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彩菜の想い

作者: tatubonn

綾菜の想い


二〇三八年六月十五日 白斗県根奈市午前八時

悠。おはよう

おはよう。綾。昨日はよく眠れましたか?

おかげさまでよく眠れました。

それはよろしいことで。

悠。機嫌が悪そうだけど。私が横にいないから寂しいのですか?それとも。今日結婚式だから緊張して眠れませんでした。

う〜ん。両方かな。

あらあら。どうしましょう。

どうしようもないなあ。

そうですね。それより今から迎えに行きますね。

お迎えはいいよ。新婦さんにお迎え来てもらったら。一生。頭が上がらなくなりそうなので

わかりました。式は十二時からだけど。最低でも十時三十分には。グランドパレスにきておいてください。

わかりました。遅刻しないようにします。

私はもう少ししたら出ますので。

はい。

悠は着替えて。実家に車を取りに行くため。最寄り駅の和原台駅まで向かった。

歩きながら。綾菜と結婚?不思議だなとふと思った。


==

二〇三三年六月十五日午前十時三十分グランドパレス雷鳥の間

雷鳥の間のロビーで。数人の人が話をしていた。

堀山さん。和夫君はなぜ式に来ない?

すいません。私どもも理由がわからず困っています。

新郎が結婚式に来ないなんて前代未聞だぞ。

すいません。申し訳ありません。

新婦らしい子が家族に囲まれながら。ロビーの椅子に座り泣いている。

綾ちゃん?

悠は。こわごわ新婦の近くに行った。

綾ちゃん。

女の子はびっくりした顔をして悠の顔を見た。

悠君。

もしかして。和夫来てないの?

うん。綾菜は泣きながら答えた。

綾ちゃんつらいのにごめんね。僕にはないもできないけど。一言だけ。綾ちゃんには和夫よりもっと素晴らしい人が付くから気持ちをしっかり持って前向きに頑張って

うん。

悠は周りの人に挨拶し帰宅した。


==

二〇三八年六月十五日午前八時三十分

悠は国鉄中央扇線和原台駅に着き。駅の電光掲示板を見て顔色が曇った。

十分の遅延。早めに出てきてよかった。

悠は独り言を言ってホームに上がり。電車が来るまで椅子に座った。


==

二〇三四年七月一日午後六時パブリックディスカバリー

悠君。久しぶり。真理愛ちゃん。雪乃ちゃん。紗里奈ちゃん久しぶり元気だった。

元気ですよ。悠君。新しい彼女見つかった?

全然。恋愛のレの字もないです。

私。悠君の彼女にチャレンジしてみようかな?

紗里奈ちゃん。チャレンジってどうゆう意味ですか?

それは・・・・深く考えないで。

悠。久しぶり元気か?

紘一。アメリカからいつ帰ってきたのだ?

先月。アメリカの本社から東京支店に転勤になったのだ。

へ〜。それで役職は?

一応。東京支店第二営業部部長。

一年で部長。すごい出世だな。

今の会社ではそうでもないさ。

言い切るところがすごいな。

ほんと。ほんと。紘一君は大学の時から自信家だから。

あれ。あの子もしかして綾菜?

そういえば綾菜みたいだけどあの子。あんなに暗い感じの子だったかしら?

もしかしたら。去年の事がひびいているかも。

確かに。私なら家で引きこもっているかも。

綾菜。こっちに向かっているけど。

私たちの話聞こえたのかな?

五人の前に綾菜が立って。悠君。去年はありがとうございます。おかげで立ち直ることができ。同窓会に出席できるまで自信がつきました。本当に感謝しています。

私はこれで失礼しますので。悠君も皆さんもお元気で。

綾菜は。五人に挨拶すると出口に向かった。

悠。このまま帰すのか?

紘一。綾ちゃんが帰るのを僕が止める理由はないと思うけど。

悠君。相変わらず固いね。

真理愛。それを言いたいのはわかるけど。悠君には。悠君の考えがあるから。

まあね。そう言われればそうだけど。

綾菜。かわいそう。

今。私たちには傷がいえるまでそっとしておくこと。

みんな。なんの話しているの?綾菜ちゃん。去年何かあったの?

あっ。そうだった。紘一君。去年日本にいなかったから。綾菜と和夫の話知らないのだね。

綾菜ちゃんと和夫何かあったの。教えて。

四人は教えるべきか。顔を見合わせた。

店のドアが開き。綾菜が外に出て行った。

やっぱり。僕。気になるので声かけてくる。

悠君。頑張って。

雪乃ちゃん。ありがとう。みんな行ってくる。

行ってらっしゃい。

悠は。綾菜の後を追いかけた。

雪乃。真理愛。問題です。あの二人帰って来るでしょうか?

紗里奈。問題難しすぎ。私には予測不能でしかない。

雪乃は?

私は。二択で二人とも帰ってこないか。悠君だけ戻ってくるかだと思います。

という事は。綾菜は戻ってこないという事。

そういう事になります。



==

綾ちゃん。待って。

!悠君。

綾菜は。悠が自分に追いつくまで立ち止まった。

悠君。何か御用ですか?

綾ちゃん。同窓会に戻らない?

ううん。戻らない。

そう。だったら僕とごはん食べに行かない。おいしい店連れて行くし。むろん僕のおごりで。

綾菜は少し考え。

悠君。ごはん連れて行ってもらえます。

悠は。笑顔でお連れしますと答えた。

悠と綾菜は大通りまで歩いて。悠はタクシーをひろった。

どちらまで。

広奈町のお手軽割烹 善吉までお願いします。

広奈町のお手軽割烹 善吉で。よろしいですか?

はい。お願いします。

二人を乗せたタクシーは。善吉に向かった。その間。綾菜はずっと窓の外を見ていた。

十分程、走り店の前に到着した。悠は。タクシー代を払い。善吉の玄関の引き戸を引いた。

奥から。へぃ。いらっしゃいと図太い声がした。

大将。お久しぶりです。

悠君か。久しぶり。今日は女の子連れ?

はい。

ここに座れ。

はい。

二人は大将の前のカウンター席に座った。

悠君。今日何する?

僕は生ビールと本日のおすすめ。綾ちゃんは何にします。

私も生ビールと本日のおすすめでそれとチーズつくねお願いします。

はいよ。生二。おすすめ二。チーズつくね。

奥から。は〜いの返事が返ってきた。

お待たせ。生ビールとおすすめ。

おかみさんありがとうございます。

そういえば悠君。同窓会。今日じゃなかった。

はい。一応行ってきました。

お嬢さんは同級生?

はい。同級生です。

悠君。食べてもいいですか?

あっ。ごめんなさい。頂きましょうか?

は〜い。頂きます。大将とてもおいしいです。

ありがとう。お嬢さんお名前は?

