表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/588

甘えん坊な獣

 私は意識が戻ったが、目を瞑っていた。


 何か、もふもふな布団に少し硬めの枕で私は寝ていたみたい。あれ? 私、立ったまま寝ちゃったのに、布団の中にいるの? もしかして、今までの嫌な事は夢だったって事なのかな?


 私はゆっくりと目を開けてみた。


 目の前には敵だった男の顔が目の前にあった。


 フカフカな布団と勘違いしていたのは、ワンちゃんの体毛、少し硬めの枕は彼の腕枕‥‥。


  空は暗くなっていた。うん、目を瞑ろう。


 起きて早々にイケメンの顔がドォーン! フカフカ柔らかくて温かいワンちゃんの温もりとイケメンの腕枕。


 もう、なんだろうね!


 彼を倒すために必死に考えて、人を殺すことを考えるなんて今までの人生で初めてのことなのに、自分自身が怖くなって、あんな嫌な光景を見たって言うのに、何なんでしょうね!


 もう一回、寝ようかな。


「んん、凪さん、目が覚めましたか?」


 イケメンが耳元で囁いてきた。


「凪さん、おはようございます。お腹減りましたか? ご飯にしますか? それとも、私が欲しいですか?」


「なぁにぃ言ってるんだクソイケメンがぁぁぁあああ!!!」


 私は飛び起きた。


「凪さん! やはり、目覚めていたのですね」


 イケメンは私が立ち上がるなり、私を抱きしめてきた。

イケメンは上半身裸で、逞しい筋肉がこんにちわをしていた。


 あら、もう、すごい筋肉!!!


 はい、もう無理。なんなの、どういうことなの!

31歳、彼氏無しの人生だった私に、イケメンに抱き付かれるっていうありえない出来事、メンタルやられるわ!!!


 えっ? イケメンに抱き付かれているなら、ご褒美じゃないのかって? あのね、今までこの人と殺し合っていたんですけど、そもそも、イケメンでも初対面の人に抱きつかれたくないんだけど!!!! 無理! イケメンでも無理!!!


「なーぎさーん。はぁ、温かい」


 イケメンはイケメンでなんか、幸せオーラが滲み出ているんだけど、なんでなのよ! 私はあんたを殺したのよ! 生きてるけどさ。それでも、この甘えっぷり、なんなのよ!!! 誰か説明してよ!!!!


 あいすけぇーー! しすいーー! かぁちゃぁーー!

 たーすーけーてー!!!!!!


「凪さん、結婚式は何処にしますか? ウェディングドレスはどうしますか? 出来れば、一緒に決めたいのですが」


「ん? 結婚式ってどういうことなの?」


「それは、もう、私は凪さんに妻になってくださいと告白したら、凪さんは心よく私の腕の中で眠ったではないですか。私が安心できる人だと感じてもらえてよかったです」


「いや、え? ちょっと待って、私は貴方に抱き付かれた状態で眠ってしまったのは、貴方との戦闘で疲れ切っていたからで、安心して眠ったと言うよりは、眠気が限界を達したから寝たわけで、安心したとかじゃないわよ」


「ですが、凪さんが眠っている時に私にギューっと抱きついてきてくれたではないですか」


「はい? 私が貴方に抱きついたんですか? いつまで抱きついているんですか! 離れてくださいぃぃぃ!」


 私は全力で腕の拘束から逃げようとしたが、彼の方が力が上だった。


 離してよぉぉぉおおおお!!!


「私が凪さんをクティスの腹の上に寝かせた時に、私から離れまいと抱きしめてくださったではないですか、もう、あの時から、私の心は貴方の可愛さで貫かれてしまい、貴方に私の一生を捧げたいと心に誓いました。ちょっと、凪さん、暴れないでください、私はまだ甘え足りないんですから」


 彼は私の手を握り私の手を彼の顔に押し付けていた。


「凪さんの手はとても温かくて、柔らかく、はぁ、凪さん」


 彼は私の手の平にキスをし始めた。


 やめてよ!!! この変態!!! くそぉ!


「手を放しなさい!!!」


「いやです。貴方に一度殺されて痛かったので慰めて欲しいのです。はぁ、最高」


 誰か!!!! この変態をどうにかしてよ!!!


ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