豪華客船にて
日本悪魔教総本山である蒸気機関式超巨大豪華客船。
まるで動く小島のようなこの客船には様々な設備がある。
その中の1つが陰陽術を訓練するための区画。
舞香の設定により、どのような環境下も実現できる。
ここにカペラの肉体に受肉した金鶴が籠もり既に3ヶ月。
過酷な環境となるように重力は地球の4倍、酸素濃度は標高4000m地点と同程度、気温は40度となっている。
「おほっ、おほほほ! なんて素晴らしいざます! この身体でこのような環境下にこんなにも早く慣れてしまうなんて! ああっ、これであの憎き星々の庭園に勝てる! そう、私は勝われたのざます!」
完全にカペラの肉体を自分のものとした金鶴は修行も十分だと理解し訓練区画から出る。
まず、向かったのはシャワールーム。
訓練の汚れを落とし鏡の前で自身の新たな裸体に見惚れる。
(それにしてもこの肉体美! 若さも十分! しかし、若さゆえか……くっ、またざます! 性……欲……この面倒なものさえなければ!)
カペラの特徴である立派な竿が大きく疼く。
既に勃起し悪魔教徒達がまじまじと見る。
(くっ、信者達のような残念思考のおばさんなどで処理したくはないざます! やはり抱くなら美女……しかし、この船に乗っている美女は風俗街のねぇよ男性だけ。あの場所にあてくしが向かうなど……しかし、このデバフを解除するには致しか無いざます)
風俗街、悪魔教信者の大半が呟憤怒女である中、男性の信者も少なからずいる。
その者達は呟憤怒騎士と呼ばれ、主に船の管理や襲撃した漁村などからの物品回収を日常としている。
「あん♡ あん♡ あぁぁん♡」
「くっくくく、あんあんじゃねぇ! ブヒブヒ鳴くざます! 雌豚ぁぁぁ!」
「ぶひっ♡ ぶひっ♡ お、大きすぎりゅぅぅぅ♡」
性格が変わったかのように性欲処理に風俗嬢を抱く金鶴。
彼は以前の身体の時は性欲対象がお金だった。
女など金を生む機械にしか思えなかった彼だが、カペラの肉体を得てからは女体も対象内へと変わった。
「雌豚ぁぁぁ、オラオラオラぁぁぁ!」
「あ、ああ……ぶひぃぃぃぃ♡」
ドクン!
「なんざます?」
『くっくくく、良いねぇ。やはり新たな雌豚を鳴かすのは最高だ。ほら、次の雌豚だ! もっと大勢の雌豚を鳴かせ! 俺は俺だろ! 性のまま身体を動かせ!』
「性のまま……ぐおぉぉぉ、治まったあてくしの竿がまたこんなに!」
頭の中に聞き覚えのある声が響き渡る金鶴。
その者の言葉で勃起が治まらない彼は風俗街全ての店に周り性を貪り尽くした。
『くくくく、最高だ! だが、新たな雌豚はまだまだいる! 俺ぇぇぇ、中古品など捨てて地球上の雌豚を鳴かしに行こうぜぇぇぇ!』
「いい加減にするざます! このっこのっ! あてくしはあてくしは……あぁぁぁてくしはぁぁぁぁ!!! お金にぶっかけるのが趣味ざます!」
いつまで経っても治まらない自身の竿を木刀で叩きつける金鶴。
彼はやはり金銭を性欲対象としたかった。
自分の好みと新たな肉体の好みとの葛藤に苦しむ彼は徐々に自身の竿に憎悪を生むようになってきていた。
だが、しばけばしばくほど大きく勃起し最後には風俗街へ繰り出すしかなくなる。
「ぶひぃ♡」
「はぁはぁはぁ……今日だけで63人。昨日も57人ほど食ったざます。その前は44人。連日、こんなに搾り出したにも関わらず、まるで治まらない。くっ、またざます! あてくしの血流が竿に……ぐぉぉぉぉ!」
『もっとだ! 雌豚共をもっと鳴かせぇぇぇぇ!』
聞き覚えのある声の相手をふと思い出す。
性格はまるで違うが声はカペラそのもの。
死して尚、金鶴の邪魔をする頭の中の声に彼は恐怖さえ覚え始めた。
彼は頭がどうにかなりそうだった。
助けてもらいたい一心で風俗街から飛び出し、舞香の行方を唯一知るずんのもとへと走り出す。