黒川綾菜と言います。

綾菜ちゃん。かわいい名前だね。

ありがとうございます。

(はて?どこかで聞いたような名前だな?大将は心の中で思った。)

綾菜ちゃん。チーズつくね。

ありがとうございます。

綾菜は地図つくねを食べて。驚いた

大将。このチーズつくねすごくおいしいです。いままで。食べた中で一番おいしいです。

嬉しいね〜。何かサービスしないといけないな。

あんた。女の子に甘すぎ。

は〜い。

優菜は。対象とおかみさんのやり取りを聞いてクスクスと笑った。

綾ちゃん。この店楽しいだろう?

はい。すごくアットホームでいいです。悠君。この店に連れてきてありがとう。

そういってもらえると連れてきたかいがあるよ。

午後十時になった頃。綾菜が時計を見た。

私そろそろ帰らないと。

そうだね。近くの大綱駅まで送るよ。

うん。お願いします。

悠は。お会計をしようと。席を立った瞬間。バランスを崩して。優菜に抱きついてしまった。

あっ。

悠君。大丈夫?飲みすぎましたか?

綾ちゃん。ごめん。

私はいいけど。ほんと大丈夫?

うん。大丈夫だと思う。

悠はとりあえず。お会計を済ませた。

綾菜ちゃん。これ。渡しておく。

おかみさん。この地図は?

この店から。悠君の住んでいるマンションと大妻駅までの地図。悠淳。心配だからマンションまで送ってあげてもらえるかな?

はい。わかりました

綾菜は。悠を送ってから。帰ることにした。

悠と綾菜は。善吉を出た。

悠君。食事代。いくらだった?

どうして。あっ。綾ちゃん。僕が誘ったから。食事代。気にしなくていいですよ。

えっ。悠君。ほんとにいいの。

いいですよ。

ありがとう。ごちそうさまです。

いいえ。どういたしまして。

二人は五分ほど歩き。大通りに出ると。右に曲がり。そこから二分ほど歩いたら。悠の住んでいるダイナーズマンションに着いた。

綾ちゃん。ありがとう。ここでいいので。

悠君。部屋身に行ってもいい?

いいけど。帰るの。遅くならない。

見たらすぐ帰るから。

綾ちゃんが。部屋を見たいのなら別にいいけど。

うん。

悠と綾菜はマンションに入っていった。悠はポケットからカードキーを取り出し。入り口のドアの横にあるキーボックスに差し込んだ。キーボックスの赤のランプが緑に代わりドアが開いた。二人はドアを抜け。エントランスに入った。悠はそのまま歩きエレベーターの前で止まり。エレベーターを呼んだ。綾菜はマンションのエントランスが豪華なので。キョロキョロと周りを見渡していた。エレベーターが到着すると、二人は中に入り。悠は七階のボタンを押した。エレベーターが動き出し。一分程で七階に到着した。悠が先に。綾菜が悠の後ろについいて行く形で。エレベーターを降り。七〇六号室の前まで行き。悠がカードキーをキーボックスに差し込んだ。赤ランプが緑のランプに変わりドアが開場された。

悠君。ここのマンション設備もセキュリティもすごいね。

そうだね。設備もセキュリティも最新らしい。

ふ〜ん。そうなのだ。

二人は。部屋に入り。悠は寝室に直接向かい。ベッドに横になった。綾菜は部屋の中を散策した。

(すごく広い。一LDKだけど。私の家の一階のLDKより広く感じる)

窓はブラインドがしてあったので。ブラインドの隙間から外を見てみた。

(わ〜。すごく夜景がきれい。悠君。いいところで一人暮らししているのだな?)

(そろそろ帰らないと)

綾菜は。悠のいる部屋に入った。

悠君。帰るね。今日はありがとう。

うん。

綾菜が帰ることを伝え。部屋を出ようとした瞬間。悠がいきなり綾菜に抱きついた。

!悠君。

綾菜は部屋に戻され。ベッドに押し倒された。

悠君。悠君。

悠は綾菜の声に反応しない。悠は綾菜の体を触りだした。

綾ちゃん。

悠君。ダメダメ。

綾菜は。悠の背中をたたき。悠を正気に戻そうとしたが反応しなかった。

悠君。そこに手を入れたらだめ。あっ。ゆ〜くん。だ〜め〜。

綾菜は抵抗したが。悠の攻めに耐え切れなくなり。抵抗をするのをやめて悠に体を預けた。

行為が終わった後。悠はそのまま熟睡した。

綾菜はしばらく放心状態だったが。腕時計を見て。十一時三十分すぎだったので。慌てて帰る用意をしようとしたが。服がしわだらけになっているので。このまま帰ったら。お母さんに何か言われると思い。メールで大綱町の友達のマンションに泊まりますと連絡した。

わかりましたと返事が来たのでほっとした。

(は〜。悠君と一線超えてしまった。服のしわは伸ばしとかないといけないし。その間の服はどうしようかな?とりあえず。悠君起こして服用意してもらおうかな?でも起きそうにないし。起きたら。起きたで怒ってしまいそうだな。きれそうな服探そうかな?)

綾菜は。悠に悪いなと思いながらも自分がきれる服を探した。

(あっ。これにしようかな。)

綾菜はクローゼットから長袖のトレーナーを見つけて試着した。

(ちょうどいい感じ)

綾菜は。シャワーを浴び。悠のトレーナーを着た。今日はこのトレーナーを着て過ごすことにした。綾菜は。リビングの椅子に服を伸ばすように干してから。悠のベッドの毛布を持ってきて。ソファーで横になった。


==

綾菜は。七時に起き。二人分の朝食の用意をした。

悠は。リビングで音がするので。びっくりして飛び起きリビングに行った。するとキッチンで綾菜が朝食を作っていた。

悠くん。おはよう。冷蔵庫の食材勝手に使っているよ。それから昨日シャワー使ったのとトレーナーを借りたのとしわ伸ばし洗剤を勝手に使いました。

あっ。いいですよ。おはようございます。綾ちゃん………………。

悠は。昨日の事を思い出した。

悠君。朝食出来たから食べようか?

綾ちゃん。僕。

昨日の事。気にしているのね。

うん。

やってしまったことを後悔しても。もとには戻らないし。これからどうするかでいいのではないですか。それに私にも責任はあるし。

綾ちゃんには責任はないよ。

悠君。私。悠君が思っているようないい子ではないですよ。あと昨日は。ごめんなさいでしょう。

はい。綾ちゃん。昨日はごめんなさい。

はい。これで昨日の話は終わり。朝食食べましょう。

うん。

悠は。綾菜作ってくれたハムエッグを頂いた。

おいしい。綾ちゃん。朝食作ってくれてありがとう。

いいえ。昨日のお礼かな?昨日。久しぶりに楽しかった。

でもその後が。

さっき言ったでしょう。あの話は終わり。私はあまり深刻に考えていないから。だって相手は悠君だし。避妊もしてくれたし。私を道具として。でなく。女性として扱ってくれたし。何よりも。悠君の気持ちがわかったから。

そういってもらえると嬉しいです。もし何かあったら言ってください。僕にできる事でしたら。なんでも聞きますので。

悠君。ほんとに何でも聞いてくれるの。

僕にできる事でしたら。

良かった。お願いしようか迷っていたことがあって。

何でしょうか?

