ミモザズリポート(No,2)
カタッカタカタカタ
引き続き、タイプライターでレポートを作成するミモザ。
コードネーム、ベガ。
本名、無し。
身長、138cm
体重、32kg
年齢、16
黒の髪色のため判断不可だが瞳が独特な橙色から出身地は四国の何処かだと思われる。
生後すぐにして大飢饉により村が全滅。
両親によって子殺しが行われる直前、奇跡的に春夏秋冬美心に救われた経緯がある。
シリウスやリゲル同様、春夏秋冬邸に養子として迎え入れられる。
赤子の頃から彼女には特殊な能力が備えられていた。
その名も怪力。
その怪力により赤子である彼女の世話をする隊員が大怪我する事態に見舞われた。
現在のステータス。
LV 35
HP 12500
MP 2300
ATK 589
VIT 84
DEF 62
INT 29
DEX 88
AGI 94
彼女はやはり攻撃力が飛び抜けていることに注視すべきであろう。
尚、この数値は吾輩の目視での計測であり極限状態では大きく変化することを記載しておく。
得意武器、篭手。
今現在も手にしている篭手は星々の庭園唯一の鍛冶師フォーマルハウトに作ってもらったものであり自身の愛武器として手入れが行き届いていた。
陰陽術に関しては未だに第2境地といったところであろう。
先の戦闘でも術を発動させることはなく怪力に頼った戦闘スタイルであった。
「ベガといえば怪力だけが取り柄ネ。吾輩も片腕を折られたのは今も悪い思い出ヨ」
対処法、彼女の怪力にさえ注意を払っておけば何ら脅威ではない。正確に躱しサンドバックにするもよし、遠距離から銃火器で対抗するもよしと言ったところである。
カタッカタカタカタ
コードネーム、プロキオン。
本名、不明。
身長、182cm
体重、62kg
年齢、17
茶色の髪色から松江藩出身だと思われる。
旅商人の両親を持つ彼女は赤子の頃から安定した住居を持たない生活をしていた。
ある日、信濃山中でニホンオオカミの群れに襲われ両親は他界。
奇跡的に通りかかった春夏秋冬美心により助けられ春夏秋冬邸に養子として迎え入れられる。
当時から星々の庭園内では頼りがいのある性格から姉御肌を発揮していた。
現在のステータス。
LV 40
HP 54400
MP 2300
ATK 100
VIT 111
DEF 232
INT 81
DEX 63
AGI 52
タンクとして高い才能に恵まれた彼女らしくHPと防御力に長けた相手であることがステータスから窺えよう。
尚、この数値は吾輩の目視での計測であり極限状態では大きく変化することを記載しておく。
得意武器、大太刀。
防御にも使える大太刀を彼女に持たせるとタンクとしての性能がさらに上昇する。
その硬さは尋常ではなく彼女の防御を崩すにはかなりの戦力が必要となることを先に注意しておく。
陰陽術に関してはからっきしで精々、第2境地に至っているかどうかといったところであろう。
対処法、タンクとしてもアタッカーとしても才能がある彼女にタイマンは愚の骨頂である。
故に複数人で彼女1人に襲いかかる戦法へと持ち込めば勝機は難なく見込めると考えられる。
その際、陰陽術による攻撃を主としたほうが良いことも記載しておく。
カタッカタカタカタ……
「ふぅ、一服するネ。残りはカペラと新人隊員達ネ」
「ケラケラケラ! 相変わらず見事なレポートデース」
コーヒーカップを両手にピヨリィがミモザに話しかける。
「ピヨリィ様……ありがとうございます」
「彼女達は新しい錬金術のモルモットとして役立ちそうデスカー?」
「ええ、伏魔殿も順調。呟悲壮女も命令通り働いてくれます」
「ケラケラケラ、寄生生命体である呪物に知能を持たせるのは苦労しまシタ。では、街の男達にもアレを投与して星々の庭園にぶつけてみるデース」
「アレ……ですか? ですが、アレは」
「ゾンビ化してしまうなら焼却処分すれば良いデス。幸いにもここは世界でも有数の繁華街。実験体である人間はいくらでもいマース。それとも古巣のお仲間達が心配デスカー?」
「!」
ミモザは黙り込み首を横に振るとジュラルミンケースに液体の入った注射器を3本入れ外へと出ていった。
「ケラケラケラ、やはり……ね」