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あと少しでクリア!

 マイナーゲーム会社が社運をかけて発売されたゲーム『神々ダンジョン』異世界ファンタジー系ゲーム、とてもリアルな描写で、ゲーム性はアクションゲーム、高難易度のダンジョンを何度も死にながら攻略する。そう、このゲームは死にゲーなのである。


 ゲーム的にはキャラクターはしっかり作り込まれ、主人公のキャラクリもなかなか楽しめる。良くあるありきたりな死にゲーなのだが、マイナーゲーム会社から出たゲームなのに、人気なゲームなのである。

 

理由は、ある洞窟型ダンジョンの存在が大きかった。


 洞窟のダンジョン名は『魔蟲の洞窟』そこにはチート級アイテム『魔法の盃』があるのだが、そうダンジョン名から分かる通り虫‥。


昆虫や虫が沢山いるダンジョンましてやリアル描写‥。


 『魔蟲の洞窟』は発売された時は5層までの情報しか出てなかったが、本当は6層に形成されたダンジョンであり、1層目は大型、小型のムカデがゲーム画面いっぱいに現れ、2層目は可愛い無害の蚕がお出迎えしてくれる。

ダンジョンの中で2番目の安全地帯、3層目からは蜘蛛、4層目は蜘蛛、ムカデ、蛾の3種類の虫たちで構成され、5層目の『精霊の間』でチートアイテム『魔法の盃』をゲットできるのだが、プレイヤーは1層か3層目のムカデ、蜘蛛エリアで挫折してしまう人達が多かった。


 発売された当初は、それ程人気ではなかったのだが、ゲーム実況者が『魔蟲の洞窟』を実況配信したことによって『神々のダンジョン』はトラウマゲームとして地位を確立し、罰ゲームとして『魔蟲の洞窟』を扱うゲーム配信者が増えたのだが、半年たってもクリア者ゼロ。

そう、クソゲーなのである。


 1層目〜3層目は難易度で言うとそれ程高いわけでもないのだが、4層目は桁違いの高難易度であった。

巨大な蜘蛛の足が当たっただけで、レベル100の主人公のHPを半分にする程の高火力、ムカデは噛まれた瞬間猛毒状態になり毒消しを準備しないと直ぐに詰んでしまう。

蛾もムカデと同じで毒の鱗粉を撒き散らし持参していた毒消しが,あっという間になくなってしまいプレイヤーが毒対策で毒耐性をつけたとしても毒耐性を貫通するという鬼畜仕様。だが、そんな中でクリアした人が発売して8ヶ月後に現れた。


 彼は、海外の有名ゲーム実況者で顔出し配信をしてる方だったのだが、彼が言う言葉は常に「ファ〇ク」を連呼しながらの配信であった、4層目を無事クリアし5層目の『精霊の間』に到着した際、彼は嬉しさのあまり泣いていた。

彼は、配信を最後まで見てくれた視聴者に感謝を述べ、そして、美しい女性の姿をした精霊から『魔法の盃』を手に入れたが、急に画面が暗くなった。

彼はゲームが落ちたのだと焦ったが、画面がすぐに元に戻った、プレイキャラクターのHPとMPゲージは全開に回復していたが、スタミナゲージが0になっていた。


 配信者の彼はダンジョンから抜けるために『精霊の間』の奥にあるとても暗い道を進もうとしたが、彼はその道の異変に気がついた。


「おい、嘘だろ‥。こんなのって‥嘘だと言ってくれ、もう俺無理だよ。限界だよ」


 『精霊の間』は魔石が光り輝くてとても美しく幻想的な空間なのだが、帰り道は真っ暗、なぜなのかと彼は帰り道の近くてまで行った瞬間その真っ黒の存在に気がついた。


 その正体は道いっぱいの大量のゴキブリ、下を見ればゴキブリ、壁を見てもゴキブリ、上を見てもゴキブリ、そう、最後の6層目はゴキブリ地獄だったのであった。

 

 彼は心が折れゲーム画面を落とし


「ごめんよ。俺はもう無理だ、クリアしたトロフィーがあるから一応クリアしたことになったけど、本当皆んなごめん」


と言い残し配信を切った。

 

 その彼の配信を観ていた人達は「このゲームは神ゲーだ!」と主張する人たちもいれば、「いや、このゲームはクソゲーだね」という意見が分かれたきっかけとなった。


 配信者の彼は、配信1月後SNSでクリアしましたと『深淵の暗闇』というトロフィーの画像をあげ正真正銘のクリアを成し遂げたのだった。


 そして、発売して2年がたち


「だったいまー。って、誰もいないんだけどね。それにしても、やっと連休だぁぁぁ!この日のために1年間頑張って虫の動画観てたし、3日間あればクリア余裕っしょ!とその前に腹ごしらえと」


 小柄な女性は部屋の電気をつけ手にはコンビニで買った弁当と3本のビール、酒のつまみのビーフジャーキー、彼女はスーツを脱ぎ捨て上下黒の下着姿でお弁当を電子レンジに入れ座椅子に座り机にはビールとビーフジャーキー。


 プシュッとビールを開けグビッグビッと豪快に飲みビーフジャーキー食べ


「あーもう最高!これがないとやっていけないわ」


と独り言が多い女性だった。


 清元凪きよもと なぎ30歳女性、会社員、独身、趣味ゲーム、ゲームジャンルは色々!