悠君のリビング。私の仕事部屋として使わせてくれないかなと思って。

綾ちゃんの仕事部屋ですか?

うん。リビングの隅のスペースでいいのだけれど。今はネットカフェを仕事部屋として使っているのだけれど。利用料とか時間の制約があるから。悠君の部屋。眺めもいいし。時間も気にせずに仕事に打ち込めるかなと思って。むろん使用料は払いますので。だめかな?

悠は。リビングの奥の本棚の引き出しから。カードキーと工具を取り出した。

カードキーの側面に工具を刺すとカチッという音がした。悠はカードキーをスライドさせ

綾菜に渡した。

綾ちゃん。カードキーのQRコードスマートフォンで読み込んでから、マンションの管理組合のアプリをインストールして指示に従って操作してください。

わかりました。

綾菜は。悠の言った通りにQRコードを読み込み。マンションのアプリを開き。指示通り操作した。最後に地鶏の写真を撮って送信して操作が完了した。

悠君。終わったよ。

悠は。綾菜からカードキーを預かり。工具でカードキーをロックし。綾菜に渡した。

悠君。このキーは?

この部屋のキー。僕がいる。いない関係なく。いつ来てもいいように。スペアキー預けておきます。その代わり。綾ちゃんの登録にしたので。綾ちゃん以外の人ではあかないようになっていますので。

!私専用のこの部屋のカードキーですか?

そうです。

悠君。私がこの部屋の鍵を預かっていいの?

いいですよ。綾ちゃん自由に出入りしてもいいですよ。

愛児な日だ

まあ。和夫をこの部屋に入れなければ問題ないです。

悠君。ありがとう。ありがたく部屋を使わしていただきます。

はい。ご自由に使ってください。

綾菜は悠に抱きつきお礼を言った。悠は。いきなり抱きつかれたので少し照れた。

悠君。本当にありがと。助かります。あっそうだ。悠君。このコーヒー豆どこで買っているの?

大綱駅。構内のコーヒーショップ。気に入った?

うん。とてもおいしいし飲みやすい。

今度。綾ちゃんの分も買っておくよ。

ありがとう。コーヒーの代金。今度の給料が入ったら払いますので。

代金の事は気にしなくていいですよ。

そういうわけにはいきません。悠君と綾菜は交際しているわけではないので。けじめだけはつけておきたいので。

わかりました。綾ちゃんの思う通りにしてください。

はい。そうさせて頂きます。

今日は。家まで送りますので。帰る用意ができたら。教えてください。それまで仕事をしますので。

悠は。リビングの窓際に置いてあるテーブルのパソコンを開き仕事を始めた。

悠君。私帰るね。今日はありがとう。

悠は仕事に集中していて綾菜が帰ったのに気づかなかった。

綾ちゃん。あれ。いない。キッチンのカウンターに仕事の邪魔になったらだめだと思ったので帰りました。昨日は楽しかったですありがとうと書いてあった。


==

二〇三八年六月十五日午前八時十五分綾菜の実家。

お母さん。起こしてくれてありがとう。

いいえ。今日は大事な日だからね。

うん。お母さん。

何?

いろいろ迷惑かけてごめんね。

そうだね。でもいろいろあって楽しかったし。綾菜が幸せになってくれたらそれだけで十分。

ありがとう〜。

綾菜は。目から涙があふれた。

綾菜。目を真っ赤にしていったら悠君心配するよ。

そうね。悠君には心配かけたくないから。

悠君と再会してから。綾菜すごく変わったね。

私そんなに変わった?

変わったよ。一番変わったのは。物事を一度引いて考えるようになった所かな?

そう言われてみたら。そうかな?

悠君の影響?

そうかもしれない。

悠君の影響か?


==

二〇三四年七月二日午前六時。悠の部屋

綾菜は。目を覚ました時。見慣れていない部屋の風景が飛び込んできたのでびっくりして起きた。

私。ここは?

しばらくして。昨日。悠の部屋に泊まったことを思い出した。

悠君と顔を合わせられるかな?ちょっときついな?帰ろうかな?

窓のブラインドの隙間から朝日が入ってきた。

綾菜は。ブラインドを上げた。

うわぁ。

ブラインドを開けると。地上七階から見る外の景色が目に飛び込んできた。

国鉄大綱駅。駅前ビル。商店街。遠くには。神木山。すごくいい眺め。すてき

綾菜は眺めが気に入り。先程までの不安が吹っ飛び。逆にこの部屋で仕事する事を想像した。いろいろ考えて。悠が起きてくる前に朝食をつくることにした。

作っている途中で悠が起きてきて。昨日の事を気にしているので。謝ってもらい。部屋を仕事場として使わしてもらう話をすると。部屋のカードキーを渡してくれた。悠が着替え終わったら送るのでと言い。仕事を始めた時。綾菜は着替え終わると。昨日は楽しかったです。部屋のカードキーありがとう。部屋の使用料月一万から二万の間でお願いできればと思います。私の都合ですがよろしくお願いします。手紙を書き終えると。そっと部屋を出て行った。綾菜はマンションを出ると駅に向かった。

悠君には気にしなくていいよと言ったけど。一線を越えたことはきついな?部屋を貸してくれると言ってくれたけど。やっぱり気にしているから貸してくれたのかな?

綾菜は。いろいろなことを考えながら。駅まで歩き。自宅のある本条駅まで電車に乗り。自宅まで帰った。

ただいま。

お帰り。

お姉ちゃん朝帰り。

お母さん。お姉ちゃんが外泊するの。知っていたの?

うん。知っていたよ。昨日連絡くれたよ。

えっ。そうなの。でもお姉ちゃん男の匂いがするよ。

えっ。そんなわけないでしょう。雪菜の勘違いじゃないの。

そんな事ないもん。だってほんとに男の人がするのだから。

綾菜は。部屋に戻り着替えをもって洗面所に行き着替えた。

綾菜。悠君。元気にしていた。

綾菜は。固まった。

(お母さんになんで知っているの?)

後ろからついてきた雪菜が叫んだ。

お母さん。お姉ちゃんフリーズしているよ。

雪菜。お姉ちゃんの事はほっといて試験勉強しなさい。

は〜い。了解しました。

綾菜は。母親にメールを送った。

(お母さん。何故。悠君のこと知っているの?)

