多数決
白桜は私に頬擦りをしていた。
「主人様、あたしの主人様」
「はいはい、肩に乗ってていいから静かにしなさいよ」
「はーい」
「それでは、話し合いに戻りましょう。確か、魔王軍とのこれからの関係性でしたね。何か意見のある方がいらっしゃいましたら挙手をお願いします」
「は〜い」
紫水は長い触覚を上げた。
「紫水話してください」
「俺も〜、白桜ちゃんの意見に賛成かな〜、仲良くなるのはいいけど〜、主人様の恋人になりたいとかさ〜、そっちから襲ってきたのに何言っているんだって感じだよね〜。そんなので〜、仲良くなりましょう〜。なんて〜、無理だよ〜」
「おや、私は貴方に嫌われてしまったみたいですね」
「そりゃあ〜、母さんを殴った奴と仲良くなんてできる訳ないよね〜」
「あの時は武力で制圧した方が楽だと考えていたので、申し訳ございませんでした」
イデアは黄結姫に頭を下げた。
「私も兵士の方達と戦っていましたし、仲間を弔ってもらえたので今回は貴方達を許します。ですが、今度こんな事があったら私は貴方達を絶対に許しません」
「黄結姫さん、ありがとうございます」
「紫水の意見も分かりますね。私達は手放しで歓迎する事は出来ないでしょう。ですが、魔王軍との友好関係を結ぶ事は重要だと私は考えています」
「藍介は〜魚君達と友達になる事に賛成なんだね〜」
「えぇ、外の世界の情報を得ることにもなりますし、リリアーナの動向が気になるところです。なぜ、自分から手放したのに攻撃してきたのでしょうか? 究極霊薬以外にも何か思惑があるような気がするのです」
「あいつ〜、性格悪かったからね〜。でも〜、藍介は考えすぎなんじゃないかな〜?」
「考え過ぎだとしても最悪の場合を考えていた方が対処し易くなりますし、私達は何かあった際、ダンジョンから逃げることも出来ますが、主人様はダンジョンから逃げる事ができない。その事を踏まえると、やはり、魔王軍との友好関係は必要なのです」
藍介は私の事を考えてくれていたのね。そう、私はダンジョンから出る事が出来ない。戦争が起きた場合、私は逃げれない。戦うこともできるけど、今回は少人数だったから良かったものの、もし軍隊で来られた場合はどうなっていたか分からないわね。それに、イデアは本気を出していなかった。私が彼を殺せたのって彼は元々私を攻撃する気が無かった訳だし、私達は今回運が良かったっていうことよ。
「そう言われちゃうと〜、反論できないな〜」
白桜の言っていることも理解できるけど、私は友好関係を築きたい。でも、反対意見も理解できる。それなら、みんなの意思で決定しましょう。
「それじゃあ、多数決にしない? 魔王軍と友好関係を結ぶことに賛成の人!」
藍介、花茶、緑癒、黄結姫、紫水が手を挙げた。もちろん、私も手を挙げたわ。6人賛成、反対は1人、紅姫ってことね。
「私は大まかな話を聞かせてもらいましたが、魔王軍と関わり合うことによって今回の件よりも被害が拡大する可能性とありますよね? それなら、仲良くなるのではなく、関わり合わないほうがよろしいのではないのでしょうか?」
「関わり合わないか、それも分かるけど、今回は友好関係を結ぶ事にしましょう」
「分かりましたわ。ですが、魔王軍の皆さんに言いたい事があるので少し宜しいですか?」
紅姫はイデアを見つめて言った。
「紅姫さんと言いましたね。えぇ、話してみてください」
「私は今回の争いには参加していませんでした。なので、次回このような争いが起こった場合。私は貴方達を容赦なく殺します。なので、私を怒らせないでくださいね」
「貴方の意見はごもっともです。二翼イデア・ラヴァーズの名において、今後、ダンジョン魔蟲の洞窟の方達に対し敵対しないことを誓います」
「彼だけではなく他の方達も同様ですからね。私が言いたい事はこれで以上です」
「それでは、魔蟲の洞窟は魔王軍との友好関係を築くという事で宜しいでしょうか。魔王軍の方達はどう思いてますか?」
「俺はいいと思うぜ」
「上司の命令は絶対だからな」
他の兵士の方達も同様に賛成してくれた。
魔王軍との友好関係を結ぶ事によってリリアーナの情報を聞き出すことができるわね。
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