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蜘蛛糸トランポリン

 私は紫水の背に乗り紅姫がいる洞窟の天井に壁を這って向かっていた。


「ねぇ、なんで天井が真っ白くなっているの?」


「今回の産卵では沢山のママ蜘蛛さん達が集まっているみたいでして、真っ白な理由は蜘蛛の糸という事ですね」


「へぇ〜、天井全て蜘蛛の糸だね〜」


「お兄ちゃん、蜘蛛の糸だったら花茶達歩けないんじゃないかな?」


「いえ、それは大丈夫だと思いますよ」


 藍介達と話しているうちに天井に到着した。

蜘蛛の糸を踏んでみたら弾力があり、まるでトランポリンの上を歩いているみたいだった。


「歩けるわね」


「凄い! 跳ねるよ! わーい!」


 花茶は飛び跳ねて遊んでいた。


「ちょっと〜、花茶ちゃん〜、揺らさないでよ〜」


「ほぇ、ごめんなさい」


「私も花茶みたいに跳んだみたくなる気持ち分かるわ」

 

 すると、1人の蜘蛛が現れた。もしかして、DJ?


「侵入者は今直ぐにお帰りください。って! 主人様!? 紅姫様! 紅姫様! 主人様達がいらっしゃっています!」


 蜘蛛糸が大きく揺れ始め、私は立っているのがきつかったから紫水にしがみつくことにした。


「うわぁぁ。紫水ちょっと体貸して」


「体貸して!? 俺ここで主人様と〜♡」


 紫水の足にしがみ付き揺れが収まるのを待った。

その間、紫水はというと。


「主人様〜♡ どんな体位が好き〜♡ 主人様が好きなのでやりたいな〜」


 よく分からないことを言っていたから私はスルーした。


「主人様! お目覚めになられて良かったですわ。みなさーん主人様が来てくださりましたよー! 歓迎会でもしましょう!」


 DJの声は男性で低い声なのに何故か聴き取りやすい声をしていた。まぁ、思念伝達で声として変換されているから言っている事が理解できるのは当然だけど、貴方もなかなかいい声ね。この洞窟の虫達って、イケボが多いわね。

あっ、紅姫にもこの前のこと謝らないと。


「紅姫様、主人様が来てくれて嬉しいのは分かりますが、みなさん身篭っているのであまり無理はさせないでください」


「紅姫、この前のパーティー台無しにしちゃってごめんなさい」


「いえ、主人様が無事で何よりです。わたくしも主人様のお側で看病する事ができず申し訳ございません」


「紅姫が謝る事はないわよ。そうだ!紅姫達の産卵が終わったら、子供達のお祝いパーティーでもやりましょうよ。今度は私がパーティーの準備するわね」


「主人様が私達の為にパーティーを開催してくださるのですか!」


「そりゃあ、そうよ。新たな命が誕生するんだもん! 盛大にやらなきゃね!」


「ありがとうございます! 他の方達も喜びます」


「うん、紅姫が元気そうで良かったわ。それじゃあ、私達は帰るわね」


「えぇ! どうして帰ってしまうのですか」


「紅姫達は人間で言う妊婦さんでしょ、あまり体に負担かけない方がいいと思うのよ。だから、ゆっくり休んでいて」


「ですが、せっかく主人様が来てくれたのに直ぐに帰られるのは寂しいです」


「紅姫ありがとう。でも、私がいたらゆっくりできないでしょ」


「それは、そうですが」


「何か欲しいものがあったら、そうねぇ」


 私は紅姫の足元にいるDJを見つめた。


「DJにお願いがあるのだけどいいかしら?」


「はい! 主人様のご命令とあればなんでもいたします!」


「紅姫が欲しいものあったら私に伝えて欲しいんだけどいいかしら? 思念伝達範囲広がったけど、天井にいる紅姫の声全く聴こえなかったのよね」


「かしこまりました! 紅姫様、何か欲しいものがありましたら私に伝えてくださいね」


「分かりましたわ」


「それじゃあ、みんな帰るわよ!」


 私の後ろで花茶と藍介は飛び跳ねていた。

私だってトランポリンみたいで楽しそうだから飛び跳ねてはしゃぎたいわよ。でもね、妊婦さんが目の前にいるんだから、揺らしちゃダメでしょ。でも、くぅぅぅ、飛び跳ねて遊んでみたい。


「花茶もっと遊びたい!」


「飛び跳ねるといつもより高く飛べるの楽しいですね」


「はい、遊ぶのはここまで帰るわよ!」


「はーい」


「紅姫! それじゃあね! 何かあったら教えてね!あと、産卵頑張ってね!」


「はい、ありがとうございます」


 私達は家に帰ることにした。


 壁登る時はそんなに怖くなかったけど、降るのめっちゃ怖いよ。ひぇぇぇ、落ちない? 落ちないよね!?


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