落ち着くのよ私!
私は座椅子に座り、昨日の私に託された虫達を触れるようになる為には、どうすべきかを考えていた。
そんなの簡単よ!慣れるまで触ればいい!
なんて、できるか!
虫好きでもない私が虫を触る?
小さい虫でも嫌がる私が?
そんなの!むーりー!
んっ?
私、昨日普通に虫達と話してなかった?
「おはよう」
私は紫水口調を真似をした。
「おはよう〜」
って会話したよね。
話すっていうか虫達は思念を飛ばして私と会話しているのだけど、側から見ると私が虫に向かって一方的に話しかけている変人‥。
え?私、人間としての感覚麻痺してる?
最初は虫達を見ただけでも気絶をしていた私が?
「主人様!おはよう!」
とても元気な少女の声がした。
私は障子を開け庭に出た。
「花茶、おはよう」
「主人様!遊びに来ちゃった!何して遊ぶ?」
花茶は嬉しそうに足をパタパタしていた。
花茶は嬉しいと足が動いちゃうのね。
可愛いわねぇ。って、私!巨大なゴキブリをみて可愛い?
私は両手を顔に当てた。
そんなわけないでしょ!ゴキブリよ!ゴキブリ!
女性なら皆んな嫌いのゴ!キ!ブ!リ!
なのに、なのに、どうして私。
可愛いって思っちゃうのぉぉーーーー!!!!
花茶が足パタパタしているのめっちゃ可愛いぃ。
私の目がおかしくなっているぅ。
最初見た時は本当に怖かったのにどうしてぇぇぇ。
可愛いよぉ、可愛すぎるよぉ。
私は情緒が不安定になった。
「主人様?」
花茶が私の顔を見ようと顔を低くして私の顔を覗いてきた。
あぁ、クリクリお目目が可愛い!
ゴキブリなのに、ゴキブリなのに、どいうことよぉぉお!
私は冷静になるために深呼吸をした。
「すぅーはぁー落ち着け、私」
「すぅーはぁー」
「ねぇ主人様は何しているの?」
「深呼吸をね」
「深呼吸?どうやるの?」
「息を吸って、吐いてを繰り返すのよ」
「かちゃもやる!すぅーはぁーすぅーはぁー」
私は花茶と一緒に深呼吸をした。
「あの?何をやっているのですか?」
藍介の声がした。
藍介は花茶の背中に登った。
「深呼吸だよ。おにいちゃん」
「深呼吸、それは人が落ち着くためにする行動ですね。それなら、私もやってみましょう」
人間1人とゴキブリ2匹は庭で仲良く深呼吸をした。
短いのでもう一本投稿します
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