(昨日。綾菜から送ってきたメール?)

(昨日のメール?)

(そう。私の知り合いで。大綱駅で一人暮らししているのは悠君だけだから?)

(そうなのですか。雪菜には内緒でお願いします)

(わかりました。雪菜には内緒にしておきます)

(ありがとうございます。)

綾菜は。母親と悠君の母親の仲がいいことを思い出した。

(住所を伝えたのは。ちょっとうかつだったな。)

綾菜は後悔しても。後の祭りだった。

(お母さんには。仕事は。これからインターネットカフェでなく。悠君のマンションですることを正直に伝えておこうかな。一線超えたことは伏せておくとして)

綾菜は母親にこれかの事をメールで送った。

(これから仕事は。悠君のマンションですることになりました)

(!綾菜。大丈夫なの?)

(私は大丈夫ですけど)

(あなたでなく。悠君。あなたが部屋で仕事をしても迷惑でないの?彼は来年一級建築士の資格を取るので勉強中のはず。綾菜が行って邪魔にならないの?)

(悠君が。部屋を使ってもいいと言ってくれたから)

(綾菜。無理押ししていないでしょうね?)

(それは〜)

(綾菜。悠君と話がしたいのだけど時間作ってもらえる)

(いいけど。お母さん。悠君とあってどうするの?)

(綾菜に何故。部屋を貸す気になったのか理由が知りたくて)

(その件は。私から聞いときます)

(駄目です。直接本人から聞きます)

(………………わかりました。時間を作ってもらえるように連絡してみます)

(はい。よろしく)

綾菜は。悠にメールを送った。

すぐに返事が返ってきて。メールのやり取りでよかったらという事で返事をもらい。母親に悠のメールアドレスを教えた。

母親は。悠とメールのやり取りをしたが内容について。綾菜は教えてもらえなかった。悠に母親が口止めをしたみたいで。悠にも教えてもらえなかった。


==

二〇三八年六月十五日午前八時四十五分綾菜の実家

お母さんそろそろ行きます。

そうね。おとうさんにも言っておいで。

は〜い。

お父さん。行ってきます。

綾菜は。遺影に話しかけた。

お母さん行ってきます。

は〜い。運転にはくれぐれも気を付けるように。

はい。いつも以上に気を付けて運転します。行ってきます。

行ってらっしゃい。


==

二〇三八年六月十五日午前八時四十分。国鉄中央扇線和原駅構内

電車なかなか来ないな。その時。構内放送がかかった。

本日。午前七時三十分頃。湯川〜本三条間の?架橋でトラック接触事故により電車が遅れましたことをお詫び申し上げます。ただいま。十五分〜二十分程遅れて運転をしております。列車到着までしばらくお待ちください。

悠は。構内放送を聞いて少し考えた。このまま家に車を取りに行くより。式場に直接行く方が早いと考え。上り線のホームから下り線のホームに行き電車を待った。五分程して電車が到着したので。悠は列車に乗り。結婚式場の最寄り駅でもある湯川駅まで向かった。


==

二〇三八年六月十五日午前九時十五分グランドパレス

遅くなった。まさか国鉄の高架橋に。トラックが接触して渋滞が起きているとは。十分で来るのが三十分もかかってしまった。急がないと。

綾菜は。車を駐車場に止めると。急いで入り口に向かった。

グランドパレスの玄関を入ると。同じ落としぐらいの女性が立っていた。

黒川綾菜様お待ちしておりました。

楓。遅くなってごめんなさい。

予想外の渋滞で。

黒川様。今日は友達とではなく担当者として接しますので。白川で読んでいただければ幸いです。

わかりました。白川さん今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。今から新婦専用の控室にご案内いたします。

はい。よろしくお願いします。


==

二〇三四年七月八日午後一時三十分国鉄中央扇線。桜が丘常陽駅ステーションビル

綾ちゃん。

悠君。

綾ちゃん。ショッピング?

うん。まあ。ちょっと買いたいのがあって。

そうなのですね。もしよかったらお昼。一緒に食べませんか?

………………どうしようかな?

無理にとは言いませんけど?

そうですね。わかりました。お昼ご飯ご一緒します。

何か希望はありますか?

お任せします。

わかりました。では。レストランボルディランに行きましょうか?

はい。

綾〜。

!誰かな。

綾〜。久しぶり。

楓ちゃん。元気していた。

綾ちゃんこそ。綾ちゃん。新しい彼氏?

!彼氏。悠君が?

!えっ。悠なの?

そうだよ。悠君。

全然わからなかった。

!二人って付き合っていたのでしょう?

悠も楓も返事に困ってしまった。

楓ちゃん。久しぶり全然気が付かなくてごめんね。

ううん。私こそ気が付かなくてごめんなさい。

白川さん。研修の時間?

堀川さん。今行きます。

綾。ごめんね。今日はこれから研修だから。今度ゆっくり話しようね。

うん。わかった。連絡する。

悠。今度会いましょうか?

楓ちゃんが良ければ。

気が向いたら連絡する。

はい。お待ちしております。

綾。今度ね。

バイバイ。

バイバイ。

悠君。質問です。高校時代。楓と交際されていましたか?

綾ちゃん。その質問答えないといけませんか?

出来れば。

ここでは。言いにくいのでレストランで昼食食べながらでいいですか。

わかりました。

悠は綾菜とレストランボルディランに向かった。

悠君。楓と何年合っていないか知りませんけど。きれいになっているでしょう

………………

悠は綾菜の質問に対して回答せず沈黙を通した。

レストランに着き。二人でサービスランチを注文した。

綾菜がサラダバーに行っている間に。楓に二人の事を話していいか。五年ぶりにメールを送った。すぐ返信きて。過去の事ですので構いませんとの返事が返ってきた。

悠は。綾菜に高校時代。楓と交際していないこと。学校にいる時だけ。恋人同士のように接していたことを伝えた。

綾菜はすごく驚いた。

悠君。楓。私よりきれいだし。スタイルもよくて黒髪のロングヘア―で悠君好みだったのではないの。

それはお互いが違う子の事を好きだったけど。その違う子同士がくっついていたので。

!えっ。それって。

高校の時は。そうでした。これは紛れもない事実。僕の言葉が信じられないのであれば。楓ちゃんに確認してください。

悠君。私。高校から茶髪のショートヘアーだったよ。

そうですね。でも僕は髪の色。へア―スタイルの事。話したことなかったはずだけど。

和君が。そう言っていた。

和夫が。そういう事でしたか。

あっ。そういう事か?私の気を悠君に向けさせない為。

そうだったみたいですね。

でもなんで。そんなことしたのかな?

