白桜、乱入
ネルガルが落ち着くまで一旦休憩をすることにした。
そして、10分程度休憩挟んで話し合いを再開した。
私は手を挙げた。
「主人様、どうぞ」
「ねぇ、もうそろそろ、魔王軍の方達とのこれからの関係性を決めたいのだけど」
「それは、もちろん友好的な関係を築けたらなと考えています! 凪さんの配下は皆、素晴らしい能力をお持ちしています。是非とも我等魔王軍と友好関係を結んでもらえると嬉しいです! あと、個人的に凪さんとは友人ではなく、恋人、そして、私の妻となって欲しいのです!」
イデアはまた私に告白してきた。
あのね、こんなムードのない場所で告白されても嬉しくないのよ。クティスだったら少し心がなびくかも知れないけど、変態に告白されても。ねぇ、イケメンでも嬉しくないわよね。
「恋人はお断りします」
「それは、妻ということですね!!!」
「それもお断りします」
「はぅうううう!!! 凪さんは鉄壁。ですが、より一層私の恋心が燃え上がるというもの!」
花茶は緑癒だけに思念を飛ばした。
『ねぇ、ねぇ、緑癒お兄ちゃん、魔人さん達と友達になるってこと?』
『えぇ、そういうことですが、簡単な話ではありませんよ。まだ、主人様が魔王軍と友好的な関係を築くとは一言も発言してませんからね』
『花茶は魔人さん達と仲良くなってもいいと思うんだけど。友達増えるのって嬉しいよね』
『そうですね。イデアさんとは友達にはなれませんけど、他のクティスさんやライネルさん、ネルガルさんとは仲良くできそうですね』
紅姫の背中には白桜と青雷が乗っていた。二人はこっそり付いてきたのであった。
「静かに聞いていれば、あたし達の主人様に求婚なんて一万年早いのよ!!!」
「ちょっと、ねぇちゃん何やろうとしてるんだよ、静かにしていようよ」
「とぉ!」
「あっ、ねぇちゃん危ないって」
紅姫の背中から白桜が机に向かって飛び出し、机の上に着地した。
「あたしは侵入者と仲良くなるのには反対するわ! 主人様に対して敬意が全くないもの!!! そもそも、貴方達は主人様に釣り合わないわ!」
「白桜!? 青雷まで、家で待ってなさいと言ったはずですよ」
紅姫は背中に2人が乗っていた事を知らなかったみたいだった。
「母様、あのイデアっていう奴が主人様に対して礼儀がなっていないからあたしが言ってやるまでよ!」
「白桜、私の背中に戻りなさい。魔王軍の皆様、主人様申し訳ございません。まだ、子供ですので許してあげてください」
白桜はイデアの前に向かうとイデアに物申した。
「ちょっとイデア! あたしの主人様にこれ以上、近付かないでちょうだい! そもそも、主人様はあんたの事好きでもなんでもないんだから、やめてよね! 昨日初めて会って、殺し合った人なんかに告白されても嬉しくないのよ!!!」
白桜がイデアに対して私が言いたいことを全て言ってくれた。ありがとう、白桜。言ってくれて嬉しいけど、彼の感情を逆撫でする事は言ってほしく無かったわね。まぁ、白桜が言った事は事実だけどね。
すると、イデアの椅子の後ろで前足に頭を乗せて寛いでいたクティスが大声で笑い始めた。
「グルルルルガ! グルルルルガ!(イデア、子供に指摘されてるじゃん! その子の言ってる事は間違いじゃないね!)」
「クティス! この子の言ってる事は正しくないですよ! 凪さんは私の事が好きな筈です! 何故なら、私が抱きついても逃げようとしないのですから!」
「ガウガ、ガウガルルガグルガ(いや、抱き付いた時逃げようとしてたよ)」
「凪さん! 私の事嫌いじゃないですよね、むしろ好きですよね!」
「昨日会ったばっかりなので、分からないです。白桜、ちょっとこっちきなさい!」
「主人様! あたしガツンと言ってやったわ! 褒めて褒めて」
白桜はすぐに私の元に駆け寄ってきた。
私は白桜に向けて思念を飛ばした。
『本当は褒めてあげたいけど、危ない真似はしちゃいけないわよ』
『でも、イデアっていう奴が主人様に変な事言うんだもん。あたし、黙ってられなかったの!』
『白桜ありがとう。後は私に任せてね』
『はーい』
白桜は私の肩に向けて糸をお尻から出し、白桜は糸を伝って私の肩に登った。
「イデアさんごめんなさいね。子供の言う事だから許してくれないかしら」
「凪さんにそう言われてしまうと、許すしかないじゃないですか」
「白桜の乱入によって話がそれてしまいましたが、話を元に戻しましょう」
藍介が話を戻そうとしてくれていた。
イデアさんが怒らなくて良かったわ。クティスは何故か笑っているようだったわね。
気を取り直して、私達は話し合いを再開した。
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