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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社再結成編1
196/263

絶望にて

 ミモザの身体が急速に変異していく。

 身体が異常なほど膨れ上がり皮膚はテカテカになり顔は醜い猪のような形に変化する。


「さぁ、覚醒するデスヨ! 呟残念女つゐふぇみType02!」


「ギャオオオン! オスと交尾して繁殖する女は脳が萎縮しているぅぅぅ! ギャオオオン!」


「そ、そんな……ミモザが……」


 もはやミモザの原型を留めていないほど変異し、体長が10メートルほどの巨大な魔物と化した。


「わぁぁぁん! ミモザ、もとに戻ってよぉぉぉ!」


「ベガ、避けろ!」


「えっ?」


 ドゴッ!


 ベガの後頭部に呟残念女の尻尾が直撃する。

 ベガは吹き飛ばされホールの壁に激突し意識を失ってしまう。


「な、なんて大きさでござる!」


「ミモザ……そんな……」


(ケラケラケラ! ミモザのレポート通りネ。シリウスはショッキングな状況に対応できず、まともに動けていないデース。ベガは怪力の持ち主のため最優先に対応シマシタ。残りは2人……次は……)


 呟残念女は呟憤怒女と同様に知力がまったくなく感情だけでギャオる魔物である。

 特筆すべき点として身体の巨大化や予めインプットした標的に最も適切な行動だけ取れる点がある。

 ミモザに注入された呟残念女化促進剤にはシリウス達の戦闘データが登録されていた。


「くっ、エン!」


「ギャオオオン! ギャオオオン! AV女優は全世界のオスに股間を晒した売女ぉぉぉ! ギャオオオン!」


 テカテカの脂に火が付くが同時に吹き出す大量の汗によって炎が燃え上がる前に洗い流されてしまう。


「炎が効かない!? プロキオン、接近戦は駄目だ。僕を守ってくれ!」


「承知でござる!」


「ギャオオオン!」


 呟残念女の身体から大量の触手が伸びプロキオンを集中的に攻撃し始めた。


「くっ! これは流石に捌き切れないでござる!」


「シリウス! しっかりするんだ! ミモザはもう元には戻らない! さっき見せられただろ!? 最早、あれは別の生命体なんだ! シリウス!」


 リゲルは戦意を失ったシリウスを励ます。

 だが、シリウスはリゲルのほうを向くと涙を流し、その場に塞ぎ込む。


「カペラに続きミモザまで……私達は……私は……誰も救えないっ!」


 バシッ!


 シリウスの頬をひっぱたき胸ぐらを掴むリゲル。


「いい加減にするんだ! まだ僕達がいるだろ! お前は眼の前の僕達を見捨てると言うのか!? 戦え! 悪魔を一掃するんだ! 僕達の目的はまだ達成されていない!」


 シリウスは涙を拭き取ると目つきを変え決心する。


「そう……ね。ごめんなさい。私はまだここでやられるわけに……は……」


 呟残念女のほうを向くとそこには悲惨な現実が彼女に突きつける。


「ギャォォ……」


「ギャオオ……」


「ケラケラケラ! 呟残念女の感染力は呟悲壮女の30倍デース! ちょっとした傷からも呪物は侵入し相手を呟悲壮女へと変えてしまいマスヨ!」


 ベガとプロキオンも変異し直立歩行する猪の姿に変異していた。


「あ……あ……ああっ……」


「なんてことだ!」


「さぁ、やってしまうデスヨ! 呟残念女!」


「ギャオオオン! オスと交わった女は敵! 生涯、単身女性こそ正義! ギャオオオン!」


「ギャオオオン! オスの遺伝子を持ったガキを孕みせっせと育てる奴隷女も敵! ギャオオオン!」


 戦意喪失したシリウスを庇い前に出てスリングショットを構えるリゲル。

 何度も玉を撃つが猪突猛進する呟悲壮女と化したベガとプロキオンは怯むこと無く走り向かってくる。


「くっ! ここまでか……カペラ様!」


 ………………。

 どうしたことだろう?

 シリウスとリゲルに直撃するはずの2人が依然としてぶつからない。


「あ……あ……ああ……」


「ギャオオオン! ギャオオオン! 孕んだ女の臭いだ! 臭くて臭すぎるぅぅぅ!」


「ギャオオオン! ガキを生み育てた奴隷女だ! ギャオオオン!」


 カッ!


 激しい閃光と共に怒声がホールに響き渡る。


「ギャオギャオうるせぇぇぇ!」


「お……お義母様!?」

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