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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社再結成編1
198/263

結果にて

「はぁはぁはぁ、ケラケラケラ。ミーの開発したヘリコプターでおさらばデース」


 ブブブブブ……


 出口の先にあるヘリポートでは悪魔教徒が逃げる準備を進めていた。


「ヘリは?」


「すぐにでも飛び立てます」


「ケラケラケラ、そうデスカ。最後の土産デース。この呪物を……」


「ふごっ!」


 悪魔教徒の口に気味の悪い種子を突っ込むピヨリィは1人でヘリコプターに乗ると上空に飛び上がる。


「ふごっ……ごごご!」


 悪魔教徒の姿が巨大な脂肪の塊に包まれていく。


「ケラケラケラ! 拠点爆破用呪物デース。その威力は大砲の比じゃないデース。最後は汚い花火でも見てグッバイですヨ」


「ごごごご……」


「げぇ! きもっ! なんじゃこりゃ?」


 美心がヘリポートに辿り着いた頃には巨大に膨れ上がった脂肪の塊が今にも爆散しそうな状況に陥っていた。


「ケラケラケラ! ミーは巻き込まれるわけにはいかないのでさよならデース!」


「んにゃろ! 逃がすかぁぁぁ!」


 ブンッ!


 脂肪の塊を恐れること無く蹴り飛ばす美心。


「へっ!?」


 カッ!

 チュッ……ドォォォン!


 呪物がピヨリィのヘリコプターに直撃すると大爆発してしまった。

 

「うぉぉぉ! なんつぅ威力だ!」


「お義母様!」


「マスター!」


 3人を担ぎヘリポートにやってくるシリウスとリゲル。

 

「お前ら……くっ、間に合えぇぇぇ!」


 パァァァ


 優しい光がシリウス達を包み込み爆発から彼女らの身を守る。


「終わったか……」


「お、お義母様ぁぁぁ!」


「マスターぁぁぁ!」


 美心に抱きつくと大粒の涙を流すシリウスとリゲル。


「「う、うわぁぁぁん!!」」


「おー、よしよし。2人とも大きくなりやがって……だが、無事で良かった」


「むにゃ? ……あっ、お義母様だ!」


「マスターが拙者等を救ってくださったのか?」


 目を覚ましたベガとプロキオンは状況が飲み込めず、その場で座り込んでいた。


「目が覚めたのね? まったく……」


「ははっ、だが元に戻って良かったよ。マスターのおかげだな」


「そうだ! アンセルやフーユェー達は!?」


「すっかり忘れていたでござる!」


「ふふっ、安心していいよ。なんせマスターが着てくださったんだからね。みんな無事なことは確実さ」


「散り散りになった時は極楽飯店で待ち合わせだったね」


「ああ、あの料理屋……」


「そうだ、中華料理! お前ら行くぞ!」


「はいっ! みんなの下へ」


「俺の天津飯の下へ」


「ん……んんっ……! ここは……」


「シリウス、ミモザが起きたでござるよ」


 ミモザは美心を見ると下を向き大粒の涙を零す。


「う、うわぁぁぁん! ごめんネ、お義母様! 吾輩は悪魔に魂を売ってしまったネ! うわぁぁぁん!」


 シリウスがそっとミモザの頭を撫でる。


「良いのよ、ミモザ。分かってるわ、私達を守るためにやってくれたのよね」


「し……シリウス……うわぁぁぁん! ごめんネ!」


 ミモザはシリウスの胸で大泣きする。

 美心はそれを見て思った。


(演技が込んでるなぁ。ミモザが裏切った設定だったのか? だが、それを許すシリウス達。これは実に良いテンプレ展開ですなぁ)


 決してごっご遊びではなく本気だったことなど美心は知らない。

 だが、何よりも中華料理が早く食べたくてシリウス達のごっこ遊びに加わる気が起きない。

 美心は言ってしまった。

 そんなことはどうでもいいから早く行くぞと。


「ふふっ、マスターの前ではミモザの事情など取るに足らないことだったようだね」


「ええ、お義母様も怒ってないわ。ミモザ、私達と一緒に行きましょう」


「ぐすっ……わ、分かったネ」


「やった―――! ミモザがわち達の仲間になった―――」


 極楽飯店へ向かう途中でアンセルを拾い無事辿り着く美心一行。

 店の前では呟悲壮女と化したはずのジャッバやフーユェー達が待っていた。


「お、シリウスさん達が来たぜ」


「すみませぇぇん、これで全員集合ですぅぅぅ」


 繁華街の人達は美心の攻撃により元の姿に戻り日常の生活に戻っていた。

 

「よぉし、お前ら! たらふく食うぞぉ!」


 美心が店主と話し特別に開店してもらう。

 テーブルの上に並べられる中華料理。

 

「こ、この小籠包……大量の肉汁が口の中で溢れ……う、うめぇぇぇ!」


「この青椒肉絲という料理も美味しいです」


「ふふっ、なるほど……この酢豚の作り方理解させてもらった!」


「リゲル、食事中にメモを取るの禁止でござるよ」

 

「はい、あーんするネ。ベガ」


「あーん」


 食事を楽しむ美心とシリウス達。

 この後、辛国の貨幣を持っていなかったことにより皿洗いを数日させられることになるとは夢にも思わなかった。


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