新食感!!!
結構遠くまで飛ばしちゃったな。追いかけるのめんどくさくなってきた。
俺は森の中へ飛んでいった魚くんを追いかけて森の中を走っていた。
「う〜ん、ここら辺だと思うけどいないな〜。魚くん〜、怖くなって隠れちゃったのかな〜。まぁ〜、魔人くんより弱そうだから仕方ないかぁ〜」
「誰がライネルより弱いだって!」
魚くんの声が木の上から聞こえた。 あっ、やっぱり隠れてたんだね。
「あれれ〜、魚くんどこにいるのかな〜? 魚くんは〜、俺の攻撃で〜、簡単に飛ばされて〜、俺と戦うのが〜、怖くて怖くて〜、隠れる事しかできないんだね〜」
「ふざけるなよ虫ケラが!!!」
魚くんは木から降りてきてくれた。
「水槍!!!」
魚くんの手に魔法陣を展開して水の槍を作り出し、槍を構えた。
そんな簡単な水操作、俺なら魔法使わなくても作れるのに魚くんは弱いんだねぇ。
「水魔法使えるんだねぇ〜。魔法なんて使わなくても作れるのに〜わざわざ魔力使って作るなんて〜、槍が必要ならさ〜、元々〜、槍持っとけばよかったじゃん〜」
「槍魚壱の型 、魚群突き!!!」
魚くんは水槍を使って攻撃してきた。
「魚くんの水はどんな味なのかな〜。どれどれ〜」
俺は魚くんの攻撃を俺のスキルで作った水の防壁で防御して、槍が俺の口に近付いた瞬間、俺は防壁を解除して魚くんの水槍を食べた。
「いっただきま〜す〜」
魚くんの水槍はとっても硬くて水を硬質化させて作ってあって、バリゴリバリゴリと水槍の噛みごたえのある新食感に、俺は感動した。味はあまり美味しくないけど、この食感! こんなの初めて! 今度主人様にお願いして作ってもらおうかな〜。
「嘘だろ、水槍を食べる奴がこの世にいるなんて」
魚くんは自慢の水槍を食べられて驚いているみたいだった。何本か水槍作ってくれないかな? もっと食べたいな〜。
「ねぇ〜、ねぇ〜、魚くん〜、もっと槍出してよ〜」
「てめぇに食べさせるために魔法を使ったんじゃない!!!」
魚くんは俺との距離をとった。
「魚くん〜、俺さ〜、主人様に半殺しにしてきてって〜、言われたから〜、魚くんを〜、半殺しにしないといけないんだけど〜、魚くんが〜、槍作ってくれるなら〜、気絶ぐらいにしてあげるよ〜」
「何言ってやがる、なんで俺がやられる前提なんだよ!」
「だって、魚くん弱いじゃん〜、あ〜あ。魔人くんの方が〜、良い戦い出来たかもしれないな〜、藍介がね〜、魚くんが〜、水魔法使える可能性があるって言ってたから〜、俺が魚くんの担当になったけど〜、弱すぎて話にならないよ〜。半殺しじゃなくて〜、間違えて殺しちゃいそうだもん〜」
「舐めやがって、後悔させてやる。水霧」
魚くんの体から白い霧が出てきた。
気付いたら辺りは白い霧に包まれて前が何も見えない状態になった。
「魚くんは〜、隠れるのが好きなんだねぇ」
すると、カチンっと俺の体に何か硬いもので突いた音がした。
「あれれ〜、何か当たったのかなぁ〜? う〜ん、痛くないし〜、気のせいか〜」
その後、何度も俺の体からカチン、カチン、と音が鳴り始めた。魚くんは頑張って俺に攻撃しているんだね。でも、俺の体が硬すぎて俺ノーダメージ。魚くんが諦めるまで寝てようかな?
紫水の咀嚼音ASMR
「みんな〜、今日は〜魚くんが水魔法で作った〜、水槍のエーエスエムアールやっていくよ〜」
紫水の目の前の机には、一本の水槍が皿の上に乗っていた。紫水の口元にDJ蜘蛛がマイクを当てて、真っ白なムカデはカメラを紫水に向けて撮影していた。
「いただきま〜す」
紫水は水槍を豪快にバリゴリ、バリゴリと食べ始めた。
「みんな〜、聞こえてるかな〜? このバリゴリって音聞こえる〜?」
DJ蜘蛛は応えた。
「紫水様、音拾えているので大丈夫です」
「 聞こえてるんだね〜、よかった〜。このマイク本当に使えるのかわからなかったから〜、心配しちゃったよ〜」
紫水は水槍を無心で食べ続けた。
「ふぅ、ご馳走様でした〜。水槍はねぇ〜、この食感が食べ応えがあっていいんだよね〜。味はまぁ、不味くはないよ〜、魔力をもっと込めることができたら〜、もう少し味に深みが出たかもしれないけど〜、でもね〜、この音最高でしょ〜。食べた感があって俺〜、これ好きなんだよね〜」
「あのー、紫水様はどうして急に咀嚼音を録音しようとしたのですか?」
マイクを持っていたDJ蜘蛛は紫水に質問をした。
「それはねぇ〜、なんだろうねぇ〜。俺にも分からないや〜」
「えっ! 分からずやっているのですか!?」
「ちょっと、僕、これから弟と遊ぶ約束だったのにどういうことなんですか!!!」
カメラを持つ真っ白なムカデは少し怒っていた。
「まぁ〜、美味しかったから〜、別にいいよね〜」
DJ蜘蛛と真っ白なムカデは同時に突っ込んだ。
「良くない!!!」
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