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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社再結成編1
200/263

四国にて(其の弐)

 リギルとケンタウルスはすぐに悟った。

 遂に悪魔が人間に対して攻撃してきたのだと。

 そこからの反応は双子ならではの連携で相手をねじ伏せる。


「いい加減に離してって!」


「チィィィィぎゅぅぅぅ!」


 ズドォォォン!


 ケンタウルスが掴まれている手を大きく振るい相手の巨体を軽く投げ飛ばす。

 力のケンタウルスの二つ名は伊達ではない。

 

「「す、すげぇ!」」


「お姉ちゃん!」


「悪魔……滅殺せよ! 風縛陣!」


「チィィィィぎゅぅぅぅ!」


 リギルの陰陽術で身動きを封じられる謎の男。

 技のリギルにかかれば簡単なものである。

 これまでの完璧な連携に見ていたファン達は歓喜に打ち震えた。


「う、うぉぉぉ!」


「すげぇぇぇ!」


「L・O・V・E! リギル・ケンタウルスちゃぁぁぁん!」


「みんな―――助けてくれてありがと―――」


「うぉぉぉ! 大丈夫かい? ケンタウルスちゃぁぁぁん!」


 少しのファンサービスをこなし皆が去った後、リギルが縛った怪物を叩き起こす。


「チィィィィぎゅぅぅぅ!」


「ねぇ、お姉ちゃん。この悪魔に言葉って通じるの?」


「どうかしら? 何事も試してみる必要があるわ」


「チーチーぎゅぅぅ……うっ……うがぁぁぁぁ!」


 シュゥゥゥ!


 化け物の身体から大量の蒸気が沸き上がる。


「な……なにっ!?」


「うっ……この匂い……チーズ?」


「お姉ちゃん、蒸気で何も見えないよ」


「警戒して! 悪魔の攻撃かもしれない!」


 そして、数分後……蒸気が晴れると化け物は普通の男に代わり命を落としていた。


「どう言うこと?」


「元は人間だった……と言うことでしょうね」


「じゃぁ、この人は……」


「悪魔に変えた張本人がどこかにいるはず。ケンタウルス、今日の調査任務は止めておきましょう。ここで相手の動きを見るわ」


「待ち伏せってことだね。うん、分かったよ。お姉ちゃん!」


 金泉寺の住職に遺体を任せ寺門前にキャンプを設置する2人。

 2人交代で早めに就寝を取ることにした。

 翌朝……。


「ふ、ふわぁぁぁ……お姉ちゃん、結局来なかったね」


「警戒を続けて次の霊場に向かうわよ」


「うん」


 金泉寺から大日寺は徒歩90分程度の距離である。

 道中も警戒しながら先に進むものの何も起こらなかった。


「ふぅ、疲れた―――」


「少し休憩した後、ライブの準備するわよ」


「うへ―――」


 その日のライブも終わり再びファンとの交流会で事は起こった。


「チィィィィぎゅぅぅぅ!」


「うわぁぁぁ、化け物だ!」


「お姉ちゃん!」


「ええ!」


 2人の息の合った攻撃により簡単にねじ伏せられる化け物。

 ファンが帰った後、情報を得ようと化け物を起こすが結果は同じだった。

 突然、苦しみだし身体から蒸気を発生させ人の姿に戻り、そのまま死亡。


「えっ……」


「お姉ちゃん、どうしたの?」


「こ、この人……私のファンだった隼人君……昨日も見に来てくれていた……」


「あ、言われてみれば見たことがある! お姉ちゃん、もしかして犯人はアタシ達のファンを悪魔に変えライブを潰すつもりなのかな?」


「そうかも知れないわね。でも、どうして……」


 敵の目的が不明のまま、その日も夜を迎える。

 2人は忍び衣装を纏い、追っかけのファンが寝泊まりしている宿場町へと向かう。


「お姉ちゃん、チーズの匂いが……」


「あの屋台ね。近付いてみましょう」


 屋根を伝い移動している時、ふと嗅いだことのある香りに反応する2人。

 一見すると普通の屋台だが提供しているものはチーズ牛丼のみ。

 この時代、チーズは高級品のため一般人がなかなかお目にかかれるものではない。


「へい、お待ち! チーズ牛丼つゆだく大盛りね!」


「ぶひぃ♡ んまぁい!」


 美味しそうに頬張る1人の男性。

 2人は建物の影に隠れて屋台を観察する。

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