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人間と魔族

 私達はそれぞれ椅子に座った。


 話し合いの進行役を藍介にお願いした。


「それでは、まず最初に自己紹介をお願いします」


 イデアは椅子から立ち上がった。


「それでは、私から自己紹介をさせていただきます。私の名はイデア・ラヴァーズと申します。魔王軍最高幹部八翼の一人でして、ニ翼を担当しています。魔王軍では、法務、外務、財務、人事などを任されています。あとは、クティスは私と一心同体であり、本来は一匹の獣だったのですが、人間になりたいと神に願い、人の姿として生まれたのが私なのです。他にも話したいことがありますが、長くなってしまうので私の自己紹介を終わりにします」


 それじゃあ、私の番かな。私は椅子から立ち自己紹介をした。


「私の名前は清元凪、魔蟲の洞窟と魔蟲の森の主人、そして、異世界から私は来た異世界人です。この世界へ来る前は普通の人間だったのですが、リリアーナによって、半分精霊の人間精霊になりました。私の自己紹介はこれで終わりです」


「リリアーナにそんな力があったのですか? 人間を精霊に変えるなんて神にしか出来ない所業だと思うのですが? 凪さんの場合はリリアーナではなく、他の精霊が干渉していると思うのですが、うーん、私の考えが間違えていた。いや、そんな筈は」


 イデアが首を傾げていた。


 その後、交互に自己紹介をして、ある程度相手がどんな人かを知ることができた。


「それでは、自己紹介も終わったということで、話し合いを始めましょう。では、魔王軍の方達に質問をいたします。魔王軍の方達は何故、魔蟲の洞窟に来られたのでしょうか」


 ネルガルが質問に応えた。


「それは、リリアーナ様は魔王様に即戦力が欲しいと言われたから、前に住んでいたダンジョンの蟲を連れてきて欲しいと言われました」


 イデアは手を挙げた。


「すみませんが、補足として、現在、魔王様は人間との戦争を考えていらっしゃいます」


 人間と魔族の戦争! 魔王が登場するゲームの定番よね! でも、それと私達は関係ないし、どうして人間とわざわざ争うのかしらね?


「人間との戦争。それで、強い兵士が欲しいのね。でも、それと私達は関係ないわ。人間と争う理由はなんなの?」


「えぇ、凪さんの言うとおりです。私も人間と争うのは反対だったのですが、今回の事件を得て、人間との戦争を止めることは私にはできませんでした」


「事件ね」


「魔族の村が人間に襲われたのです。村人達は人間の国へ連れて行かれ、現在、人間の奴隷となっています」


 すぐに助けにいけないのかしら? 奴隷制度があるというのは藍介の本にも載っていたけど、魔族を攫って奴隷にするってこの世界の人間最低じゃない!


「それなら、私達の洞窟に来るよりも、早く助けてあげれば良いじゃない」


「それが、出来たら苦労はしないのですよ。奴隷となった方達は、人間の国『アスラスム』の王都『タユナタ』にいる為、助け出すにしても、王都に向かう前にいくつもの町や村を通らなければなりません。人間は魔族を嫌っているので、人間に見つかったら人間はすぐに攻撃を仕掛けてきますからね」


 確か、『アスラスム』は複数ある人間の国の中で魔蟲の洞窟から比較的近い国だったわよね?


「こっそり助け出すことは出来ないのかしら?」


「王都『タユタナ』には結界が張られている為、人間以外の種族は出入りをする際、関所を通らなければ入れない仕組みとなっているのです。この情報は『タユタナ』に潜入している諜報部から聞いた情報なのですが、潜入した方との連絡が2月ほど前から取れなくなってしまっているのです」


「うーん、それで、戦争かぁ。話し合いとかは出来そうにないわよね。うーん、大体の内容は分かったわ。でも、私達が協力するかは別よ。藍介はこの話どう思う?」


「私は魔族と人間との戦争を反対は出来ませんね。人間が先に仕掛けてきたのなら、反撃されても仕方のない事、人間が奴隷制度を使っている事は知っていましたが、他種族を攫い奴隷として働かせるのは例え種族が違えどやり過ぎですね」


「緑癒お兄ちゃん、奴隷ってなに?」


 花茶はこっそりと隣にいた緑癒に聞いていた。


「奴隷というのは、そうですね。人として扱うのではなく道具として扱う事ですかね」


「道具として扱う。うーん、まぁ、分からなくて良いや」


「あまり良い言葉ではないので、知ってほしくなかったです」


 藍介の考えも分かるわね。この話を聴くと、攫われた魔族達を助けてあげたいけど、私はダンジョンから出れないし、藍介達に頼むのも危険すぎるわ。


「前に人材不足と言っていたのは戦争に出る兵士が足りていないという事であっているかしら?」


「その通りです。私の仕事は、様々なダンジョンに出向き、ダンジョン内にいる魔物をスカウトしているのです」


「それで、貴方の仕事をリリアーナが代わりにやったと」


「リリアーナは私の仕事の邪魔をしただけですよ」


 どうして、リリアーナはイデアの邪魔をしたのかしら? 魔王にお願いされたからとネルガルは言っていたけど、魔王はイデアの仕事を減らしてあげたかったのかな? でも、それならイデアは魔蟲の洞窟に来なくても良かったはずよね?


 人間との戦争する話や、奴隷制度、この世界は本の情報以上に危険な世界だったということね。私が遊んでいたゲーム、神々ダンジョンの世界と似ていると思ってたけど、なんか少し違うのよね。

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