胴体にくくりつけた。
「クティス痛くないかしら?」
「ガウガ!(痛くないよ)」
「クティスは痛くないと言っています」
兵士達は荷車に全員乗ると、本当に飛ぶのかと不安がっていた。中には高所が苦手な人もいたみたいで、体が震えている兵士もいた。
クティスが荷車を引くと荷車の下から魔法陣が展開、ゆっくりと地面から浮いていった。もちもん、クティスがつけた紐からクティスの体の下に魔法陣が現れていた。
「浮いてる! 荷車が浮いてる」
「高いところは嫌だ、高いところは嫌だ」
「すげぇ!!!! 俺空飛ぶの初めてですよ!」
兵士達は荷車が浮いていることに感動している者や恐怖している者と様々な反応をしていた。
「凪さん、これはどのぐらい空を飛べるのでしょうか?」
「一応、私の魔力をありったけ入れたから結構飛べると思うのだけど、危ないと感じたら森から出たら降りればいいんじゃないかしら?」
「降り方はどうすれば」
「クティスが降りたいと思えば降りるわよ。荷車の紐を引いている人の意思によって決められるようにしておいたから」
「クティス一旦降りてきてくださりませんか!」
「ガウガ!(わかった!)」
クティスが地面につかうと下へ顔を向けたら荷車も徐々に降下していった。
「これで、帰りやすくなったでしょ」
「凪様ありがとうございます!!!」
兵士達は歩かなくて良くなったので喜んでいた。高い所が嫌いな兵士は嫌がっていた。
「凪さん、何から何までありがとうございます」
「いいわよ。さぁ、早くしないと日が暮れちゃうから」
「はい。また今度伺います」
「それじゃあね!」
「魔人さん達じゃあね!!!」
花茶は魔王軍の兵士達に手を振っていた。
「道中お気をつけて」
藍介も花茶の背に乗って手を振っていた。
「本当に飛んでるよ〜、主人様凄いや〜」
「俺ここ残って良かったかもしれないな」
「もしかして〜、魚君〜高い所苦手〜?」
「そんな、俺は隊長になるぐらい強いんだぞ、そんな、高い所なんて怖く」
「ネルガルは木に登るのも嫌いなぐらい高い所苦手だぜ」
「やっぱり〜、魚君〜荷車乗らなくてよかったね〜」
「ライネルお前!」
イデアとクティス、荷車に乗った兵士達が見えなくなるまで私達は手を振った。
よし! 次は侵入者対策をしないといけないわね!
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