綾ちゃんを独占したかったからではないですか?

私を独占?

多分そうだと思う。

ふ〜ん。ちょっとその辺。私にはわからない。

食事が終わってから。悠は綾菜の買い物に付き合った。

悠君ごめんね。買い物に付き合わせて。

気にしなくてもいいですよ。

綾菜は買い物を終え。悠に送ることを伝えた。

いいの。

うん。今日買った荷物。悠君の家に置くものだから。

!僕の家の置いておくもの?

そう。この間。悠君の部屋で仕事していたのだけど。これが欲しいなというのがあって。

わかりました。帰ったら。綾菜ちゃん用のスペース作るよ。

ありがとう。

綾菜の車で悠のマンションに向かった。綾菜は悠のマンションの近くのコインパーキングに車を止めようとした。

綾ちゃん。ごめん。コインパーキングに止めずに。マンションの駐車場に入ってください。

!マンションの駐車場ですか?

はい。

綾菜は。悠の言う通りにマンションの駐車場に入った。

駐車場の入り口に着くと。悠が綾菜にカードキーを。読み取り機にかざすように伝え。綾菜も言われた通りにすると。駐車場のバーが開き。案内表示が示され。その通りに車を動かし駐車した。車を止めると部屋に向かった

部屋に入ると。悠は綾菜の購入した荷物を置くスペースを作り荷物を置いた。

悠君。ありがとう。

いいえ。そうだこれ。渡しておくね。

!コーヒー。ありがとう。

下まで送るよ。

うん。

悠は。綾菜を駐車場の車のところまで見送った。

綾菜は。車に乗り込むと。悠にお礼を言って帰っていった。

悠は。スマートフォンを取り出し。楓に高校時代の自分達の関係を。綾菜に教えたことをメールで伝え。わかりましたとの返信をもらった。


==

二〇三八年六月一五日九時国鉄中央扇線普通電車内。

電車は本三条駅を出発してすぐ徐行運転を始めた。事故のあった高架橋を通り抜け。電車が加速し湯川駅に九時十分に到着した。悠は駅を出て。グランドパレスに向かった。


==

二〇三五年一月二十日午後十時。悠の部屋

悠は。マンションの前まで行くと。自分の部屋の明かりがついている事に気が付いた。

あれ?綾ちゃんまだいるのかな?

悠は。綾菜に部屋を貸すようになって。初めての事だったので少し驚いた。

部屋に戻ると。リビングでパソコンを前にして寝落ちしていた。

悠は。疲れていると思い。そのまま毛布を掛けた。

午後十一時を回り。そろそろ起こそうかなと思った時。綾菜のお母さんからメールが届いた。

(悠君。綾菜まだ部屋にいます?)

(はい。いますけど。仕事しながら寝落ちしたみたいで。今。熟睡しています。起こして家に帰します。)

(悠君。ご迷惑でなければ綾菜をそのまま寝かしておいてあげてほしいのですけど)

(綾ちゃんをお預かりしてもいいのでしょうか?)

(悠君なら。大丈夫だと思っていますので。お願いします)

(わかりました。綾ちゃんをお預かりします)

(お願します)

悠は。自分のベッドに。そのまま綾菜を寝かせ。自分はリビングのソファーで寝た。

日付が変わった午前二時過ぎに。綾菜は目を覚ました。

あれっ。私。ベッド。通勤着。悠君部屋。わからない。とにかくお母さんに連絡を入れないといけない。

綾菜はポケットに入っていたスマートフォンを取り出した。

五件のケールが入っている。

お母さん怒っているだろうな?

綾菜は。恐る恐るメールを見た。

(綾菜。今日何時に帰って来るの?)

(綾菜。大丈夫?)

(綾菜。悠君に連絡したら。寝ていますとのことだったので。今日は預かってもらうことにしたので。ゆっくり休んでください)

(綾ちゃん。寝ていたのでベッドに寝かせました。ベッドの横にパジャマを置いていますので使ってください)

(冷蔵庫にオムライス作ってあるのでおなかすいたら食べてください)

綾菜は。お母さんと悠のやさしさに感動して泣きそうになった。綾菜は冷蔵庫からオムライスを取り出し。電子レンジで温めて。リビングのソファーで。寝ている悠を。起こさないように頂いた。

おいしい。悠君ありがとう。

綾菜はオムライスを食べ終えると。悠の用意してくれた。パジャマに着替えて眠りについた。

朝。七時に悠が起きた頃には。綾菜は。帰宅しますのとの手紙と冷蔵庫にハムエッグが入っていた。それから。締め切り前で。追い込みの時は。悠の家で泊まることが多くなった。


==

二〇三八年六月十五日十時グランドパレス手前の道路

!うん。あの子連れの女の人何しているのかな?誰かの後をつけているみたいだな?

悠は。遠くに目線を送った。

!あれは和夫?何故。ここにいるのだ?グランドパレスに入っていく。もしかしたら。結婚式の妨害?でもそんなことしても意味がないのに。

悠は少し心配になったので。走ってグランドパレスに向かった。途中子連れの女性を抜けた時に。女性が何か言いたそうだったが。気にせず走った。

悠が。グランドパレスに着くと。入り口の従業員に黒川綾菜に会わせろと叫んでいた。

申し訳ありませんが。合わせることは出来ません。

なぜだ。俺が結婚式に招待されていないからか?それとも他に理由があるのかい。

はい。新郎。新婦様ご家族より。堀山和夫様が来るかもしれないので。来られても新婦には合わせないようにと伝えられております。

では。力ずくでも入ると入ろうとした瞬間。悠が間に入った。

和夫。綾とあってどうするのだい。

悠。お前との結婚でなく俺ともう一度やり直してもらうことを伝えに来た。

奥さんと子供はどうするつもりだ。

綾が僕ともう一度やり直すと言ってくれるのなら別れるつもりだ。

和夫。お前はどこまで自分勝手なのだ。

悠。お前に今の俺の気持ちわかるか?

わからない。わかろうとは思わない。相手の気持ちを無視している事なんて。


==

二〇三七年五月三日神木山麓

綾菜は。ファッション誌の写真撮りで神木山に来ていた。

花音さん。休憩にしましょうか?

