ネルガルとライネルの特別任務
魔蟲の洞窟の連中との話し合いが終わりイデア様は俺達を集めた。
「先程も話しましたが、ネルガル君とライネル君は魔蟲の洞窟で特別任務を行なってもらうのですが、貴方達の上司であるライゴウさんには任務内容を伝えたくないので、お二人は死んだこととして処理します」
「え!? 両親にはどう説明するのですか」
「まじかよ。帰れねぇのは分かっているがそれは」
「えぇ、二人の両親には事情を説明いたします。他の方達はこれから、私と一緒に魔王軍へ戻るのですが、ネルガル君とライネル君が生きてる事は他言無用でお願いします。それでは、準備が終わり次第ここを経ちます。解散。それと、ネルガル君とライネル君はまだ話がありますので、こちらにいらしてください」
俺達について来た兵士達は家に帰れることに安堵していた。
特別任務って何を俺はやればいいんだ?
俺とネルガルはイデア様の後に続き森の中に入った。
「イデア様、特別任務ってぇのは、俺達は何をやればいいんだ?」
「それはですね。貴方達お二方にしか頼めない任務なのですよ」
俺とネルガルにしか頼めない任務‥‥。
二翼であるイデア様にそう言われちまうとやるしかねぇよな。
「それでは、私からのお二方にお願いする任務は」
「任務は」
「一体どれだけ重大な任務なんだろうな」
「凪さん。つまり、魔蟲の洞窟の主人の好きな異性の好み、他にも彼女の好きな物全てを貴方達に調べてもらいたいのです」
おい、それってイデア様が好きな女を知りたいが為に俺達にあの女の情報を集めろってことだよな。はぁ? それが特別任務だというのかよ! 期待して損したぜ!!!
「魔蟲の洞窟の主人の情報収集ってことでよろしいですか」
「えぇ、彼女の能力はとても希少な力です。その力の正体を調べるのも重要ですが、それよりも個人的に凪さんの好みが知りたいのですよ。女性に贈るプレゼント選びにしても、好きな物を知っているのと知らないとじゃ、選び方が変わりますからね。貴方達はまだ、妻を娶った事がないと思うのですが、女性というのはプレゼントによって男性の価値を決める方もいらっしゃいます。もし、女性にプレゼントを渡す際は、必ず相手の事を調べ上げ、流行を取り入れたプレゼント、それか高価な装飾品、金銭的に厳しいのでしたら、想いを込めた手紙でもよろしいかと思いますが、手紙はある程度仲良くなった場合に有効なので」
「魔蟲の洞窟の主人の情報収集任務受けます!」
話が長くなりそうだったが、ネルガルのおかげで切り上げることに成功した。
「ありがとうございます。貴方達にアドバイスをするなら、凪さんに直接聞くのではなく、凪さんの配下の方達から仲良くなり、そこから少しずつ距離を詰める方法が良いと私は思いますね。まぁ、そこは貴方達に任せるとしましょう。私はこれから凪さんにお別れの挨拶をしに行きますが、一緒に来ますか?」
「いえ、ライネルと作戦を練りたいので少ししたら行きます」
「そうですか、二人には期待してきますよ。後日、伝書鳩を飛ばしておきますね」
「はい」
イデア様は魔蟲の洞窟の主人に会いに向かった。
「ネルガル、どうやって情報を聞き出せばいいんだよ」
「お前は花茶っていう虫に好かれているみたいだから、まず最初にそいつから仲良くなったらいいんじゃないか?」
「ネルガルは誰と仲良くなるんだよ」
「俺の場合は紫水かな」
「紫水、あー、お前のことをボコボコにした強い奴か」
「ああ、ライネル、紫水とは絶対に喧嘩するなよ。あいつは他の奴らとは次元が違う力を持っている」
「わぁーかってるよ。てか、長達とは敵対したくねぇな」
「魔王軍の幹部クラスの魔物がいるダンジョンか、それって、ドラゴンの楽園、竜谷と同等クラスのダンジョンって事だよな」
「やべぇよな」
「覚悟を決めるしかないな」
「まっ、俺は適当にやるから情報収集はネルガルよろしくな」
「俺に任せるんじゃない! お前だって手伝え!」
「頭使う事は俺には向いてねぇんだよ。それじゃ、俺は先に行くぜ」
「おい! 俺を置いていくなって! おいって!」
俺は魔蟲の洞窟の入り口に向かうとその後ろをネルガルが慌てて着いてきてきた。
ネルガルがいたらイデア様からの特別任務どうにかなるだろ、俺は適当に休暇を楽しむことにするか。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。