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もしかしてクエストクリア条件って


「それでは皆んなの名前を発表したいと思います」

私の庭には6匹の虫達がいた。


「まず最初に、長蜘蛛さん」


「ハイ!」


「貴方の名前は紅姫べにひめ


「ベニヒメ‥。ベニヒメ!アリガトウコザイマス、アルジサマ!」

紅姫は名前を喜んでくれたみたいだった。

よし!どんどん発表しちゃうぞ!


「長ゴキブリさん」


藍介は花茶の背に乗っていた。


「はい!主人様」


「貴方の名前は藍介あいすけ


藍介あいすけ、素晴らしい名前をつけていただきありがとうございます」


藍介はお辞儀をした。


「妹ゴキブリさん」


「はい!はい!はい!」

彼女は元気一杯だった。


「貴方の名前は花茶かちゃ


花茶かちゃかぁちゃ!お兄ちゃん!私!かちゃ!」


「可愛らしい名前でよかったですね」


藍介は花茶の頭を撫でてあげていた。


「長ムカデさん」


「ハ、ハ、ハイ!」


「貴方の名前は黄結姫きゆいひめ


「キユイ、ヒメ、キユイヒメ、アリガトウコザイマス、アリガトウコザイマス」

彼女は大きな顔を上下に振り喜んでいるようだった。


「息子ムカデ君」


「は〜い」


「貴方の名前は紫水しすい


紫水しすいとってもかっこいい〜なまえ、主人様〜ありがとう〜」


「かあさん、俺、紫水しすいだって〜かっこいい名前だねぇ〜、かあさんの名前も可愛いね〜」


「シスイ、ワタシノ、ムスコノ、ナマエ、カッコイイネ」


「最後に、長蚕さん」


「ハイ!」

蚕は羽をパタパタと動かしていた。


「貴方の名前は緑癒りょくゆ


「リョクユ、アルジサマ、アリガトウコザイマス」


これで、皆んなと仲良くなれたはずね。


『クエスト取得』


ダンジョン評価:Y取得条件

各層の長と仲良くなること


あれ?クリアしてないってこと?

進んでないってことは名前だけじゃ、ダメだってこと?


「ねぇねぇ主人様!」

花茶が私に話しかけてきた。


「どうしたの?花茶?」


「お願いがあるの、そのね、えーと」

花茶は体をもじもじし始めた。


「かちゃの頭撫でてほしいの!」


「え?」


「かちゃね、ずっとリリアーナ様に撫でて欲しいってお願いしてたの。でも、一度も撫でてもらえなくて、でも!主人様なら頭撫でてくれるって、かちゃ思ったの!」


目をキラキラと輝かせて私を見つめていた。


「その、花茶ごめんなさい、私はまだ貴方達に触れるのはハードルが高いというか、まだ出会って数日だから、その、ゆっくり仲良くなりたいなぁって」


「うえーん、主人様もかちゃのこと嫌い?かちゃ、汚い?かちゃ、主人様と仲良くなりたいだけなのに、どうして頭を撫でてくれないの」


花茶の声は泣いている少女の声だった。


 泣かせちゃった!本当にごめんなさい。

泣かすつもりなかったのに、だって、可愛い少女の声だけど、私よりも大きいゴキブリなのよ。

無理よ、今の私には貴方達に触ることなんて怖くて無理だわ。

でも、こういう時どうすればいいの、折角仲良くなろうって時なのにこれは考えてなかった。んっ?待てよ?

もしかして、仲良くなる条件って、虫達を触れるようになることだったりして。


「花茶、主人様を困らせてはいけませんよ」


藍介は泣いている花茶の頭を撫で慰めていた。


「だって、名前くれたからすごく嬉しくて、もしかしたら主人様、かちゃの頭撫でてくれるかもって」


ぐはぁっ心に来る。

そんなに撫でて欲しかったのね。

でも、私、触ってあげたくても、怖くて無理なのよ。

私は葛藤した。

恐怖を克服するためには慣れるしかないと考えた。


「花茶、貴方に慣れるために毎日私の家に遊びに来てくれないかしら」


「慣れるって?」


「私は元人間だからまだ人間の感覚が残ってしまっていて、貴方達を見ると怖くなっちゃうの。その、私、怖いのを無くすために努力したい!だから、お願いなんだけど、花茶にはこれから毎日私の家に遊びに来てほしいなって」


「それって、かちゃのこと嫌いじゃないってこと?」


「私がいつ花茶のこと嫌いなんて言ったかしら?私は貴方達と仲良くなりたいそれだけよ。まぁ慣れるまでに時間かかっちゃいそうだけど、それは許してくれないかしら」


「アルジサマ、ソレハ、カチャ、ダケデスカ?」

緑癒が話かけてきた


「いいえ、皆んな私の家にいつでも遊びに来てちょうだい。でも、私が寝ている時はやめて欲しいわね」


「アルジサマハ、オヤサシイ、カタナノデスネ」

紅姫が話した。


そして無事に名前発表会は終わり、私は家の中に入り座椅子にすわった。


 ふぅ、どうにかなったぁ、花茶が泣いた時どうすればいいかわからなくて大変だった、藍介ナイスフォロー、あれがなかったら今頃大泣き状態だったわね。

にしても、明日からはあの子たちに触れられるようになる訓練かぁ、嫌だなぁ、こわいなぁ、でも、仲良くなるためにはこれしかなさそうだし、この先仲良くなっとかないと大変そうよね。


よし!寝よう!

明日の私にこの問題を託す!

私は布団を敷いて眠ることにした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 人化薬作りたい
[一言] 名付けをされると、強くなるとかありますね。パワーアップしたら進化するのかな? 土蜘蛛とか龍神も恐れた近江国の大ムカデとか。蚕の場合はアレかな?東京タワーや国会議事堂で羽化するヤツ。G兄妹が思…
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