は〜い。わかりました。

綾菜は。カメラマンの辰巳厳。モデルの音無花音。に冷たい飲み物を渡した。

その時。楽しそうに堀山和夫が奥さんと子供を連れて。綾菜の横を通り過ぎようとした。

綾菜は。怒りがこみ上げ。近くにあった三脚を和夫に振り上げた。

三脚が和夫の頭部に直撃した。

痛い。

和夫が叫び。振り向いた。

綾。

和夫。あなただけは許さない。

綾菜は。何度も三脚で和夫を殴ろうとしたが。スタッフや通行に止められ一度しか殴ることしかできなかった。だが和夫は頭に全治三週間の怪我を負い。綾菜は。障害で警察に逮捕された。綾菜は。警察で取り調べを受けたが。殴ったこと以外は何も話さず。母親が身元引受人となり。釈放された。母親は。警察に堀山和夫は元婚約者で結婚式当日に姿を消していたことを伝えた。綾菜は。この件で会社から二週間の謹慎処分を受けた。

ただ和夫か。被害届を出さなかったので綾は不起訴におなった。

一週間程して悠は。綾菜を連れ出し隣の府。加浜府に向かい。港町。吹浜市の海浜公園に行った。でも悠は。綾菜に声をかけられなかった。ただ港町を歩いているだけだった。

綾ちゃん。お昼にしようか?

うん。

悠と綾菜は近くのレストランに入り。ランチを注文して頂いた。

悠君。一つ聞いていい。

何かな?

今日。私を連れ出したの?

綾ちゃんの事が心配で

悠君はなぜ私の事が心配なの?彼氏でもないのに?

僕は綾ちゃんの事が好きだから?

悠君。私は。悠君の事。友達としか見ていないから?

友達が友達の事。心配したらダメなのですか?

友達でも触れていいこと。触れてはいけないことがあります。悠君は触れてはいけないことに触れています。

では僕はどうしてあげたらいいのですか?

私の事は。ほっといてください。

悠は。綾菜の一言に沈黙してしまった。

しばらくして悠は。家まで送ると言ったが。

一人で帰りますので。ほっといてください。と綾菜に断られた。

綾菜は。悠と別れ。一人で電車に乗って帰った。

悠は。綾菜の母親に。怒らしてしまいました。すいませんとメールを送った。

しばらくして。気にしなくていいです。今日はありがとうと返ってきた。

悠は。何もできなかったふがいなさにさいなまれながら家に帰った。


==

二〇三八年六月十五日グランドパレス入り口

和夫。何か勘違いしていないか?

勘違い?

和夫は。綾菜に僕と離婚して和夫と結婚しなおしてくれと言っているのか?

!悠。綾菜と入籍しているのか?

それがどうかしたか?今の綾は黒川綾菜でなく下村綾菜。

それより。後ろの女性。お前の奥さんではないのか?和夫は二人見捨てるつもりなのか?

!明日香?大樹?

女性が子供を抱え。和夫のそばに寄ってきた。

パパ。

和。

明日香。大樹ごめん。パパほんとだめだな?

和。帰ろう。

うん。帰ろう。

和夫は。奥さんと子供と一緒に帰っていった。

その頃。グランドパレス花嫁控室では綾菜が化粧をしてもらっていた。

黒川様。本日の衣装替えの確認ですが。白ドレス。色ドレス(イエロー)。色ドレス(ピンク)の順番でよろしかったでしょうか?

はい。それでお願いします。

コンコン。

花嫁の控室のドアをたたく音がした。

は〜い。綾菜が返事をした。

ドアが開き。鏡越しに移った悠の姿を見た。

!悠君。早かったね。道。混んでいなかった?

道が混んでいると判断したから。マンションから直接電車に乗ってきた。

それで早く着いたわけですね。

そうですね。綾。今日は頑張ろうね。

はい。頑張りましょう。

早いけど。僕も控室に行って準備に入ります。

はい。どんなイケメンになるか楽しみにしています。

う〜ん。イケメンになるかな?綾と違って下地が。いまいちだから。

大丈夫。化粧で全くの別人に変わるから。

そんなに変わるかな?

変わりますよ。

そうですか。綾またあとで。

はい。

面白い。旦那さんですね。

う〜ん。面白いけど本人真剣に言っています。

!そうなのですか。

はい。普段から結構。天然発言多いですよ。でもすごく頼りなります。


==

二〇三七年八月二十五日綾菜の職場

黒川さん。よかったらご飯でも行きませんか?

横内さん。私………………。

予定ないのでしょう。神木山での件もありますから。

はい。その節はご迷惑をかけました。すいません。

だから。食事に行きましょうか?

………………はい。わかりました。

綾菜は。神木山での事件で。お世話になった。横内の誘いを断り切れなかった。

横内は。綾菜を行きつけのレストランに連れて行き食事をした。

黒川さん。車。会社の駐車場ですね。

はい。

送りますよ。

ありがとうございます。

横内は。車を走らせた。

!横内さん。方向が違いますけど。

いいですこの方向で。

綾菜は。いやな予感がした。

横内は。ファッションホテル街に入り。ためらわず。一角にあるホテルに入っていった。

横川さん。どういうつもりですか?

黒川さん。君も子供ではないのですからわかるでしょう。

綾菜は。車から降り。ホテルの外に出た。

跡を追って。横内が追いかけてきた。

五十メーターほど走った所で捕まった。

捕まえた。ホテルに戻りましょうか?

いや〜。離して。

黒川さん。今は僕の言うことを聞いた方がいいと思いますが?

いやです。こんなことしてもいいと思っているのですか?

僕はいつも同意の上だと思っているので。

横内さん。あなたって言う人は?

最低ですか?それも結構。僕と関係を持った女性。最初はみんなそう言っていますので。

黒川さん。行きますよ。

いや〜。

綾菜は。横川をカバンで振り払った。横川がひるんだすきに走り出した。しばらくすると見覚えのある景色になった。

!悠君のマンション。

横川は諦めずに追いかけてくる。

綾菜は。悠のマンションに入り。エレベーターに乗り込み。横内が乗り込む前に扉を閉めた。

エレベーターが七階に到着すると。すぐ悠の部屋の鍵を開け入ろうとした。その時。一瞬横内と顔があった。

(横内さん。何故。ここの階がわかっているの。)

綾菜は悠の部屋に入った。

綾ちゃん。

悠の声がした。

チャイムの音が鳴った。

悠が対応した。

どちら様ですか?

君は誰だ。

すいませんが。部屋をお間違えですか?

表札に。下村と書いているはずですが。

横内は。表札を見た。

(!下村)

横内は開き直り。黒川という女性がそこにいるだろう。引き渡してもらえるかな。

言っている意味がよくわかりませんが。

黒川綾菜を渡せと言っているのだよ。

なぜ?

なぜ?僕の彼女だから?

嘘はついたらだめですね。

嘘ではない。

それならなぜ。僕の部屋に彼女は逃げてきたのか?

なぜ。セキュリティのしっかりしているこの部屋の鍵を持っているのですか?

説明できれば。彼女をお渡ししてもよろしいですが?

!悠君。

綾菜は。ふたりの会話を聞きながらリビングで震えていた。

それは………………。

タイムリミットのようですね。

すいませんが。一階の警備室までご足労願いますか?