アプリゲー、音ゲー、乙女ゲー、アクションゲーム、RPGなどゲームならなんでもやってるわ!

そして、私の苦手なものは虫!なんだけど、1年間、虫の動画を観続けたことによって、虫を画面越しなら見ることができるようになったのよ!

それで、連休を使って『魔蟲の洞窟』をクリアしようとしているのだけど、理由は、やっぱりゲーマーというのならトロフィーコンプリートをしてこそゲーマー!

という考えて1年間動画配信サイトで攻略動画プラス虫耐性をつけるために虫の動画を見続けた。


「ほんと、私偉いわ本当に偉いわ自分に拍手しちゃう」


 ゲーミングチェアに座りパチパチと拍手をし始めた。


 この一年ね、ほんとっおーに、きつかった。

ムカデ、蜘蛛、ゴキブリの動画を片っ端に観て


「画面越しなら大丈夫。画面越しだがら」


と自分に言い聞かせ、トロフィーコンプのために費やした日々、いやぁー、ほんと辛かったわ。

あっ、でも、目の前に虫がいたら泣く自信ある。

 

 「よぉし!これからが本番よ!なぎ!トロフィー獲得のために一気にクリアしちゃうんだから!ファイト!なぎー!」


と自分で鼓舞をしコントローラを手に持ちゲームを始めるのだった。


「もう無理、ゔぅぅキモいキモすぎるゔぅぅ」


1層目のムカデエリアで、音を上げていた。

 

 頑張るのよ私、キモイけどキモイけどこれはゲーム、めっちゃリアルなムカデ達だけど、私ならいけるわと自分を鼓舞し続けて、根性で1層目をクリア、連休1日目を1層目に費やしたのだった。


 連休2日目、2層目の蚕エリアに到達した。洞窟の中なのに苔じゃなくて草が生え、道の周りに蚕の幼虫がうじゃうじゃといた。それと、モフモフの蚕が飛んでいた。


「まぁ、ムカデよりましよ。だけど、蚕って飛べない蛾っていうけど、飛んでるわね。それなら、普通の蛾なんじゃ?まぁいっか、ヒーリング蚕さん現れないかしら?」


 このダンジョンの攻略動画は沢山観てきた、中でも安定にクリアするために必須条件がある。それは、2層目にいる敵味方関係なく回復しちゃう蚕そう、あだ名をヒーリング蚕さんが現れないと4層目の毒地獄がキツすぎるのである。


「ヒーリング蚕さん出てきてーお願いよ」


私は2層目をずっとグルグルしながらヒーリング蚕さんを待っていた。


 そして、30分後ヒーリング蚕さんが現れたのであった。

ヒーリング蚕さんは他の蚕達よりも大きく主人公の2倍ほどの大きさの蚕なのだが、見た目も可愛い、お尻のプニプニ感がさらに可愛いくこのダンジョンの癒し的存在だった。


「やっーとでた!長いわ30分は長いわよ。でも、ヒーリング蚕さんこれからよろしくお願いします」


彼女はゲーム画面の蚕に頭を下げた


 その後、ヒーリング蚕さんのおかげで順調に進み3層目の蜘蛛は余裕でクリア、難関の4層目はいかにヒーリング蚕さんが殺されないかとヒーリング蚕さんの回復行動をよく見てヒーリング蚕さんに回復してもらいながら攻略をしていかないといけない、そう、ヒーリング蚕さんを必死に守れ!

という攻略方法である。5時間の死闘の末、4層目をクリア!


 残すところは5層目と帰りの6層目だった。

私は、ヒーリング蚕さんを守ることに疲れ切り残りは明日やろうとゲーム画面をそのままにし青色のパジャマに着替えベッドに寝転がった。


 ベッドには抱き枕がありその抱き枕には乙女ゲーキャラのシュトルフというメガネをつけた黒髪イケメンが裸の姿で描かれた抱き枕であった。


 「シュトくんいつ見てもかっこいい」

凪は推しキャラであるシュトルフの抱き枕を抱きしめ眠りにつくのであった。

 

 PC画面が急に光り始めた。その光は、部屋中に広がりそして、眠る凪を包み込み光が消えた時、凪だけが部屋から消えていた。

ゆっくり投稿していこうとおもいます。

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[一言] こんなゲームやりたくねー
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