女神シンカの苦労
私の名前はシンカ。生物の進化を促進させる力を持って生まれた神である。まぁ、生物をすぐに進化させる訳ではなくて、ゆっくりと進化させる事ができる。私は、元々下級の神だったのよ。それでも、私は星のためにと思い仕事していたわよ。そしたら、社長、天界の主神である。ゼス様に仕事が評価されて私は下積み時代を経て、進化管理部の部長にまでなった。
始めは仕事が消化されて給料もめっちゃアップ! やりがいのある仕事が増えて楽しかった。でも、楽しかったのは最初の1万年だけよ。そのあとはと言うと、名前が長すぎてステータスの名前欄に入らない魔石精霊の対応、社長の無茶振り、私が出世して気に食わない女神達、私は結婚したくないのに結婚しろと言う同期。それらが、重なると疲れてくるわよね。
別に一つ一つくるなら、そんなに心的負担にならないわよ。こう言うことあるわよねってなるぐらい。何だけどなぁ。
私は社長室を後にして自分のディスクに向かっていた。
「はぁ、疲れた。早く帰って寝たい」
「シンカさん! 今お時間いいですか」
すると、クエスト管理部のクエス部長が私に話しかけてきた。今お時間ってまた仕事が増えるってことなのかな、もう、私疲れたから嫌なんだけど、シャッキとするのよシンカ!
「えぇ、大丈夫ですよ」
「それは、よかった! その、シンカさんが例のダンジョンに異世界人を主人にした際に、ダンジョン評価を上げる為のクエストを考えて貰いましたが、次のクエストの報酬は何にしますか?」
それは、私に直接聞くことのことかしら? 書類で送ってくれればいい話じゃない? そんなに急を要する仕事かしら?
「この前、決めなかったかしら?」
「ある程度は決めましたが、社長がその報酬じゃダメだとやり直して欲しいと言われたのです。あと、社長がシンカさんには話を通しておくから勝手に考えないようにと言っていたので、シンカさんが書類を送ってくれるのを待っていたのですが、1月経っても来なかったので」
「ちょっと待って、私、社長からそんな話聞いてないわよ」
「あー、やっぱり社長何も言ってなかったのですね」
「やっぱりって思うなら早めに私に伝えてください」
「すみません、仕事が忙しくて昨日その事が分かり俺の方でクエストを作ろうとしたら社長に怒られてしまって」
「クエスさんのせいじゃないわ、あなたの部署がどんなに過酷な労働環境か私は知っていますから、そんなに落ち込まないでください」
彼が管理する部署は異世界人に神の祝福を与える試練を作り出す部署であり、この頃色々な星で異世界人が出現している所為で、彼の仕事がここ百年ほど急激に増え、彼の下で働いている天使達は死にそうな顔をしながら仕事をしている。そして、彼もまた仕事が忙しすぎて家にほとんど帰っていないと聞いたけど、今日は無精髭姿ではないわね。
あの時の彼は髪が伸び、髭も伸び、目の下は常に隈ができて、今目の前にいる神があの時の神とは思えないほど酷い姿だったわ。
「シンカさん、その、時間があれば俺の部署に来ていただき、話し合いをしたいのですが、よろしいですか?」
「すみません、これから対応しないといけない仕事があるので明日でよければ時間を作ります」
「あの、シンカさん、今日は何時ごろ仕事終わりますか?」
急に変なこと言い始めるわね? どうしたのかしら?
「今日は20時に上がる予定です。それが、どうかしましたか?」
彼はソワソワし始め、顔を真っ赤に染めながら言った。
「シンカさん! 仕事が終わったら俺と、俺と‥‥いっひょにご飯でもどうれすか!」
彼は裏返った声で何か言ったか、私は聞き取れなかった。
「すみません、今なんて言いましたか?」
「あの、えっと、仕事が終わったら一緒にご飯に」
彼は体をモジモジしながら小声でまた何か言っていた。
私、もしかして耳遠くなったのかしら、クエスさんが何を言っているのか聴き取れない。
「クエスさん聴き取れないので普通に話してもらってもよろしいですか」
「一緒にご飯」
「いっしょにごはんですか?」
「はい!」
「すみません、今日の夜は予定あるので明日でいいですか」
「明日! 明日ですね!よっしゃぁぁあああ!!!」
「あの、そんなに喜ぶ事なのですか?」
「嬉しいに決まってるじゃないですか! あっ」
彼は顔を赤らめ恥ずかしそうに顔を手で隠した。
「すみません、俺、気持ち悪いですよね」
「いえ、その驚きましたが、明日よろしくお願いします。それでは、仕事があるので失礼します」
「はい! 明日よろしくお願いします!」
私はその場からすぐに退散して自分の椅子に座った。
クエスさん顔赤かったけど、熱でもあるんじゃないかしら?
そういえば、クエスさんとは初めて一緒に食事するわね。仕事の愚痴でも言いたいのかしら?
「シンカ部長!!! 例の精霊から連絡が来ました!」
ピンク色の髪の天使、ピールクが連絡水晶を持ち、私の部屋に入ってきた。
「少しは休ませてよ。わかった、出るわ出るって」
今日こそはあいつを魔石精霊(仮)から正真正銘の魔石精霊にして私の評価を上げるわよ!!!
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