イケメン滅ぶべし!!!
私の目が見えるようになると、黄結姫さんに怪我を負わせた男が主人様に向かって大鎌を振り上げていました。
「主人様から離れろぉぉぉおおお!!! 風球!!!」
私はフヨフヨさんを使い風魔法を発動しました。
フヨフヨさんは緑色に光ると、緑色の球が10個出現して、男に向かって発射された。
「ん?」
男は風球に気が付くと、風球を大鎌で切り裂きながら、少しずつ後退しました。
「おや、おや、貴方は確かライネルを倒した方ですね」
男は私を見つめた瞬間、男から放たれた殺気に私は恐怖で脚が震えてしまいました。
主人様はこれほどの殺気を感じながら戦えているなんて、流石です。私! 恐怖心に負けてはいけません。私は主人様のおかげで、戦う力を持っているのです。頑張れ私!
「藍介!? 危ないから洞窟に戻ってなさい!」
「いいえ、私は主人様と共に戦います! 私は魔蟲の洞窟6層目の長! 藍介! 貴方はどうして私達と戦うのですか!
私は大鎌の男に話しかけました。なぜ、この男は私達を襲ってきたのか、気になっていましたからね。
「これは、良い質問ですね。私、本当は貴方達と戦いたくないのですよ」
「嘘よ! それなら、貴方の部下はどうしてムカデ達を殺し始めてたのよ! それに、貴方は黄結姫に攻撃をした時点で私達と敵対するっていう事は分かるはずよ!」
「えぇ、あの馬鹿2人は私の配下ではなく、三翼の雷将の配下なのですよ。リリアーナに誑かされて、勝手に行動したのが、あの2人です。まぁ、ネルガル君が誑かされて、ライネル君は付いてきたって感じだと思いますが、その所為で、私がついた頃には戦いの真っ最中。もう、私が何を言っても無駄だと思ったので、実力行使で片付けようと考えていたのですが、ねぇ」
男はいやらしい目で舐め回すように主人様を見つめていました。なんて、いやらしい目なんだ! 主人様にこれ以上、好意を向ける異性はもう要らないのですよ! 紫水だけでも大変なのに、また恋のライバルの登場ですか!? 緑癒はモフモフお尻で主人様を魅了し、灰土さんは‥‥。まぁ、今は何も出来ない状態なので、保留にしましょう。紫水は、いつも通りで、今回新たに白桜が登場して、いや、白桜は女の子です。なのに、主人様に向けている好意が、異性に対しての好意なのですよね。そんな強力なライバルが登場したばかりだと言うのに、まさかの人型のイケメンが恋のライバルに登場とかやめてもらえませんかね! 私は、人型になって主人様とデートしたり、キ、キ、キス! 出来たらなぁって日々妄想しているのに‥‥。
人型、羨ましい!!! ましてや、イ・ケ・メ・ン!!!
ふざけるな!!! 私だって彼みたいなイケメンだったから主人様をイケメン力で魅了して、毎日、主人様に甘えながら過ごしたい‥‥。
人型、イケメン死すべし! イケメン滅ぶべし!!!
特に主人様に好意を向けるイケメンは死すべし!!!
「重力磁場!!!」
フヨフヨさんが黒と茶色の2種類の光を放った。
私はイケメンに向けて、土、闇の複合魔法である、重力磁場を展開、その次の闇魔法を放つ時間を作ることにしました。
「ほぉ、複合魔法を扱えるのですね! 凪さんと言い、貴方と言い、素晴らしい能力をお持ちなのですね!」
男は大鎌を地面に突き刺して立っていました。普通なら立っていることなど出来ないというのに、筋力のステータスがずば抜けて高いのですね。それなのに、主人様の魔法を喰らっても平然としている、魔法防御力も高いということでしょうか?
『主人様!!! 私が考えつく最強の魔法を使います! なので、離れていてかださい!!!』
『分かったわ! それってどんな魔法なの?』
『闇魔法の中で最強と言われる魔法。超重力球です!』
『ブラックホール!!!!! えっ!? それはヤバくない!?』
『えぇ、辺り一体が超重力球によって飲み込まれてしまう可能性があるので主人様は飲み込まれないように何かに掴まってください!』
『藍介は大丈夫なの?』
『あの、私も初めて使うので出来れば主人様に掴まっていたのですが、良いですか?』
『あーもう、それなら、そんな危ない魔法使わないでよ!』
『それは、無理です。彼にはこの魔法でさえ、ダメージを負わせられるか分からないですからね』
本音はイケメンを跡形もなく消し去りたいからですけどね!
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