魚くんの後悔
俺はネルガル、魚人の父と魔人の母の間で産まれた魚人と魔神のハーフだ。一緒に来た、赤髪のライネルとは腐れ縁で魔王軍に入った時からいつも一緒、正直、脳筋バカのおもりをしないといけないと考えると胃が痛くなる。
俺は水魔法、水槍を使って戦う槍兵だ。
俺とライネルどっちが強いかというと、総合的には俺の方が強いが、持久戦に持ち込まれたら、もしかしたら俺はライネルに負けるかもしれない。まぁ、その前にぶちのめすから負けることはないけどな。
でも、なんなんだよ、こいつは!?
俺の自慢の魔法を食べやがった。しかも、もっと作って欲しいだぁ? ふざけるなよ! 体を槍で突いても硬すぎて跳ね返されちまう。 そもそも、魔王様より魔力量が多い女がいるってどういうことなんだ?
リリアーナ様には「ねぇ、ネルガル、ライネル、お願いがあるのだけどいいかしら? あのね、即戦力が欲しいって魔王様に言われたの。だから、私が前にいたダンジョンの虫達を連れて来て欲しいの。大丈夫、貴方たちよりは弱いから簡単な仕事よ。お願いね」と言われて二つ返事で承諾して、ライネルと部下を連れて来たが、全く話と違うじゃねぇかよ!
魔王様より魔力量が多い女、影を操る巨大ムカデに、俺よりも水を操ることに長けたムカデ、はぁ? 何が簡単な仕事だよ!
俺は、リリアーナ様のことをは好きだ。女性としての魅力があり、美しさ、カリスマ性全てがずば抜けている。リリアーナ様に声をかけてもらえるだけでも嬉しいのに、お願いされたんだぞ! しかも、めっちゃくちゃ可愛かった!!! リリアーナ様を悲しませない為にも俺はこの仕事を完遂しないと。
俺は何度も槍でムカデの体を突いた。でも、硬すぎて跳ね返されちまう。これは、どうしたらこいつに攻撃が通るんだ!?
柔らかそうな部分を突こうとしたら、水の防壁で防御される。俺のことが見えてないはずなのに、どうして防御できるっていうんだよ。くそぉ、くそぉ、どうすれば、どうすれば、こいつを倒せるんだ。
俺が攻撃している間、ムカデは固まったみたいに動かなくなっていたが、急にピクリと体を動かした。
「ふぁ〜、魚くんおはよう〜。あれれ〜、魚くん疲れちゃったの〜? 俺〜、暇すぎて寝ちゃってたよ〜。ん〜? 魚くん〜泣いてるの〜? 俺にダメージを与えられなくて泣いちゃったんだね〜。よしよし〜、弱いから仕方ないって〜」
「泣いてなんかねぇよ!!! 」
「またまた〜、本当は〜、魚くんの事〜、速攻で倒そうと思ったけど〜、ご飯くれたから〜、倒すの迷っているんだよね〜。う〜ん、どうしようかな〜、降伏するなら〜、痛い思いしないで済むよ〜。どうする〜?」
「てめぇなんかに降伏するかよ!!! 俺を舐めやがって、俺はな! 魔王軍、第3先鋭部隊隊長、槍水魚のネルガルだ!!! こんな所で使いたくなかったが仕方ない、こいつを使うしかないか」
俺はリリアーナ様から貰った、限界超越を可能とする薬、究極霊薬を呑んだ。
「ぐはぁ、ぐっ、はぁ、はぁ、あぁああああぁぁぁぁぁあ」
俺の全身の血が沸騰した様な感覚に陥り、薬の魔力量に俺は押し潰されそうになっていた。
「うわぁ〜、魚くん変な薬飲んだの〜? 大丈夫〜? 変な物飲んだら〜、ペッしなきゃ〜、ほら〜、ペッしな〜」
ムカデは俺を何故か心配していた。てか、いちいち子供に話しかける様に言ってくるのがうぜぇ。
俺は地面に倒れたが、少しすると力が全身に漲ってきた。
「これが、この力があれば俺は誰にも負けないぜ!!!!」
「魚くん〜、そんなんで強くなっても〜、俺には勝てないよ〜」
「うるせぇ!!! 千水槍!」
俺は千本以上の水槍を辺りに展開し、ムカデに向けて一斉に全ての水槍を放った。
「ふぅん〜、俺が〜こんなに優しくしてあげているのに〜、そういうことするんだぁ〜、俺〜、悲しいな〜、魚くんとは仲良くなれそうだったのに〜、まぁ、このまま消えちゃうのは勿体無いから全部捕獲しようかな〜」
ムカデは千以上ある水槍を水の球体の中に入れ始めた。
全ての水槍を打ち切ったら、ムカデの周りには俺の水槍を捕らえた水球が辺りに散らばっていた。
俺の攻撃を全て受け切っただと。威力も上がっているのにどういうことなんだよ!!!
「ふぅ〜、いい感じに集まった〜! これで〜、沢山食べれる〜。魚くんありがとうね〜、お礼に俺の元の姿見せてあげるよ〜。あっ、他のみんなには内緒ね〜、元の姿みんなに知られたくないんだよ〜。理由は〜、そうだな〜、母さんに嫌な思い出を思い出して欲しくないからかな〜」
「何言ってやが‥‥。はぁ? なんなんだよその姿!!!」
紫色のムカデの体が紫色の水を纏い始めた。
紫の水は全身を覆い、そのムカデの姿は禍々しかった。
俺は何に喧嘩を売っちまったんだ!?
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。