リリアーナの行方
私は変態イケメンの腕から逃げようとして、もう一度暴れたけど無駄だった。
「その前に、貴方達が私達に攻撃してきたから、私に殺されたんでしょ!!! 私は貴方を慰める必要がないわ!!!」
「あっ、その話でしたら、あそこで焚き木をしている。馬鹿な2人に、言ってください。私は本来話し合いで交渉しようとしていたのに、馬鹿のせいで戦う羽目になったのです」
彼は焚き木をしている赤髪と青髪の魔人を指差した。
赤髪と青髪の魔人の頭には立派なたんこぶができていた。
「それなら、黄結姫を殴った理由はなんなのよ! 貴方のせいで黄結姫死にかけたんだからね!!!」
「黄結姫‥‥。あの大きなムカデのことですかね? あれは、正当防衛ですよ。黄結姫さんの一撃をカッコよく受け止められたのですが、あれ、すごく痛くて、つい、力が入ってしまって」
「つい、で殺そうとしないでよ!!! そもそも、何で私達のダンジョンに来たのよ!!!」
「それは、ですね。魔王軍が人材不足でして、人員確保の為に高難易度とされるダンジョンに住む魔物をスカウトしているのですよ。凪さんの魔蟲の洞窟は禁足地にある為、私自ら出向いたと言うわけですが、どっかのアバズレが馬鹿を唆したみたいでして、私の仕事を邪魔してきたんです」
「アバズレって誰なのよ」
「魔王軍、八翼の1人、四翼のリリアーナです」
「えっ!? リリアーナ魔王軍の幹部になってるの!?」
「えぇ、1年ぐらい前に急に現れて、前四翼のリリムレッドを倒して現在の地位を獲得しました」
「へぇー、ん? 何でリリアーナがあの2人を唆したのかしら?」
「えぇ、ネルガル君と、あ、青髪の彼ですね。ライネル君、赤髪の彼です」
リリアーナの名前がここで登場するなんて思いもしなかった。そもそも、魔王軍の幹部になっているって、どういうことなの!?
うーん、この変態は私に気があるみたいだし、リリアーナの情報を聴き出せるかもしれないわね! でも、その前に落とし前はつけてもらわないとね!
「そうなのね、ねぇ、えっと、イデアさん。お願いがあるのですが、話を聞いてもらっても宜しいですか?」
「凪さんが私の名前を呼んでくれた!!! お願いですか! えぇ、えぇ!!! どうぞ何なりとお申し付けください! 貴方のためなら何だっていたします!!!」
彼はとてつもなく強力なイケメン笑顔パワーで私の心を貫こうとしてきた。が、私には効かないわよ!!!
さっき、何だってするって言ったわよね? それなら、まず最初に、あそこで焚き木をして寛いでいる人達に落とし前をつけてもらおうかしらね。 命を奪ったなら、きちんと自身の糧にしてもらわないといけないわよね!!!
「イデアさん、貴方の部下達が私のダンジョンにいる子達を殺したんです。だから、命を奪ったのなら、きちんと私達のやり方で弔って貰いたいのです」
「はい! それで、弔い方は何でしょうか?」
「それは、ですね、ちょっと耳をお借りしていいですか? あの、この状態だと話しにくいので放してもらっていいですか?」
「はい! どうぞ!」
彼は抱きつくのをやめて、体を屈めて耳を私に向けた。
「あのですね‥‥。」
「はい!!! はい、えぇ、ええええ!? それは、そうですが。誰か何匹殺したかわからないのでは、あっ、すみません、何人ですね。えぇ、えぇ、かしこまりました」
彼は私のお願いを快く承諾してくれた。
でも、弔う前に、彼には服を着てもらおう。
「あの、裸で寒いと思うので、これ着てください」
私は白いシャツを彼に渡した。
「凪さんからのプレゼント!? 有り難く頂戴いたします」
彼はシャツを着て、焚き木にいる部下達に私がお願いしたことを告げに行った。
部下達は反抗したが、彼が殺気を放ったら一瞬で静かになった。
よし! 藍介達に弔う準備をお願いしよう!
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