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テンプレ勇者にあこがれて  作者: 昼神誠
結社再結成編1
185/263

辛国にて(其の参)

 シリウス&リゲルのペアから距離3km地点。

 同じくヴェクトリヤハーバー内のスラムにてベガとプロキオンは情報収集に専念していた。


「最近、不思議なこと? 特にねぇなぁ。それより嬢ちゃん達、何か買ってくれよ。安くしとくからさ」

 

 露天商や通行人に声をかけ情報を集めていく2人だったが結果はあまり芳しくはなかった。

 人混みの中から離れ路地裏へ移動するベガとプロキオン。


「はぁ、なんて人の多さでござる」


「でも美味しそうなものいっぱい売っていたね。ここのお金があったら買ってみたいなぁ」


「ベガ、遊びに来たわけでは……」


 プロキオンは会話を止めベガの背後に近づく放浪者に視線を移す。


「何用でござる?」


「へっへっっへ、こいつぁ上玉の女だ。売れば俺の人生やり直せる!」


 そう言葉を放つとベガを掴みにかかる放浪者。

 だが、モブ相手に苦戦する2人ではない。

 逆に反撃し軽くシメた後、放浪者に質問する。


「ここに拙者らと同じような服装の女性を見なかったでござるか?」


「はぁ!? お前らみたいな上玉、見かけたら俺がとっ捕まえて風俗店に売ってらぁ!」


「見ていないということ?」


「ああ、そうだよ! だが、俺みたいな考えのやつはこの街には巨万といる。すでにとっ捕まって売られているかもなぁ? ぎゃひひひ!」


 ドゴッ!


 ベガが放浪者の顔面に怪力パンチを浴びせ気を失わせる。


「風俗店でござるか……」


「ふうぞくって何?」


「うーん、拙者も詳しくは知らぬがあまり近付いては行けない場所だとシリウスは言っていたでござるな」


「でもでも、レグルス達が既に捕まっていたら……」


「このような浮浪者に手こずる拙者らではない。レグルス達なら大丈夫でござるよ」


「でもぉ……」


 不安な顔をするベガにプロキオンは悩んだ。

 そもそも風俗店がどういう風貌をしている店なのかも知り得ない彼女は表通りにいる大勢の通行人に尋ねることをベガに提案する。


(ふふふ、見つけたネ。ベガとプロキオン。貴女達の現在をデータに取らせていただくネ)


 プス……


 通行人の女性に再び呟憤怒女つゐふぇみ化促進剤を注射するミモザ。

 

「ア……あ……アぁぁぁ! ギャォォォン!」


 二足歩行の猪のような化け物に変化する通行人の女性。 

 それを見た他の者は一斉にその場を離れ辺りは大混乱と化す。


「ギャォォォン! 出産子育てしろというのは女性に死ねと言ってるも同等! ギャオオオン!」


「何?」


「あれはアンセル達が変化した化け物と同等の!? くっ、ベガ! 悪魔の攻撃でござる!」


「わわわっ、こっちに突撃してくるよ!」


「拙者に任せるでござる!」


 ガシャァァァン!


 呟憤怒女の突撃を全身で受け止めるプロキオン。

 噛まれることが無いように化け物の大きく飛び出た牙を掴み口を封じる。


(ふむ、プロキオンはタンクとして順調な成長をしているようネ。筋力も以前より35%ほど増えているネ。あれでは最低限の呟憤怒女化では太刀打ちできないネ)


「ギャオオオン! ギャォォォン! パパのお嫁さんになるのって言った女児はパパオスに洗脳されているぅぅぅ! ギャォォォン!」


「このっ! 相変わらず意味不明なことを!」


 プロキオンが受け止めている呟憤怒女の脳天にベガが空中から右ストレートを放つ。


 ドゴッ!


「ギャォォォ……ン……」


 気を失うと元の姿に戻っていく通行人女性。

 ミモザはベガのたった一撃を見逃しはしなかった。


(やはり、ベガの怪力もかなり成長しているネ。これは呟憤怒女を100体集めたところで大したデータは取れそうもないネ。試しにもう2体ほど……いいえ、止めておくネ。伏魔殿パンデモニウムは始まったばかり。最新型である呟悲壮女つゐふぇみ化促進剤の投入を検討してみるネ)


 ミモザはその場で得た情報をメモにし、次のターゲットの場所へ赴く。


(さて、次はカペラ。彼女の姿はヴェクトリヤピークからは見えなかったネ。恐らく、船の中で負傷した隊員の治療に専念しているネ。吾輩が直接乗り込むわけにもいかないし、どうしたものか……。彼女のデータも得ないことには伏魔殿は完成しない。兎に角、港に行って船の近くまで寄ってみるネ)


 ミモザはカペラが既にこの世を離れていることを知らないでいた。

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