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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
第三次長州征伐編
226/263

備後国にて(其の壱)

「それじゃ、先に行きますわね」


「うん、気を付けてね」


「ケンちゃん、ムジカね……ムジカ……」


「ムジカ、大丈夫だって。お姉ちゃんは必ず意識を取り戻す。アタシが毎日、心を通わせて直接話しかけてるもん」


「そうなのら。これから先、激闘が待っている状態でアンタ達までそんなんじゃ駄目なのら。二人はおいらに任せておくのら。リギルの意識が戻ったらすぐに後を追うのら」


「ええ、ハダル任せましたわよ」


(また仲間を置いていく設定か。リギルも自身の心臓を止めてまで役に入り切るなんてよくやるわね。でも、楽しいからヨシ!)


 リギルの意識がいつ戻るのか待っているほど時間はなかった。

 長州藩がいつ幕府に対して宣戦布告をするかもしれない状況の中、レグルス達は先に出立することにした。

 ケンタウルス、ハダルをリギルの下に置いて翌日、備後国福山藩に入る。


「福山城、ここに協力者がいるのか?」


「ええ、この城は中国地方の有力な外様大名を監視する目的で徳山家康が築城したのが端を発しますの。今の城主は歴代続いている10万石の領主、水野家……」


「ここまで言えばスピカでもわかるでしょう?」


「水野家……あっ、もしかして!」


「頼も―――なの!」


「ごっつぁんです! アンタレス居るでごわすかぁ?」


 アンタレス、星々の庭園でも最古参の第1期生であり成人後はすぐに結婚し家庭を持った。

 だが、腕はまったく鈍っておらず、むしろ全盛期以上に活躍していることをレグルスは耳にしていた。


「きゃはは、ママ―――誰か来たよ―――」


「だぁだぁ……あう」


「おう、来たか。ま、入れや」


 城壁内にぽつんと建っている一軒家に案内されるレグルス一行。

 天守閣は普段は使わず、ここで生活しているようだ。


「きゃはは、でかいでかぁい!」


「ごっつぁんです!」


「これがムジカのお宝なの!」


「あうぅ、だぁ」


 アルデバランとムジカが子どもの相手をしている間、レグルス達はアンタレスと話をする。


「さぁて、比奈乃様。改めましてご機嫌麗しゅう……」


「アンタレスも息災で。さて、今回のごっこ遊……けふんけふん! 第三次長州征伐に関してだけど……協力してくれるらしいわね?」


「ああ、水野家はこの辺りの外様大名を監視するために存在しているんだ。長州がまた不穏な動きを見せるのなら止めるのが俺達の役目ってわけだ。水野悠里みずのゆりことアンタレス、ここに参戦を宣言させてもらうぜ」


「これほど心強い味方はありませんわ。出立は明朝……それまでは自由時間としますわ」


 ザワザワザワ


 各自、その場を離れ思い思いに行動する。


「アンタレス、少し稽古をしてもらえんか。某の腕が鈍っていないか確認して欲しい」


「良いぜ。サソリの毒針を久々に受けて泣くなよ」


 福山城を出て芦田川河川敷に向かうと互いに武器を取り出し向かい合う。


 ヒュゥゥゥ……


 真夏の炎天下、蒸し暑い風が強く吹き付ける。


「いざ尋常に……」


「……………」


「「勝負!」」


 カッ!


「先手必勝、これでも喰らえ星々の庭園!」


 一瞬の事だった。

 二人が激突する瞬間、上空から男が降って戦いに乱入する。


「くっ……誰だ、てめぇ」


「某らの訓練に割って入るなど言語道断!」


「そくそくそく、そぉぉぉく! 儂はチャーシュー民主主義人民共和国独立先行部隊、雷速の竜兵衛(らいそくのたつべえ)! 貴様らのお命を頂戴する!」


「「!」」


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