遊びたがりな獣
5つ眼の化け物は長い舌を出しながら、イデアの周りをくるくると回っていた。回っている間に、ピッチング君から出ている魔石を尻尾と前足で楽しそうに撃ち落としていた。
「ガウガ、グゥルルルル、ガウウガ」
「クティス、嬉しいのは分かりますが落ち着きなさい」
「グゥルルルルルル、ガウ?」
「えぇ、彼女は貴方を見ても恐れていませんね」
私と5つ眼の化け物は目が合った。すると、5つ眼の化け物が私目掛けて走り始めた。
「ガウガ! ガウガ!」
「何よ! やる気なの! それじゃあ! これはどうよ!」
なんか、5つ眼の化け物は、少し犬に似ていると思ったからある物を作り出した。犬が好きな物は、ボールよね!
「ほら! このボール取ってきなさい!」
私はバスケットボールの大きさのボールを用意して専用のピッチングにセット、5つ眼の化け物が私の目の前に来た時に思いっきり森の中へと発射した。
「ガウガ!!! ガウウガ!!!」
犬似の化け物はボール目掛けて森の中へと走り去ってしまった。
ボール取りに行くんかい!!!
「あれ? クティス、どこへ行くのですか? 丸い物が気になるから取りに行く?」
イデアは困惑していた。ボールを飛ばした私もこんなに簡単に行くとは思いもしなかったから、同じく困惑してしまった。
犬みたいだからボールを飛ばしてみたけど、まさかこんな簡単に化け物を遠くに追いやる事ができるなんて、本当に犬だったの!? なんだろう、犬だと思うと可愛く思えてきたわね。
クティスはボールを取りに森の中へ入っていった。ボールが木に当たり辺りの木々へと跳ね返り。その様子をクティスは眺めていた。
『凄く、跳ねてる』
ボールの勢いが徐々に無くなっていき、ある男の頭に直撃した。
『あれ? こんな所で伸びている奴いるよ。あー確か、イデアが殴り飛ばした奴か‥‥。このままにしようか、持っていこうか迷うな? 持っていったら、綺麗な人と戦っているイデアの邪魔だし、でもなぁ。ここでそのままにすると、魔物に食べられちゃうよな。そうだ! 僕がこいつを助けたら綺麗な人が驚くんじゃ無いかな。そしたら、僕と遊んでくれるかな?』
クティスは悩んだ末、伸びているネルガルを背中に乗せて持って帰ることにした。
ボールを口に咥え、背中には伸びたネルガルを乗せて、クティスは綺麗な人の所に戻ることにした。
『この丸いのプニプニして面白い感触!』
『さっきの綺麗な人と遊びたいなー。あんなに魂が綺麗な人200年ぶりだよ。イデアの奴、今回はどんな求婚するのかな? 前は確か、ゴールドドラゴンが大切にしていた黄金のドレスをあげて告白したんだよね? キャサリン、懐かしいなぁ。会いたいなぁ。なんで、人間ってすぐに死ぬんだろう? もっと、長く生きてくれればいいのになぁ』
クティスが戻るとイデアと凪はまだ戦っていた。
『まだ、イデアと遊んでいるのか、次は僕と遊んでほしいな!それに、丸いの取ってきたから褒めてくれるよね!』
クティスは嬉しそうに尻尾を振ってイデアと凪の戦いが終わるのを待つことにしたのであった。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。