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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
第三次長州征伐編
215/263

祇園にて(後半)

 ガタッガタガタッ!


 馬車で二条城へ向かう立花。

 彼は馬車の中で安堵していた。


(これで良い。幕府として大規模な行動を起こせないとなると春夏秋冬殿を除き頼める者は少ない。だが、彼女ももう年だ。これ以上、危険な死地へ向かわせることをしないため次なる者を選定せねば……)


 ガタッ


「……無事、春夏秋冬美心に長州へ向かうよう命じたのですね」


「な、何奴!?」


 ふと気付くといつの間にか馬車の中に乗り込んでいる不審な女性。

 

 ガシッ


 立花の口を片手で塞ぎ、もう片手で短刀を取り出す女性は言った。


「低杉様から伝言です。貴方の仕事はこれで終わり。大老が消えれば幕府は大混乱し自然と瓦解、もしくは瓦解とまではいかなくとも幕府の求心力は大きく低下する。この隙に我らチャーシュー民主主義人民共和国がこの国を頂くとのことです」


(こ、この者らの目的は日本を手中に治めることであったか!? ……しまった! 長州へ春夏秋冬殿を向かわせたのは罠!? 春夏秋冬殿にはこのまま京を……帝を守っていただかねば……)


 シュッ


「!」


 立花の首を掻っ切る女性。

 御者は気付くことなく馬車を走らせ続ける。

 立花の無惨な亡骸を発見したのは二条城へ到着した時だった。

 翌朝……。


 ザワザワザワ


「あら? 人だかりが……何かあったのかしら?」


「一体、誰が!?」


「噂に寄ると大老が何処かの浪士に殺られたらしい」


「まじかよ!? 大老が死んだとなりゃ、この日本はどうなるんでい?」


 たまたま二条城前の東大手門通ったレグルスが人だかりに気付き覗いてみる。

 そこには血だらけになった馬車の車内と奉行所の役人が数名。

 遺体はすぐに片付けられており町人には何も知らされていない。


「大老って立花豆恭たちばなまめゆきという名前だったよな?」


「じゃぁ、その立花が馬車内で斬られたってのかい?」


(立花様が!? 一体、どういうことですの?)


「貴女が心配することではありません。星々の庭園(スターガーデン)、全天21星の最後を名乗る者レグルス。それよりも春夏秋冬美心はコンコンから帰ってきましたか? 早く長州藩へ来ないと大変なことになりますよ。ふふふ……」


「誰!?」


 後ろを振り返るが怪しい者は居ない。

 レグルスは何か嫌な予感がし屋敷へ戻ると比奈乃に相談することにした。


「へぇ、第三次長州征伐かぁ。いいじゃん、面白そうで」


「面白そうって……比奈乃様、真面目に聞いてくださいまし」


「だって設定の話でしょ。うんうん、大老が殺られたって設定は良いと思うよ。これで大きな大戦のきっかけになるだろうし。星々の庭園のみんなもたまには大戦に出さないとね。折角の腕が鈍ってしまうもんね。長州なら静ちゃんが詳しいし旅案内してもらう? 丁度、明日から夏休みだし! あ、エキストラの人を大勢雇わないとね。誰か良いボス役になってくれる人いるかなぁ?」


 毛利静、比奈乃とは小学部低学年の頃からの友人であり毛利家の跡継ぎである。

 今回の事件のことはまだ幕府から伝えておらず両親が囚われの身であることは知らない。

 一時は星々の庭園のメンバーに無理矢理させられていたが比奈乃が飽きたこともありレグルスとは疎遠なままだった。


「設定? エキストラ? 何のことか分かりませんけど私達が先行し長州藩にさぐりを入れるというのは有りかも知れませんわね」


 レグルスは未だに星々の庭園が比奈乃のごっこ遊びから来ているものだと知りはしない。


「よし、話は決まり。静ちゃんとこに行って話を聞いてくるわ。レグルスはみんなに話を通しておいて」


「かしこまりましたわ」


 寄宿舎へと足を運び隊員たちを集めた後、話を始めるレグルスであった。

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