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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社再結成編1
208/263

四国にて(其の十)

 ザッザッザッ


 暫くすると砂浜を歩く何者かの足音が聞こえる。

 こちらに向かって来ているため、目を開け見上げるとそこにいたのはハダルであった。


「ハダル……なの?」


「最御崎寺の置き手紙を読んだのら。あそこにおいらが居ても気付かないなんて何事かと思ったけど手紙を読んで知ったのら。今、おいらが何を言っても信じられないと思うのら。だから、今から話すのはおいらの独り言……まったく、おいらに化けた偽物に騙されるなんて、幼馴染のおいらとの友情はその程度のものだったのか情けないのら。それに世界で一番大切にしているケンタウルスを見捨てて逃げるなんて……はぁ、もうドン引きなのら」


「だって……仕方ないじゃない! 私まで悪魔に変えられるところだったのよ! そうなったら……もう、助けるものも助けられないじゃない……うっうう……うわぁぁぁん!」


 ポン


 リギルの頭を軽く叩くハダル。

 

「うん、リギルは頑張ったのら。おいらが単独行動を好んで勝手に動いた結果、リギル達に迷惑がかかったのら。だから、これはおいらの責任。リギルは休んでいるのら。おいらがケンタウルスを連れて帰ってくるのら」


 ハダルの目は怒りに満ちていた。

 その怒りを感じ取ったリギルはハダル1人に責任を負わせまいと一緒に行くことを決心する。


「チぎゅ」


「チぎゅ?」


「チぎゅぎゅ」


「チィィぎゅっぎゅ!」


「「チィィィィぎゅぅぅぅ!」」


 村にチー牛へと変えられた男達が朝早くから農作業をする。

 呪物によって姿を変えられたものの五十部ら悪魔教徒の命令が無い時は人間の頃の普段の生活を送るようインプットされているためである。


「ここの村も……」


 村の中を疾走する2人。

 向かう先は金剛頂寺。

 ハダルに化けた五十部が言っていた霊場だが、何故彼女がその場所を口に出したのか確認するためにも向かうことにした。


「今、土佐藩は悲惨な状況なのら。五十部を取り逃してからというもの各地を巡り奴を探していたけれど気の休まるところは霊場だけだったのら」


「どうして霊場だけ無事だったの?」


「奴らは悪魔。悪魔は神様が苦手なのら」


「ただそれだけで避ける理由になるのかな……うーん、分からないわね」


「気にしないで良いのら。どちらにしても今の土佐藩でおいら達に味方してくれるのは寺の住職のみなのら」


 津照寺に寄り住職に挨拶を済ますと、ついでに本堂にて祈りを捧げ御朱印をもらうリギル。

 

「さて、次が金剛頂寺ね」


「ここから距離は近いのら」


 そして、金剛頂寺山門にて彼女らは目を疑った。

 山門に見張りのように仁王立ちしているチー牛2人。

 その姿を見て2人は悟る。


「ビンゴだったのら」


「ええ、でも五十部がいるとは限らない」


「それでもこの場所を潰しておく価値はあるのら」


「分かったわ。中に侵入しましょう」


 寺の側面から侵入すると真っ先に向かったのは霊宝殿。

 国宝級のものが収められているその場所がチーズによって見る影も残っていなかった。


「く、臭いのら……」


「これは何かの実験後? かなり巨大な繭だわ」


「既に羽化した後なのら。チー牛とか呼ばれている悪魔の変異体かもしれないのら」


「遭ったことあるの?」


 ハダルは首を横に振り否定する。

 2人で霊宝殿内にある空っぽの巨大繭をどけると床に散らばっているメモを見つけた。


「これは?」


「読んでみるのら」


「ジャップオスチー牛化促進計画? 計画立案者……五十部餅実! 女性の立場を上げるためジャップオスの立場を大きく下げ女尊男卑の世界を作る……なんか色々と残念なことが書かれているわね」


 2人でメモに目を通し大きくため息を付く。

 その後、他に参考になりそうなものがないか探し始めた。


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