横川は。警備員に連れていかれた。

下村さん。お話聞きたいのですが。よろしいですか。

はい。

悠は。警備員に。彼は綾菜の知り合いで。部屋まで追いかけてきたと伝えた。

警備員は話を聞くと。帰っていった。

綾ちゃん。大丈夫?

悠は。コーヒーを淹れ綾菜に渡した。

悠君。ありがとう。

綾菜は。一口。コーヒーを飲んだ。

ふっ。悠君ごめんね。いきなり押し掛けて面倒を起こして。

うん。綾ちゃんがいきなり部屋に入ってきたときはびっくりしたけど。僕は。全然。大丈夫。

綾ちゃん。落ち着いたら家まで送るよ。

悠君。今日ここに泊まってもいい。

僕は構わないけれど。

ありがとう。お母さんにメール入れとく。

綾菜は悠君のマンションに泊まることを伝えた。

お母さんからは。わかりましたとの返信が届いた。

綾菜はシャワーを浴び。悠のベッドに横になった。

!悠が。ベッドの中に入ってきた。

悠君。やめて。

悠は。綾菜を自分の方を向かせ。腕枕をして頭を撫でた。

悠君。

綾菜は悠が何もしないことがわかると。安心したのかすぐに眠りについた。

翌日。悠が起きると。綾菜は朝食を作っていた。

悠。おはよう。

!おはよう.

悠は。綾菜が自分の事を悠と呼んだことに違和感を覚えた。

綾ちゃん。今僕の事。悠って呼んだ?

呼んだけど。何か?

別に。

悠。今日から。一緒に住んでもいい?

!えっ。一緒に住む?

うん。一緒に住む。だめですか?

いいですけど。でもいつ。おおかみさんになるかわかりませんけどそれでもいいですか?

まあ。その時はその時です。

わかりました。一緒に住みましょうか。でもここからだったら綾ちゃんの会社までは遠いですけど。いいですか?

はい。今は構いません。その時が来れば。引っ越しも考えます。

わかりました。よろしくお願いします。

お願いします。

僕達は一緒に暮らすようになった。

==

二〇三八年六月十五日グランドパレス新郎新婦控室

悠。イケメンになっていますね。

そうですか。綾は一段と綺麗になって。

惚れなおしました?

うん。でもまだ。信じられない。

私と結婚する事?

うん。僕自身。綾は和夫と結婚すると思っていたので。

私もあの時までは和君と結婚すると思っていたので。

そうですね。でもあの日からもしかしたらを考えるようになった。


==

二〇三七年十一月二十三日悠の部屋

悠は。意を決し。綾菜に結婚を申し込んだ。

綾ちゃん。僕のお嫁さんになってもらえますか?

う〜ん。考えておきます。

悠は。綾菜に返事を保留にされ。少しへこんだ。

悠。保留にされて落ち込んでいるでしょう。

うん。でもまだ諦めていませんので。

はい。はい。

悠。来月のクリスマス開けておいてくださいね。

!えっ。クリスマス?悠は慌てて。スマートフォンを取り出し。予定を確認した。よかった。二十五日は開いている。綾ちゃん。予定を入れないようにする。

はい。お願いします。


==

二〇三七年十二月二十五日午後七時悠の部屋

悠。お帰り。

綾は仕事を早めに切り上げて。悠と二人でクリスマスを祝うので料理を用意していた。

綾ちゃん。すごい料理。全部自分で用意したの?

はい。用意しました。チキングリル。パエリア。野菜サラダ。イチゴのタルト。

悠は。とてもうれしかった。

綾ちゃん。クリスマスプレゼント。

ありがとう。開けていい。

いいよ。

うあ〜。コルチアのバッグ。悠。ありがとう。

喜んでもらえてうれしい。

あっ。私プレゼント買っていない。

いいよ。料理を用意してくれただけで十分です。

ありがとう。料理。冷めないうちに食べましょうか?

はい。食べましょう。

二人は。食事を楽しんで食べた。

悠と綾菜は片づけをした。

悠。話があるのだけれど。

はい。悠はコーヒーを作り。カップに入れ。一つ綾菜に渡した。

ありがとう。悠君。話だけど。私を悠君のお嫁さんにしてもらえますか?

!………………。

悠。フリーズしている。おかしいな。先月私にプロポーズしたの。どなたでした?

悠は。気持ちを持ち直し。リビングのサイディングボードから箱を取り出し。綾に渡した。

悠。これは?

開けてみて。

!コルチアの指輪。

綾ちゃん。婚約指輪。

………………。

!綾ちゃん。綾ちゃん。

………………。

綾ちゃん。フリーズしている。

あっごめん。びっくりしちゃって。

そんなに喜んでもらえるとは思わなかった。

悠。ありがとう。幸せ。それでね。結婚式の件なのだけど私の誕生日にグランドパレスで行いたいのだけど。いいですか?

!綾ちゃん。それでよかったら。僕は構わないけれど。周りを説得すれの大変だと思うけど。

悠が賛成してくれていれば。私は大宇丈夫です。

これから。半年準備で大変ですね。

うん。でも私は楽しみの方が大きいです。

それから。僕たちは。六月十五日の結婚式に向けて準備え御始めた。


==

二〇三八年六月十二時グランドパレス桐の間

結婚式が始まり。二人は緊張しながらも楽しみ。順調に式が進んだ。

途中。新郎と新婦から挨拶があった。

本日は。お忙しい中。私。下村悠と黒川綾菜の結婚式にご出席して頂きありがとうございます。結婚するにあたり。皆様からご心配の声を頂きましたが。こうして式を行えたことをうれしく思い。皆様のご協力のたまものだと思っています。ありがとうございました。

私からもお礼申し上げます。ありがとうございます。

今日の花嫁姿。天国の父も喜んでくれていると思います。

これからは。二人で力を合わせ。幸せな家庭を築いていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。最後にお母さんいろいろ心配ばかりかけてすいませんでした。

綾菜の母親は。父親の慰霊を持ちながら泣いていた。

結婚式が終わり。ロビーで記念撮影をしていた。

下村様。黒川様。今日はグランドパレスで結婚式を行っていただきありがとうございました。

楓ちゃん。いろいろありがとう。

私は何も。それより。まだ入社三年の私に結婚式の進行を任せて頂きありがとうございます。

今回の件で私自身。すごく自信になりました。感謝いたします。


==

二〇三八年一月十日グランドパレス結婚相談室

予約しておいた。下村と言います。

はい。お待ち申し上げておりました。

こちらに。お名前と住所をお願いします。

悠と綾菜はそれぞれ新郎。新婦の欄に自分の名前を記入した。

結婚式の希望日はございますか?

はい。六月十五日でお願いしたいのですが?

