侵入者
黄結姫は自分の住処から一層目の入り口に向かって歩いていた。
私はこの頃、主人様が外に出られる様になったので、主人様の安全の為に、私は2日に1度魔蟲の森を探索しています。紅姫さんも来れたら、もっと楽しい探索になったと思うのに、紅姫さんは子育てが大変で、子供達の側にいないといけないみたい、賢く産まれた子が多いから仕方ないことですが、私が紫水を育てた時はあれほど忙しくなかったわ。
黄結姫が魔蟲の森に着くと森の異変に彼女は気が付いた。
「あら? 他の方達の声が全くしません。どうしてなのでしょうか?」
彼女は祀念結びによって、あらゆる生物の思念を感じ取ることができ、普段はしんと静まり返っている森の中であっても彼女にとっては人混みの中にある様な感覚なのである。なのに、森についた時に生物の思念が感じ取れなかった。
「あら? あらら? どう言うことなんでしょう?」
黄結姫はキョロキョロと辺りを見渡したが、彼女には原因が分からなかった。
「これは、藍介さんに話してみた方がいいわね。うん! なんか、怖いから戻りましょう」
黄結姫は自分の住処へ戻ることにした。
うーん、今日は森の探索しようと考えていたから何をしようかしら? さっきの事、藍介さんに話してみる? でも、藍介さんも子蜘蛛の教育で忙しいと言っていたし、紫水に話すとしても、紫水なら、ふ〜ん気のせいなんじゃない〜で、終わっちゃいそう。うーん、主人様に話してみる?
すると、1人のムカデが慌てて走ってきた。
『キユイヒメサマ!!! キユイヒメサマ!!! シンニュウシャ!!! シンニュウシャ!!!』
「えっ!? 侵入者!? 冒険者が久しぶりに挑んできたって事?」
『ボウケンシャ、チガウ、ボウケンシャ、コウゲキシタラ、ヒカル、シンニュウシャ、チガデル』
「何ですって!? 血が出る? そんな侵入者見た事ないわ」
『ナカマガ、シンニュツシャ、タタカッテイル、キユイヒメサマ、タスケテ』
「分かったわ、主人様にも伝えなきゃ!」
『ハヤク、ハヤク、ナカマ、ナンニンカ、シンダ、ハヤク、ハヤク』
「主人様!!!! 侵入者です!!! 私は侵入者を確認しに行きます!」
私は主人様に向けて思念を送った。
「これでいいわよね」
私はすぐに仲間が戦っている場所に向かった。
侵入者は10人以上いた。それぞれ、人間に近い姿をしていた。
その中で強そうな人が2人、1人は頭が赤く、肌の色は主人様の肌の色より濃い、瞳は赤かった。耳は、リリアーナ様みたいにとんがっていて長かった。もう1人は、頭が青く、肌の色は色白で生きているの? と疑問に思うほど白かった。あと、首の左右に3本の数が付いていた。あんな所に傷を作っちゃってるって頭青は私よりもドジなのかしら? 残りの侵入者は頭赤の後ろに居て、同じ服装で同じ武器を持って、頭も同じ銀色だった。
私が侵入者の特徴を捉えている間にも仲間達は侵入者達に攻撃を仕掛けていた。普段だったら、冒険者と戦った場合、死ぬのではなく気絶するのに、仲間達は跡形もなく殺されていた。
私は主人様と長達に向けて思念を飛ばした。
「主人様! 侵入者は冒険者ではなく、仲間を殺せる危険な人達です。緑癒さん! 仲間達の回復お願いします! 私はこれから、侵入者を追い出します」
この侵入者達はふだんの冒険者と違います。それなら、主人様に合わせるのは危険。それに、仲間達を殺しているなんて絶対に許せない!!!
私が、私が侵入者を倒さなきゃ!!!
『キユイヒメサマ、キテクレタ、キユイヒメサマ、シンニュウシャ、ワタシタチ、イッショ、タタカウ』
「私が侵入者を洞窟から追い出します。皆さん一度侵入者から離れてください!」
私は侵入者目掛けて突進をした。
頭赤が何か言っていた。
「なんだ、おい、雑魚だけかと思ったら強ぇ奴いるじゃねぇか! おい、ネルガル、お前は何もするなよ」
頭赤の後ろにいた頭銀の1人が叫んでいた。
「隊長! あんな化け物と戦えるわけないですよ!」
「うるせぇ、これだから、雑魚はよぉ」
頭青も何か言っていた。
「なぁ、ライネル、お前あれを受け止め切れるのか? 俺が手伝おうか」
「ネルガルてぇ出すんじゃねぇぞ」
侵入者は私の突進を両手で受け止め、ドォーンと衝撃音が辺りに響いた。
「これぐらいか、所詮虫けらってことだな」
「私は長なのですから!私! 負けるぅなぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
私は負けじと沢山ある脚に力を込め、頭赤を洞窟の入り口の方角に押し、頭青と頭銀達を巻き込み入口まで押した。
「おいおい、おいおい、何だこいつ!?」
「ちょっと、ライネル、力負けしてるじゃん」
「うわぁぁぁぁあ!!!! 退却! 退却!!! 入り口まで逃げろ!!!!」
私は侵入者達を入り口の外に出すことに成功した。
私頑張りました!!!
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