わかりました。開いているかお調べいたします。

綾。開いているといいね。

うん。

担当者の女性は式場の予約状況をタブレットで確認した

六月十五日でしたら。鳳凰の間が九時。十五時。桐の間が十二時開始の分が。今の時点では空いておりますが。どうされましょう。

十二時の桐の間でお願いします。

十二時。桐の間でよろしいですか?

はい。お願いしおます。

プランはどういたしましょう。

各家族三十名ずつのプランで進行係はここのスタッフの白川楓さんにお願いしたいのですが。こちらからスタッフを選べるのでしょうか?

すいません。上の者に聞いてまいります。

しばらくして。先程のスタッフさんと上司の人が出てきた。

お待たせしました。主任の野崎と申します。進行係に白川を指名したいとのことでしたが。本人に確認したところ。できればお断りしたいとの申し出がありましたが、どういたしましょう。

本人とお話がしたいのですが。可能でしょうか?

はい。当方としては構いませんが。

では。プランの話が終わってから。お時間いただけますか?

わかりました。

悠と綾菜は結婚式のプランの話の続きをした。

次にお色直しはどうされますか?

私の希望は白ドレス。色ドレス二色が希望なので。お色直しは二回ですかね。

三種類のドレスを着られるのであればお色直しは二回になります。

僕は。女性に合わせたタキシードで構いませんので。

わかりました。当方は。色ドレスには白のタキシード。色ドレスには白か黒のタキシードをおすすめしています。お客様によっては新婦様と同じ色のタキシードを着られる方もおられますが。新婦様のドレスによって色を合わせて頂ければと思います。

衣装合わせの予約をしていただきますが。ご希望の日時はありますか?

最短でいつから予約できますか?

少々。お待ちください。担当者の女性は。手元のノートパソコンで衣装合わせの予約状況を確認した。

下村様。黒川様。衣装合わせの最短が一月三十一日午前十時から十二時の二時間開いております。

二人ともスマートフォンを開いて予定の確認をした。

悠。行けそう。私は何とかなりそうですけど。

僕も何とかなりそうかな?

悠。三十一日の十時に決めていいですか?

うん。いいですよ。

綾菜はスタッフに日時を伝えた。

衣装合わせの場所ですが。こちらのQRコードをお渡ししますので。スマートフォンで

見込んでいただき。確認をお願いします。

悠は。QRコードを読み込んで。胃腸合わせの場所を確認した。

悠。場所わかりました。

うん。わかりました。

悠と綾菜は。その後も料理。引き出物。写真等を決めた。

自分たちのプランを作り終わり。グランドパレスにある喫茶店に入った。

悠。楓を説得できそう。

わからない。まず。何故断りたいのか理由を聞いてからかな?

うん。そこからですね。

すいません。お待たせしました。

楓。ごめんね。仕事中呼び出して。

いいえ。それはいいのですけど。結婚式の進行係の件ですが。

楓ちゃん。立ち話もなんですし。座ってください。

わかりました。

楓。私の結婚式の進行係。やりにくいですか?

ううん。そうでなく。怖くて。失敗してらどうしようかなと思ってしまって。それだったらほかの人にやって頂いたらと思っています。

悠と綾菜は目を合わせ。二人でうなずいた。

楓。私達は。あなたに進行係をやってもらいたの。ただそれだけ。

そうですか?すいませんが考える時間をいただけますか?

わかりました。まだ時間はありますので。ゆっくり考えてください。

綾。すぐ返事できなくてごめんね。

気にしていませんが。いい返事。お待ちしています。

わかりました。前向きに考えてみます。

お願いします。

はい。失礼します。

楓は職場に戻って行った。

悠。楓。引き受けてくれると思う。

受けてくれると思う。

その自信どこから来るのですか?

どこからですかね?

悠は。笑っていた。

悠と綾菜は三十一日に衣装合わせをし。綾菜は白ドレス。色ドレスのイエローとピンクで決まり。悠は白と黒のタキシードで決まった。

二月に入り。楓から結婚式の進行係をお受けしますとの連絡が入った。


==

二〇三八年六月十五日午後二時三十分。グランドパレス控室

悠。終わったね。

うん。お疲れ様。

着替えて。マンションに荷物を取って。旅行に行きますか?

はい。

悠と綾菜は。一度マンションに戻り。荷物を取って国際東羽空港に向かった。

空港に着き。クリジリア行の搭乗手続きをした。出発まで時間があるので。喫茶店に入り。二人でコーヒーを飲んでいた。

葵。グリジリア。異性に対して厳しくて。同じ部屋にいたらだめらしい。キスとかも公共の場でしたらだめらしい。情報不足でごめんね。

拓。仕方ないし。とりあえずできる範囲で行動しよう。

悠。グリジリアそんなに厳しいの?厳しいですよ。だから二か月前に入籍して。パスポートを取って。旅行の申請を行ったのですよ。

でも。よく知っていましたね。

新婚旅行は。グリジリアと決めていましたか。

そうなのですか?

はい。グリジリアは誰が奥さんでも決まっていたのですね。

そうなりますかね。

お客様に申し上げます。二十時発。グリジリア行き七百二便搭乗を始めます。

綾。行こうか?

はい。

悠と綾菜は新婚旅行に出かけた。


==

二〇五三年悠と綾菜の自宅

ママ。お父さんと好きで結婚したの?

穂香。いきなりどうしたの?

うん。パパとママの事。知りたくて。

またネットで変な質問回ってきたの?

………………。。

あたりのようね。穂香。パパは。何と言っていたの?

パパは。ママと高校時代の同級生で二十二歳の時再開して結婚したのと。ママの事は高校の時から好きだったと教えてくれたけど。ママはどう思っていたのって聞いたら。好きだとは思うけど。結婚してくれた理由は今でもわからないからママに聞いて。穂香にだったら教えてくれるかもしれない。と言っていた。

そうね。当たっているね。

ママ。パパと結婚した理由は?

パパに内緒にできる?

うん。約束できる。

実はね。パパの事。好きなのは好きだけど。それよりパパがママの事。大事にしてくれると思ったから結婚を決めたの。

確かにそれはわかる。私と猛には厳しいけど。ママには優しいもんね。

あらあら。穂香やきもちやいている。

やいていません。

ママはママ。私は私ですから。

穂香にもそのうち。穂香を大事にしてくれる人見つかるから?

早くほしいな?

穂香。まだ十四なのだから。まだ早いよ。

そうかな?

そうだよ。

ママ。お風呂掃除。終わったしいい天気だから。みんなで出かけようか?

は〜い。わかりました。で枯れる準備します。

穂香も出かける用意。

は〜い。

悠と綾菜は娘の穂香。息子の猛と一緒にお出かけした。

悠。これからもよろしく。

綾。これからも変わらず大事にするよ。


                完



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